小3社会「市の様子の移り変わり」指導アイデア (人口の変化を中心に)

執筆/埼玉県川口市教育局生涯学習課・佐野純也
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、埼玉県公立小学校校長・清水健治

目標

交通、土地利用、人口などの時期による違いに着目して、聞きとりや資料で調べて年表などにまとめ、市や人々の生活の様子は時間の経過に伴い移り変わってきたことを理解できるようにするとともに、これからの市の発展について考えようとする態度を養う。

小3社会「市の様子の移り変わり」指導アイデア
写真AC

学習の流れ(16時間扱い)

問題をつくる(2時間)

○ 昔と今の写真を比べて気付いたことを話し合う。
○ 市の人口の変化を基に学習問題をつくる。

学習問題
川口市は、いつごろ、どのように変わってきたのだろう。

矢印

追究する(11時間)

○ 人口が特に増加した3つの時期の交通整備の様子を調べ、時期による違いを考える。
○ 人口が特に増加した3つの時期の土地利用の様子を調べ、時期による違いを考える。
○ 人口が特に増加した3つの時期の市の広がりの様子を調べ、時期による違いを考える。
○ 人口が特に増加した3つの時期の公共施設建設の様子を調べ、時期による違いを考える。
○ 人口が特に増加した3つの時期の道具の移り変わりを調べ、人々の生活の様子を理解する。

矢印

まとめる・生かす(3時間)

○ 調べたことを年表にまとめ、学習問題の結論を考える。
○ 外国人居住者が増え、国際化が進んでいることを踏まえ、これからの川口市の発展について考える。

導入の工夫

人口の変化のグラフと年表や写真とを関連付けて読みとることで、気付きや疑問を多面的に引き出すようにします。

問題をつくる(1・2 / 16時間)

川口市の人口の変化について話し合い、学習問題をつくる。

第1時

昔の学区周辺や駅前などの様子が分かる写真と、今の様子が分かる写真(または「わたしたちのまち」の学習の際に作成した市の地図)を比べて気付いたことを話し合います。

第2時

市の人口の変化を読みとり、疑問や予想をもち、学習問題をつくります。

川口市の人口のうつりかわり
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川口市は人口が増えてきている。

これからも増え続けるのかな。

2005年から2015年の間にとても増えているね。

ほかにも大きく増えた時期があるよ。なぜ増えたのかな。

川口市になるまでの変遷(年表)
クリックすると別画面で大きく表示します

人口がとても増えた時期がありましたね。なぜ増えたのでしょうか。

電車や国道などができたからかな。

人口が増えたから、1年間に学校を5校も作ったと思います。

今の鳩ヶ谷地区が川口市と一緒になって人口が増えたと思います。

人口の移り変わりとともに、交通、公共施設、市の広がりなど、さまざまな面が変わってきたようですね。今の予想を基に、詳しく調べましょう。

学習問題
川口市は、いつごろ、どのように変わってきたのだろう。

追究する(7/16時間)

市の土地の広がりについて調べ、時期による違いについて考えます。

資料の工夫

市町村の合併については、年表でまとめられている資料が活用できます。合併前後の市の形を地図に表して提示することで、「市町村の合併による市の広がり」を視覚的に捉えられるようにします。

川口市の土地の広がりについて調べる。

川口市の土地の広がり(1933年~1940年)
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川口市は周りの町や村と一緒になることで、広くなってきたんだね。

川口市の土地の広がり(2011年に今の形となる)
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最初の川口市と比べると、今の広さは3倍を超えているよ。

市の人口と土地の広がりには、どのような関係があるのでしょうか。

人口がとても増えた時期に、川口市は周りの町や村と一緒になっていました。合併によって人口が大きく増えると言えると思います。

追究する過程のポイント

市町村合併による市の広がりを調べ、時期による違いを考えるとともに、それに伴う人口増加についても捉えられるようにしています。

単元づくりのポイント

学習指導要領の「内容の取扱い」には、「人口」を取り上げる際、少子高齢化や国際化などに触れ、これからの市の発展について考えることが大切であると示されています。そこで、市民として市の将来について考えたり討論したりする学習を単元の「生かす」過程に位置付けるようにします。

増加する外国人住民に対する市の取組を基に、これからの川口市について考えましょう。

外国の人とも一緒に楽しめるお祭りがあるといいね。

通いやすい曜日や時間に、地域の公共施設で日本語教室を開くといいと思うよ。

これからも住み続けてもらえる市にしたいな。


イラスト/横井智美

『教育技術 小三小四』2020年1月号より

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