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小6道徳科 深い思いやり「最後のおくり物」

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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官監修による、小6道徳科の指導アイデアです。今回は、B【親切、思いやり】「最後のおくり物」の実践を紹介します。

子供たちが、見ず知らずの人に親切にすることのよさを、教材の登場人物の生き方を通して考え、学んだことを子供たちの生活と確かにつないでいくことを目指した授業です。子供たちがグループごとにホワイトボードに考えたことを記述し、それを学級全体で共有し対話を活性化するためにICTを活用しています。

執筆/鹿児島県公立小学校教諭・廣瀬正一
監修/文部科学省教科調査官・堀田竜次
 鹿児島県公立小学校校長
 鹿児島県小学校道徳教育研究会会長・永里智広

1 はじめに

これまで、「なるほど、そういう考え方もあるんだ」「自分がやっていたことにはこんな意味があったんだ」「もっと優しくなるためにはどうしたらいいか考えてみたい」など、子供たちが道徳の授業を通して新たな気付きを得たり、新たな問いが生まれたりするような深い学びのある授業を目指し、実践を重ねてきました。さらに「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」の視点でも、道徳の授業がさらに充実するよう何ができるかを考え、実践を積み重ねています。今回の実践においても子供たちの道徳性を養うために、ICTを活用しながら、個別最適な学びと協働的な学びを一体的にどのように充実させることができるかを視点に実践を行いました。

【教材について】

この教材には、役者を目指すがお金がなくて学校に通えない青年ロベーヌと、たまたま知り合ったその青年の姿に若い頃の自分を重ね、こっそり金銭面で支えようとするジョルジュじいさんが出てきます。ジョルジュじいさんはそのために必死に働き、最後は体を壊してしまい、お金を渡すことができなくなってしまいます。自分のことしか考えていなかったロベーヌはなぜだと腹立たしく思います。しかし、自分を支えてくれていたのがジョルジュじいさんであったことに気付いたロベーヌが、必死に看病をするという内容です。

【今回の授業のポイント】

今回の授業は、まず、導入で「よく知っている人への親切とよく知らない人への親切」を比べながら話し合い、「よく知らない人」にも親切にする必要があるのかという問題意識をもってもらいます。

次に、展開前段で、たまたま知り合ったロベーヌを助けるジョルジュじいさんの気持ちと、最初は自分のことばかり考えていたが、体を壊したジョルジュじいさんを必死に看病するロベーヌの気持ちをグループに分かれて話し合います。

さらに、それぞれの気持ちを確かめた後に、2人に共通している思いについて考え、見ず知らずの人に親切にすることのよさ・尊さを追究していきます。

展開後段では、本時で気付いた「誰かに親切することの尊さ」や「親切にしたいという思い」は、教材のなかだけのことではなく、自分の生活や自分の心のなかにしっかりとあることを身近な生活場面で考え、教材と生活をつなぎながら考えられるようにします。

終末では、誰かに進んで親切にしようとする心情を育むために、「誰に対しても親切にすること」について、あらためて考える場を設けます。

小6道徳科 深い思いやり「最後のおくり物」 

2 展開の概略

 誰に対しても親切にする必要があるかを考えます。
 本時で追究していきたい問題を各自で考えます。
 教材「最後のおくり物」を読み、登場人物の心情や心情の変化について話し合います。
 (1)ジョルジュじいさんは、どのような思いからロベーヌを助けたのでしょうか。
 (2)ロベーヌは、どのような思いからジョルジュじいさんを看病したのでしょうか。
 (3)2人に共通している思いとはどのようなものでしょうか。
 「よく知らない人に親切にすることのよさ・尊さ」について、話し合います。
 学習で学んだ感じ方や考え方から自分の生活を振り返り、誰に対しても親切にすることについて考えます。
 各自で立てためあてや本時で気付いたことなどについて、あらためて自分の考えを整理します。

3 実際の授業の展開

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