学校現場のAI活用実践コンテスト2025|各部門のベスト・プラクティスが決定!

全国の学校現場における生成AI活用の優れた実践を共有する「学校現場のAI活用実践コンテスト2025」の最終審査会を、2025年11月16日(日)にオンラインで開催しました。
本コンテストは、小学館「みんなの教育技術」編集部と一般社団法人 教育AI活用協会(AIUEO)が共催し、授業実践・児童生徒支援・校務改善の3部門で、全国から募集した取り組みを審査するものです。
初開催!「学校現場のAI活用実践コンテスト2025」実践事例募集のお知らせ《応募要項》※応募は終了しました

今年は初開催ながら、短い募集期間と動画応募という条件にもかかわらず、全国の教員から46件の多彩な実践が寄せられました。最終審査会では、部門ごとに選ばれたファイナリスト9組が登壇し、実践内容を発表。審査員による協議の結果、各部門でベスト・プラクティスが決定しました。
審査では、教育的効果や創意工夫、再現性、生成AIの適切な活用などを総合的に評価。実践はいずれも現場の課題に根ざした内容で、生成AIによる学びの個別最適化、児童生徒支援の深まり、教職員業務の改善など、多方面での可能性が示されました。
各部門のベスト・プラクティス受賞者は以下の通りです。
各受賞者の実践動画と、受賞のことばを追加しました。(2025/11/25)
授業実践部門:
4年生 体育科「キャッチバレーボール」での生成AIの活用実践 ~Geminiは教師と児童の伴走者~
埼玉県 戸田市立戸田第一小学校 佐藤陽介先生
四年生のキャッチバレーボール授業で、技能差・個別支援不足・指導経験の不足という課題に直面していた佐藤先生。そこでGeminiを伴走者として活用し、振り返りカードの分析による課題整理と目当て設定、条件付きでの練習メニュー提案、作戦カードへの迅速なフィードバックを実現しました。さらに絵本化や啓発資料の作成で個別支援も強化しました。児童端末でAIが使えない環境でも有効で、教師の指導時間不足の解消に役立つ実践となっています。

佐藤陽介先生:今回【ベスト・プラクティス賞】をいただき、大変光栄に存じます。AIの伴走により子どもたちの知識や技能、思考力が大きく伸び、提案を取捨選択する力も育まれました。何より楽しそうにキャッチバレーボールへ取り組む姿が見られ、担任として嬉しく思います。今後もAI活用の可能性を探究し、教育の質向上に努めてまいります。ありがとうございました。
- 児童生徒支援部門:
進路指導における個別最適化を 実現する「AI講師」「AI助手」の活用
東京都 成城学園中学校高等学校 都築則幸先生
成城学園中学校高等学校では、生徒の進路意識の低さや教員の業務負担、指導の属人化を解消するため、「AI講師」(生徒向け)と「AI助手」(教員向け)というAIシステムを導入しています。生徒の学習・活動データは自動でキャリアパスポート化され、AI講師が自己分析や興味に基づくオープンキャンパス提案を行います。教員はAI助手で推薦文や指導要録作成を効率化します。継続的な運用により、学校独自の進路指導や面接・志望理由書の支援体制の構築を目指しています。

都築則幸先生:この度は本校のAI活用の実践に関して、ご評価いただき、ありがとうございました。本校では、どのような方法であれば生徒個々に寄り添った進路指導を継続していくことができるのか。この点が近年の大きな課題としてありましたが、AIを活用した実践を重ねることで、AIが課題解決の糸口になることを実感することができました。今後も様々な場面でAIを活用した方法を模索していきたいと考えています。
- 校務改善部門:
教職員の自己有用感を高める「AI副主任」の導入~「個別最適化」と「協働的」の視点から行った生成AIの活用~
神奈川県 横浜市立金沢小学校 鬼澤大地先生
横浜市立金沢小では、教員の個別化指導準備に伴う負担軽減と自己有用感向上を目的に「AI副主任」を導入しました。AIは教員の経験・得意不得意・忙しさなどの個性情報を収集し、プロジェクトのタスクと照合して適切な仕事分担を理由付きで提案します。割り振り理由の共有によりチームの一体感が高まり、担当者は納得感や評価されている感覚を得ました。導入により、管理側の心労も減り、学校現場での個別最適な働き方の実現に寄与しています。

鬼澤大地先生:このたびは栄えある賞を賜り、心より感謝申し上げます。校務の属人化や業務過多といった課題に対し、生成AIを“働き方を変えるパートナー”として導入した取り組みが評価されたことを大変うれしく思います。今回の実践はまだ小さな一歩ですが、教員一人ひとりの力を最大限に生かし、子どもたちの学びにより集中できる学校づくりに貢献していきたいと考えています。今後も挑戦を続けてまいります。
審査員(敬称略):
池田 修(京都橘大学 教授)
田中 博之(早稲田大学 教職大学院 教授)
藤原 友和(北海道函館市立小学校 教諭)
古田 裕子(Ddrive株式会社/一般社団法人教育AI活用協会)
安井 政樹(札幌国際大学 准教授)
当日の最終審査会の様子は後日、報告記事を掲載予定です。また受賞された各実践のほか、ファイナリストや惜しくも選外となった優れた応募実践についても、当サイトにて順次紹介してまいります。
最終選考会の模様は下記リンク先のYouTubeにて限定公開しています
https://youtu.be/qUbaZdOWtww?si=GUCIIXm_Z2sj3lRM
生成AIの活用が急速に広がる中、学校現場には新たな実践知が生まれています。本コンテストが、その知見を共有し合う場となり、よりよい教育づくりにつながることを願っています。
今後の取り組みについても、公式サイトおよびSNSで随時お知らせしてまいります。
(編集部)
