小6国語「サボテンの花」「生きる」指導アイデア
教材名:「サボテンの花」「生きる」(東京書籍)
指導事項:C読むこと エ、オ、カ
執筆/新潟県公立小学校教諭・井上幸信
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、新潟県公立小学校教諭・井上幸信
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、物語文や詩を読んで自分の考えをまとめる力と、その考えを音声言語として表現する力とを育むことを目指します。
本単元で取り組む言語活動は朗読です。朗読とは、「自分が思ったことや考えたことを踏まえ、聞き手に伝えようと表現性を高めて、文章を声に出して読むこと(新『学習指導要領解説 国語編』)」です。したがって、朗読するためには、文章を読み、理解し、作品に対する自分なりの考えをもつことが必要となるのです。
②言語活動とその特徴
本単元では、物語文「サボテンの花」と詩「生きる」とを教材として扱います。4時間扱いの単元ですから、二つの作品の全文を朗読することはできません。 そこで、詩「生きる」の中から、生きることについての自分の考えを音声言語で表現できそうな部分をピックアップして、その部分だけを朗読します。
しかし、六年生になったばかりの子供が、「生きることについての考え」をもつことは容易ではありません。そこで、「サボテンの花」の中心人物であるサボテンの生き方・考え方について検討します。この検討を「生きることについての考え」を見いだすきっかけとしていきます。
単元の展開(4時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①詩「生きる」を読んで、「分からない」と感じた言葉や表現などを出し合う。
・詩「生きる」の一部を朗読するなら、どの部分をどのように読むかを問い、学習課題を設定する。
→アイディア1
【学習課題】自分にとっての「生きる」が伝わる朗読をしよう。
第二次(2~3時)
②「サボテンの花」を読み、内容の大体を捉える。
・時、場、登場人物、出来事などを確認する(確認しながら、子供の文学的な文章を読むことについての実態を見取ると、次の単元につながる)。
③中心人物であるサボテンの「生きる」ことについての考えを読み取る。
・サボテンの生き方を詩「生きる」の中に組み入れるとしたら、どのような言葉になるかを考える。
→アイディア2
第三次(4時)
④詩「生きる」を再読して読みたい部分を決め、どのように表現するかを考え、朗読する。
・なぜその部分を選ぶのか、どうしてそのように表現するのか、理由を自分なりの言葉で表現することができるようにする。
→アイディア3
アイデア1 「分からなさ」を共有し、「分かろう」とする意欲を引き出す
詩「生きる」は、子供たちにとって「分かる気がする部分もあるし、分からない部分もある」作品と感じられるでしょう。本時では、この「分からなさ」を大切にします。
「分からない」と感じる部分を理解する鍵は、作品の題名にあります。どんなに分からないと思う部分も「生きる」ことについて書いてあるのです。「この言葉は、表現はどのような『生きる』を表すのだろう?」と考えながら読んでいきます。
イラスト/畠山きょうこ 横井智美
『小五小六教育技術』2019年4月号より