小4理科「わたしたちの体と運動」指導アイデア
執筆/福岡県公立小学校教諭・黒崎有耶
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、福岡県公立小学校校長・福田修二

目次
単元のねらい
骨や筋肉のつくりと働きに着目して、それらを関係付けて、人や他の動物の体のつくりと運動との関わりを調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に既習の内容や生活経験を基に、根拠ある予想や仮説を発想する力や生命を尊重する態度、主体的に問題解決しようとする態度を育成します。
単元の流れ(総時数 8時間)
一次 人の骨と筋肉(5時間)
① 運動するときの体
②③ 腕の骨と筋肉
④ 腕の仕組み
⑤ 人の体のつくりや仕組み
実際に触れよう! 動かそう!
骨や筋肉、関節のつくりや動きを調べるときには、自分の体に直接触れたり、動かしたりすることで興味・関心を高めましょう。その後、見えない部分をさらに詳しく映像や模型を使って調べましょう。
二次 動物の骨と筋肉(3時間)
①② 動物の体のつくりや仕組み
③ まとめ
「共通性・多様性」というメガネで見てみよう!
見方 主として「共通性・多様性」
共通性: 人や他の動物には骨、筋肉、関節がある。これらの働きによって体を支えたり、守ったりしている。また、動かすことができる。
多様性:関節にはいくつかのタイプがあり、多様な動きをすることができる。動物は種類によって、筋肉などの様子が違う。
考え方
人や他の動物において、骨や筋肉のつくりと働きとを「関係付けて」考える。
これでばっちり! 単元の導入はこうしよう!

子供たちが興味をもてるように、体を動かしている写真や映像を見て、実際に行わせます。

腕を動かすとき、腕の様子はどのように変わるだろうかという問題を見いだすようにします。
気を付けよう!
それぞれの動きが安全に行えるように、場の設定を考えましょう。
授業の展開例(一次 第2時)
直接触れたり、動かしたりする活動を十分に行いましょう。十分な活動を基に、体のつくりと運動について考え、関係付けることで、根拠のある予想を発想する力など、問題解決の力の育成につながります。
人の骨と筋肉
【自然事象へのかかわり】
腕にギプスを着けて、腕を動かしてみよう。
腕が曲がらないよ。

【問題】
腕はどこで曲げられるだろうか。
【予想】
ひじで曲がると思う。でも、ギプスを着けるとひじが曲がらないので、近くの物が取れないね。ひじが曲がらないと、力が入らないよ。
突き指をしたときに固定すると、指が曲がらなかったから、指も曲がると思うよ。
腕のイラストの曲がると思うところに印を付けよう。
ひじで曲がると思う。指も曲がると思うよ。

自分の体を動かしながら調べることで、主体的に問題に取り組む意欲付けになります。
【解決方法の立案】
固定をしたり動かしたりを繰り返し、どこが曲がるのかを調べよう。
【観察・実験】
実際に腕を曲げたり伸ばしたりして、予想で印を付けたイラストの曲がるところにシールを貼る。
模型やレントゲンなどの資料を活用する。
【結果】
腕はひじで曲がるよ。ひじは、骨と骨とのつなぎ目になっているね。
【考察】
腕の曲がるところは、骨と骨のつなぎ目にある。骨と骨のつなぎ目を「関節」と呼ぶことを知らせる。
指は腕に比べてたくさん曲がることから、関節がたくさんあると考えられる。
共通性・多様性の見方を働かせ、腕の関節を学習した後、指の関節の場所を調べることで、足などの他の部分についても主体的に調べようとする態度を育成しましょう。
【結論】
腕はひじで曲がるつくりになっている。曲がるところを関節と呼ぶ。
ここが最大のポイント !
この単元では、共通性・多様性の見方を働かせることで、子供たち自ら体を動かして体の構造を調べるなかで、腕と腕以外の部分、人と動物の共通点や相違点が明確になっていきます。
イラスト/たなかあさこ、横井智美
『教育技術 小三小四』2019年10月号より