小6算数「資料の調べ方」指導アイデア

執筆/神奈川県公立小学校教諭・八田安史
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥

本時のねらいと評価規準

本時の位置 8/10 データの取り出し方に着目する

ねらい

データを基に合理的に判断して出した一応の結論に対して、批判的に捉えてデータの取り出し方を変えて考える。

小6算数「資料の調べ方」
写真AC

評価規準

データの取り出し方に着目し、自分たちの目的に応じて合理的に判断し説明している。(数学的な考え方)

並び方A
並び方B

長縄跳びでより多くの回数を跳ぶために、跳ぶのが上手な人と苦手な人の並び方を3つ考えました。並び方の違いによる並び方A、B、Cでは、どれがより多く跳べるかを、データを基に判断しようと進めてきました。平均値が大きく差があるCを除き、AかBのどちらがよいか前回、収集したデータを基に分析し出した結論「Aの方がよい」に対して、「本当にこれでよいのか」という意見がありました。

確かにすべてのデータを取り上げたらAの方がよいけれど、はじめの方のデータは、今の自分たちには古いデータだからいらないと思います。

では、どのようにデータを取り出せばよいのでしょう。

問題場面

どのようにデータを取り出して分析すれば、より納得のいく結論を出せるかな。

本時の学習のねらい

より納得のいくデータの取り出し方を考えよう。

見通し

全部で15回のデータ。最近のデータをどのように見ればいいかな。

自力解決

A つまずいている子
「最後の1回だけ取り出せば、どちらがよいかわかるのではないかな?」

B 素朴に解いている子
「前半と後半に分けて考えたらどうかな?」

C ねらい通りに解いている子
「5回ずつに分けて、成長の具合を見てみたいな」

学び合いの計画

全15回のデータに対して、様々なデータの取り出し方に着目できるようにする。データの取り出し方は様々あるが、最近のデータの方が信頼できるということを共有した上で考えられるようにする。

さらに、なぜ最近のデータの方が信頼できるのかということを問い返し、自分たちの成長に目を向けられるようにする。それにより、成長がより捉えられるデータの取り出し方は、どのような取り出し方かと焦点化して考えられるようにする。実際に取り出し方を試行錯誤して、自分たちの納得のいく判断ができる取り出し方を見いだせるようにする。

本時のノート例

ノート例
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全体発表とそれぞれの考えの関連付け

前半と後半でデータを取り出し、柱状グラフに重ねてみました。
5回ずつデータを取り出し、柱状グラフに重ねてみました。

最後の1回はBの方がいいから、Bの方がよいと思います。

確かに最後の1回はBの方がいいけれど、2回しか変わらないし、もう何回かのデータの方が信頼できると思う。

前半と後半に分けたら、AとBどちらも記録が伸びているのが分かります。

5回ずつのデータを取り出すと、成長の具合がよくわかり、Bの方が最近の5回で記録がよいことがわかります。

5回ずつのまとまりごとの平均値などはどうか、計算してみたいな。

学習のねらいに正対した学習のまとめ

本時では、データの取り出し方によって判断が変わったり、確かなものになったりすることを共有し、総合的に分析し結論を出していくことをまとめる。

評価問題

Cの並び方についても、データの取り出し方によって判断が変わるか考えよう。

子供に期待する解答の具体例

Cの並び方を5回ずつのデータを取り出してみると、下のグラフのようになり、大きな成長も見られないため、Cはよくないという判断は変わらない。

並び方C

本時の評価規準を達成した子供の具体の姿

取り出すデータを変えた分析について説明することができる。

感想例

全てのデータをただ使うのではなく、取り出し方を変えてみると、新たな視点で考えることができたので、これからも、他のデータの取り出し方はないかと考えていきたい。

『教育技術 小五小六』 2020年1月号より

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