小1算数「あわせていくつ」「ふえるといくつ」指導アイデア(5/6時)《たし算じゃんけん》
執筆/富山県公立小学校教諭・前田正秀
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、富山県公立小学校教頭・萩中泰弘
目次
本時のねらいと評価規準
[本時 5/6: 1から5までのたし算の学習の後]
ねらい
0を含む合併の場面について、加法の場面と関連付けて考える。
評価規準
何もないことを0と表せば、加法の式に表せることに気付く。[数学的な考え方]

たし算じゃんけんをした後の話合い
「チョキ」と「グー」だったら、2になるって、すぐに分かるんだよ。
いつも「グー」を出せば、相手の指を見てすぐに分かるんだね。
でも、「チョキ」のほうにしか指がないのに、 たし算じゃんけんでいいのかな?
たし算じゃないということ?
だって、指の数どうしをたしていないから、たし算でいいのかな?
問題場面

授業のはじめに「たし算じゃんけん」をします。「たし算じゃんけん」とは、例えば、Aさんは指を2本、Bさんが4本出したら、2+4=6。先に「6」と答えたほうが勝ちになるというものです。
時間を制限して、何人に勝てるかを競い合うと、やたらと強い子が出てきます。それは、ずっとグーを出し続ける子です。 グーを出せば、相手の指を見るだけで、計算しなくても答えが分かるのです。
しかし、中には「たしてないのに、たし算になるのかな」と疑問に感じる子もいることでしょう。そこで、「相手がチョキで自分がグー」の場合を例に挙げ、このような場面を、これまでと同じようにたし算の式で表してみようと投げかけます。
本時の学習のねらい
「チョキ」と「グー」で、2になることを式に表そう。
自力解決の様子
A つまずいている子
たし算にはできないと考えている。
たし算にはできないよ。だって、グーには指がないから、たしてないです。
B 素朴に解いている子
0を含むたし算の式にすればよいことには気付いている。
「グー」は0にすればいいよ。式は、2+0=2です。
C ねらい通りに解いている子
0を含むたし算の式にするとよい理由も考えている。
2+0=2
0は、「グー」を出していることを表しているよ。
なかなか式に表せない子には、0を含まないたし算を想起させ、「これまでと同じように、 たし算の式にできないかな」と助言します。
板書例

学び合いの計画
チョキとグーの場合を「2+0=2」と、たし算の式に表すことについて、何だか腑に落ちないという子どももいることでしょう。これまでの学習の中で、「たすと答えは大きくなるもの」と見てきたために、疑問を感じてしまうのです。話合いの場では、そうした疑問を取り上げ、「答えは大きくなっていないのに、どうして、『たす0』を書くのか」を説明し合います。
答えは大きくなっていないのに、どうして「たす0」を書くのかな。
どうしてわざわざ0を書くの?
だって、「たす0」は、グーを出したことを表しているからだよ。
だって、「たす0」を書かないと、 グーを出したことが分からなくなってしまうよ。
だって、「たす0」は、0本をたしたことを表しているからだよ。
「たす0」を書かないと、一人がチョキを出しただけのときと、勘違いしちゃうよ。
「2+0」と書けば、チョキとグーを合わせたことが分かるん だね。
本時のまとめ
何もないことを0と書けば、これまでと同じように、たし算の式に書くことができる。
評価問題
2+0=2になるお話をつくりましょう。
期待する解答例
玉入れをしました。1回目は2個入りました。2回目は1個も入りませんでした。全部で2個が入りました。

おはじきを左手に2個持っています。右手には1個もありません。おはじきは全部で2個あります。

感想例
- 何もないことを0と書くとたし算の式にできるので、便利だと思いました。
- たし算じゃんけんの他にも0をたす場面がないか、調べていきたいです。
イラスト/コダシマアコ 横井智美
「教育技術 小一小二」 2019年6月号より