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「話しましょう」はNG!全員が話せる「ペア活動」の秘訣|「個」も「集団」も育つ 学級経営&授業アイデア #1

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太
「個」も「集団」も育つ 学級経営&授業アイデア バナー

AIなどを取り入れたデジタルの可能性とアナログならではのよさを融合させながら唯一無二の実践を続ける鈴木優太先生の連載です。学級経営や授業づくりについて、個々の子供も学級集団もどちらも育つような実践アイデアを、毎月1本紹介します。

執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太

ペア活動がうまくいかない要因

さぁ、ペアで話しましょう。

……シーン。

多くの子は下を向いて沈黙する。一部の子だけが大きな声でお喋り。気まずい時間が流れるから、結局、教師が話し続け、対話とは縁遠い授業になってしまう。そんなペア活動の不全に悩んでいませんか?

原因はたった1つ。「話し手」から始めようとしているからです。

「聞き手」から始め

大人でも、いきなりのスピーチは緊張します。ところが、聞き手から「教えてくれる?」と問いかけられると、不思議とスラスラ話せてしまいます。これは、関心をもって聞いてもらえるという安心感が、言葉の泉を刺激するからです。

だから、子供たちにはこう伝えます。

「相手の話を聞いてあげて」

何を話そう……というプレッシャーから、「聞けばいいんだ」と分かった途端、子供たちはふっと肩の力が抜けるようです。

私たち教師はつい「話しましょう!」と必死になってしまいますが、大切なのは「聞き方」です。相手に耳を傾けることは、聞いてあげられたという貢献感を育みます。たっぷりと聞き合う経験こそが、結果として「話す力」を育てます。聞き上手は、話し上手なのです。

まずは質問から始める

最も効果的な手立てがあります。

まずは質問から始める

これだけで、ペア活動のハードルは驚くほど下がります。

ペア活動「導入期」の黄金システムを紹介します。ポイントは、「考える前に体が動いてしまう」ようにすることです。

【ペア活動「導入期」黄金システム】
1.まずはじゃんけん
2.まずは聞き手と話し手を分ける
3.まずは質問から始める
4.まずは教師の口伴走で始める

算数の時間にペアトークする子供

1.まずはじゃんけん

「さいしょはグー!」

このかけ声がかかると、私たちの体は勝手に反応して拳を出してしまいます。心までほぐれる「最強のアイスブレイク」がじゃんけんなのです。

導入期は、じゃんけんで役割を決めます。「隣の人と話し合います」だけでは、どちらが口火を切るかという無言の探り合いが生じます。この1秒の迷いが、導入期の活動の熱量を奪います。反射的に手を動かし、気付いたらペア活動の土俵に乗ってしまっているのがコツです。

2.まずは聞き手と話し手を分ける

勝った人が「聞き手」です。負けた人が「話し手」です。

じゃんけんの結果が出たら、即座に役割を固定します。回によって「負けた人が聞き手」と変えてもかまいません。

タイマーが鳴ったら即交代。これで公平に両方の役割を経験できます。「どっちから話す?」という譲り合いの時間は、ペア活動をたっぷりと経験してからで十分です。

3.まずは質問から始める

ここが今回の実践の心臓部です。

聞き手「〇〇〇〇を教えてください」
話し手「~~~〜です」

たったこれだけのことですが、効果は絶大です。一方通行の発表は最初はハードルが高くても、質問への返答なら不思議と話せてしまいます 。

「好きな食べ物を教えてください」
「分かる、分かる。それで?」
「どんな感じ?」
「もう少し詳しく教えてください」

聞き手からこのように問われると、話し手から自分の中にあった言葉が溢れ出していきます

質問力≒コミュニケーション力です。時間いっぱいまで「問いと答えのラリー」を楽しみましょう。

はじめのうちは質問文を黒板に書いたり、貼ったり、印刷したカードを手元に置いたりすることで安心して活動できる子もいます。慣れてくると自然に質問できるようになります。子供の状況から時期を見極め、カードや掲示を減らしていくことが重要です。

4.まずは教師の口伴走で始める

以上の流れを、最初は教師が口頭でリードします。

テンポよく、リズムよく、身体が勝手に動くレベルまで導きます。これを「口伴走(くちばんそう)」と呼びます。

【小1 算数の授業シーン】

では、ここまでに学んだことをペアで確認します。お隣と、最初はグー!

じゃんけん、ぽん!

勝った人?

勝った!(挙手する)

負けたー!

勝った人が、20秒間たずねます。

(ぼくが質問するんだ)

先生の後に続けて始めます。
「ここまでに分かったことを教えてください」。どうぞ!

ここまでに分かったことを教えてください。

(聞かれたから答えなきゃ)えっと、前に3人、後ろに5人です

うんうん。

自分も入れなくてはいけません。

もう少し詳しく教えてください。

ノートを見てください。(指差しながら)だから9人です。

あぁ、なるほど!

ピピピピッ、ピピピピッ…!(20秒後タイマーが鳴る)

拍手ー!

(拍手する)

聞き手と話し手を交代します。
「ここまでに分かったことを教えてください」。どうぞ!

ここまでに分かったことを教えてください!

ぼくはね!

このように、教師が質問文を添えることで、ペアでのやり取りがスムーズに始まるため、教室の全てのペアが、同時に話し始めている状態になります。

ペア活動「導入期」黄金システムの4つ全てに「まずは」と冠にしました。最終的には、教師の細かい指示がなくても、子供たちだけで聞き合える姿を目指しているからです。

・あえてじゃんけんをしない
・あえて聞き手と話し手を分けない
・あえて質問から始めない
・あえて教師の口伴走で始めない

一方で、「あえて」手放していくことも重要です。慣れてくると、話しましょうと投げかけても、「誰とでも同じくらい聞き合う」姿が見られるようになります。質問し、答え、また質問し返す。このキャッチボールが自然にできるなら、もう聞き手・話し手という看板も、質問から始めることも必要ありません。望ましいゴールの姿を子供たちと見通し、段階的な支援としてこの順序で始めてみてください。

そうは言っても、月曜の朝や席替え直後など、空気が少しかたいなと感じる場面もあります。「まずはじゃんけん」や「まずは質問から始める」のがやっぱりコツです。行きつ戻りつ、焦らずいきましょう。

ペア活動はキックバイク

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