「グルーミング」とは?【知っておきたい教育用語】
子どもたちが手軽にSNSを利用するようになった昨今、「グルーミング」は、性加害につながる深刻な問題となっています。今回は、グルーミングの手口と対策について解説していきます。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

目次
グルーミングとは
【グルーミング】
性加害につながる準備行動として、加害者が被害者を手なづけるために行う行為。チャイルド・グルーミングとも呼ばれる。
本来「グルーミング」という言葉は、動物の毛づくろいを意味する英語です。しかし性犯罪における「グルーミング」という言葉は、大人が性行為を目的として子どもの懐に入り込み、心を意図的かつ計画的に操ることを指します。
加害者と被害者の関係性の特徴として、加害者自身が被害者自身や周りの大人から信頼されていること、何かに悩んだり困ったりしている被害者に寄り添うふりをして接触を図ること、SNSなどを通じて接近してくることなどが挙げられます。
加害者は、被害者の孤独や承認欲求に付け入るケースが多いため、犯罪が発覚したとき、被害者が加害者をかばうケースがあるともいわれています。また、加害者が被害者の周囲の大人とも親しい場合、大人がいない状況で接する機会が多いためグルーミングが生じやすく、被害が気づかれにくい、周囲に打ち明けづらいことも特徴とされています。
グルーミングの手口
グルーミングには、主に以下のような手口があります。
●グルーミングしやすい環境にいる子どもを選ぶ
家庭や学校に居場所がない、友人関係がうまくいっていないなどで孤立している子どもや、保護者が仕事で家を空けているため、一人で過ごす時間が多い子どもなどをターゲットにします。
●グルーミングしやすいポジションを得る
塾講師や部活動の外部指導者、習い事の先生といった信頼できる大人の立場に身を置き、子どもに安心感を与えることで、親密な関係を築こうとします。また、保護者も顔見知りなどである場合、ある程度信頼を寄せていることから、グルーミングに気づきにくいという点もあります。
●子どもが自分に依存するよう仕向ける
子どもの悩みや不安を聞いて寄り添うふりをすることで、保護者や友達よりも「自分のことを理解してくれている」と感じさせ、心理的にコントロールしようとします。そのほか、金銭やプレゼントを渡すことで貸し借りの関係をつくり、他の人に言えないようにすることも手口の一つです。
●SNSなどを使って巧妙に近づく
子どもの投稿にコメントや「いいね」を送ることで接触のきっかけをつくり、ダイレクトメールや個別チャットなどで会話を重ね、親密な関係をつくろうとします。また、インターネットの匿名性を利用して性別や年齢を偽り、接触するケースもあります。
加害者は、以上のような手口を組み合わせてグルーミングを行い、被害者が情緒的依存を強めたタイミングで、2人きりで会ったり性的な写真を要求したりするなどの加害行為に及ぶケースが多いとされています。