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アルファベットの書き順は指導すべき?外国語学習指導のQ&A

連載
英語授業Q&A特集:教科書編集委員が指導法やポイントを解説!

神奈川県公立小学校教諭

長沼久美子

本格的に始動した小学校での外国語学習。見取りの視点や興味・関心の引き出し方など、 教科書だけではわからないかもしれないポイントを、小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生に教えていただきます。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子

アルファベット
Pixabay

Q1 クラスの仲間に誕生日を聞いて、誕生日カレンダーを作るアクティビティ。時間内に子ども全員のやりとりを見とることができませんでした。何か工夫はありませんか?

(教育出版『ONE WORLD Smiles5』P.30)

A.少し発想を変えてみましょう。

誕生日を聞き合い、誕生日をメモする活動は、外国語活動の時から継続しているアクティビティです。

教師が会話の模範を示す → ペアで練習 → 近くの友達と練習(少人数) → クラス全体で自由に聞き合う、といった流れが多いのではないでしょうか。

ところで、クラス全体で自由に聞き合う活動での見とりは、同じような会話が、教室内のあちこちで同時開催されるわけですから、とても困難です。少し発想を変える必要があると思います。

誕生日を聞くアクティビティでは、‟When is your birthday?” のフレーズが使われます。この表現は、子どもが受容できれば良い表現。つまり、聞いて分かればよい表現です。全員が正確に質問できるようになるということは目的ではないので、必ずしも質問している姿を見とる必要はありません。

一方で、意味ある英語でのやり取りとして誕生日を聞き合うアクティビティを進めていくためには、「友達の誕生日を知ることができた」ことに価値を見いだすことが大切です。

「10人に質問できた!」といった結果ではなく、「Aさんは、June 12thと言っていたから6月12日生まれだ」とわかることに価値を置く。これによって、見とりの視点を絞り込むことができます。

これらを踏まえて、誕生日を聞き合うアクティビティで子どものやり取りを見とる工夫を考えてみましょう。

例えば、これまで通りですが、記録で見とる方法。「Aさんの誕生日=6月12日」のように子どもがやり取りを通して残した記録を見とることで、全員の状況を把握する方法です。しかしこれでは、実際のやり取りを見たとは言えません。

座席表等を使って、ペアの練習や少人数での練習で子どもの状況を見とり、見とれなかった子どもを絞り込む方法もあります。誰を見とれていないかをはっきりさせることで、自由に聞き合う活動で、見とる子どもを絞ります。

そこでも見とれなかった場合は、最後に代表として指名して、みんなの前でやってみてもらう。そうすれば、多くの子どもの活動を見とることができます。

先生が見とるべき姿は、質問できていること以上に、誕生日を聞き取れていることです。

質問の練習を10回等、何度も何度も呪文のように唱えて練習するのではなく、聞き取ることで「わかる」楽しさを価値づけていくのはいかがでしょうか。

Q2 アルファベットを書くアクティビティでは、書き順も意識した方がいいのでしょうか?

(啓林館『Blue Sky5』P.19)

A. 厳しく指導する必要はありません。

アルファベットの書き順には、正式な決まりがありません。小学校の教師をしていると、ひらがな、カタカナ、漢字、数字等、書き順に注意をして書く指導が体にしみ込んでいますよね。アルファベットにも正しい書き順があるように思ってしまいますが、教科書等では代表的なものを紹介しているだけです。

「示している書き順で書くと書きやすいよ」といった指導で十分です。

それでも、初めての学習者にとっては、書きやすい順で書くことができる書き順を教えてもらうことで学習が進めやすくなることは事実です。

そして、違った書き方も許容し、バツを付けることはせず、「それでもいいよ」として対応してみてはいかがでしょうか。

このアクティビティでは、大文字と小文字の形で、文字に対する興味・関心を引き付けています。

ただ、「同じものを探してみよう」と教師が投げかけてしまうと、主体性が損なわれてしまう可能性があります。

そこで、大文字と小文字52文字のアルファベット表を見せて、

何か気付くことはある?

と、聞いてみる。

子どもは、

大文字と小文字が同じものがある!

似ているのがある!

ぶら下がれそうなのがある

と、いろいろな気づきをすることでしょう。

その気づきを踏まえて、大文字と小文字が同じ形のものを探す等の活動に展開してみると、子どもの興味・関心に沿った授業になっていきます。

子どもは、大文字と小文字が同じ形なのは、

C,O,S,W,Xだ!

と、どんどん探していくことでしょう。そこで、

じゃあ書いてみる?

と、進めていけば、子どもにとっては、「文字のひみつを自分たちで見つけた!」として達成感が生まれ、書くことに主体性をもって取り組めるようになるでしょう。

Q3 Storyで紹介される長い英語の文章の扱いについて、注意点はありますか。

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