ページの本文です

子供たちと読みたい 今月の本#2 世界の子供たちはどんなくらしかな

連載
子供たちと読みたい 今月の本
連載
子供たちといっしょに読みたい 今月の本 
関連タグ
子供たちと読みたい 今月の本 バナー

全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子先生にすてきな本を紹介していただく連載です。2回目のテーマは、「世界の子供たちはどんなくらしかな」。世界の子供たちのいろいろなくらしが分かる数々の本を紹介します。日本の学校や習慣、文化と比べてみてください。世界は広くて、いろいろなくらしがあることに気付きます。子供たちの1人読み、先生が読む、読み聞かせなど学級の実態に合わせてください。

監修/全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子

子供たちと読みたい 今月の本#2 世界の子供たちはどんなくらしかな イメージ画像

目次

絵本

絵本と言っても、絵だけでなく、写真、図鑑などいろいろなタイプの絵本があります。低学年の子供だけでなく、中学年、高学年の子供たちにもおすすめです。絵や写真が訴えかけてくる思いなどを感じ取ってください。

 

『すごいね!みんなの通学路』文/ローズマリー・マカーニー 訳/西田佳子 西村書店刊(発行:2017年)

『すごいね!みんなの通学路』

文/ローズマリー・マカーニー 訳/西田佳子 
西村書店刊(発行:2017年)

シリーズ《世界に生きる子どもたち》第1弾。日本、中国、インドネシア、フィリピン、アメリカ、中国、ガーナなど、世界各国の通学風景を収めた写真絵本。世界の様々な地域に住む子供たちは、どうやって学校に通っているのでしょう。自然災害や、川の急流、険しい山道、高い崖にも負けず、毎日懸命に学校へ通う世界中の子供たちの写真が紹介されています。

石橋先生のおすすめポイント
日本の学校に通う子供たちには全く想像がつかない世界の通学路が迫力いっぱいの写真で紹介されています。文章は語りかけるように短めで総ルビなので、中学年以上の子供なら自分で読めるでしょう。でも学校だからこそ、どの学年でもみんなで「すごい!」「えーっ、危ないんじゃないの、こんなところ!」「信じられないよ!」とわいわい言いながら読んでほしい1冊です。国名も記載されているので、地図帳で調べるのも世界の国々への興味を広げてくれます(全学年向き)。

 

『ようこそみんなの世界へ 世界中の子どもたち、ばんざい!』文/モイラ・バターフィールド 絵/ハリエット・ライナス 訳/西山 佑、山﨑伸子  化学同人刊(発行:2021年)

『ようこそみんなの世界へ 世界中の子どもたち、ばんざい!』

文/モイラ・バターフィールド 絵/ハリエット・ライナス 訳/西山 佑、山﨑伸子 
化学同人刊(発行:2021年)

文化も伝統も異なる世界中の子供たち。ここには103の国と地域が出てきます。世界中の様々な国の子供たちがどんな言葉を話して、どんなことをしているのか、そして、自分とはどんなふうに違ってどんなところが同じなのかを知ることができます。

石橋先生のおすすめポイント
まず、表題紙(本文の前にあってタイトルなどが書いてあるページ)を見てください。作者と画家の紹介があり、とてもかわいいのです。「世界中の子どもたち、ばんざい!」にふさわしい写真で、あっと驚きます。図鑑のような本なので、目次を見て興味あるところから読むのもおすすめです。男の子も女の子もスカートをはいて学校に行ったり、スキーリフトで山の上の学校に通ったり……。ハリネズミやアルパカをペットとして飼っている子供もいるのです。どのページを読んでも発見があります(全学年向き)。

 

『せかいの「あそぼう」』 文/こがようこ 絵/下田昌克 監修/岡本啓史 童心社刊(発行:2023年)

『せかいの「あそぼう」』

文/こがようこ 絵/下田昌克 監修/岡本啓史 
童心社刊(発行:2023年)

モンゴル、イタリア、チリ、韓国、エジプト、フィジーの子供たちが大好きな遊びを紹介してくれます。草原やお店、お祭りや氷の上で、どんな遊びが始まるのでしょうか? 「あそぼう」って言ったら、とびきりの楽しい時間がスタートします。

石橋先生のおすすめポイント
日本と全く異なる気候や文化にあっても子供たちは遊ぶことに夢中。馬に乗って草原を走ったり、土砂降りの雨の中で水しぶきをあげて友達と楽しんだり……。日本でもチリでも、凧揚げは子供たちが大好きな遊び。遠く離れた国も同じような遊びがあることも新鮮です。最後のページには「あそぼう!」がたくさんの国の言葉で載っています。外国からの転校生がいたら、その子の国の言葉で「あそぼう!」って教室のみんなで言ってみてください。この本をきっかけに、その子の国の遊びができたらすてきです(全学年向き)。

 

『ランカ にほんにやってきたおんなのこ』 作/野呂きくえ 絵/松成真理子 偕成社刊(発行:2020年)

『ランカ にほんにやってきたおんなのこ』

作/野呂きくえ 絵/松成真理子 
偕成社刊(発行:2020年)

主人公のランカは、花や緑あふれるふるさとの国から日本にやってきた10歳の女の子。日本語は全く分かりませんが、日本の小学校に入ることになりました。下駄箱で靴を履き替えたり、体操服に着替えたり、給食があったり……。ランカが行っていた学校とは違う毎日にランカは一生懸命です。そしてある日……。

石橋先生のおすすめポイント
両親が日本で働くことになり、ある日突然、日本の学校に来た女の子がランカです。外国からの転校生を受け入れることはあっても逆の体験は少ないと思われるので、子供たちにとっても新鮮なお話でしょう。心細いランカの視点で物語が進み、まさに子供ならではの明るさを感じながらページを閉じることになります。絵から伝わる子供たちの思いも味わってほしい絵本です。先生は子供たちに、今の日本の学校に多く通う日本語を母語としない子たちへの作者の願いも一緒に伝えてください(中学年向き)。

 

『ひろい海にぼくたちは生きている』 文・写真/長倉洋海 アリス館刊(発行:2024年)

『ひろい海にぼくたちは生きている』

文・写真/長倉洋海 
アリス館刊(発行:2024年)

3つの海を巡った写真絵本。海に暮らす様々な人々に出会い、海がもたらす恵みと広がり、境界のない生き方について、気付いていきます。

石橋先生のおすすめポイント
世界中あちこち旅して写真を撮っている長倉洋海さんの写真絵本です。とにかく写真の訴える力が素晴らしい! 表紙の女の子のまなざしと裏表紙の透明な海を子供たちと楽しんでください。3つの海を巡る旅なので、どれか1つを紹介したり読み聞かせたりして、あとは子供が自分で読むのもよい方法でしょう。文章を完全に理解できなくても、写真を見るだけで地球上には様々な暮らし・文化があり、子供たちは働いたり、勉強したり、遊んだりして笑顔で暮らしていることが伝わります(中学年以上向き)。

 

『現地取材! 世界のくらし⑱ フィンランド』 文/東海林美紀 写真/東海林美紀 監修/セルボ貴子 ポプラ社刊(発行:2024年)

『現地取材! 世界のくらし⑱ フィンランド』

文・写真/東海林美紀 監修/セルボ貴子 
ポプラ社刊(発行:2024年)

シラカンバの森と湖が広がる厳寒の国フィンランド。教育や福祉の充実、男女平等の意識の高さなどが国際的に評価されている先進的な国です。そんなフィンランドの衣食住をはじめ、夏至祭やクリスマスなどの伝統的な行事や特徴的なサウナ文化などについて、丹念な取材で深掘りします。教育面では子供たちのウェルビーイングを目指す小学校の様子を詳しく紹介。

石橋先生のおすすめポイント
食と習慣、学校生活、子供の遊びなどのテーマごとに、子供たちの様子がたくさんの写真で紹介されています。二次元コードで授業の様子の動画も見られるので、教室でみんなで楽しんでください。フィンランドはとても寒い国なので暮らしの様子は日本とはだいぶ違いますが、子供たちの遊びはどうでしょう。給食は好きなものをその日のメニューから選んで好きなだけ取れるカフェテリア方式だそうです。うらやましいなと思う人もいるでしょう。シリーズで20か国出版されているので、日本の学校と比べて読むと面白いですよ(高学年向き)。

● ● ●

 

石橋幸子(いしばしさちこ)全国SLA学校図書館スーパーバイザー

石橋幸子先生からのメッセージ
世界の学校の様子は、通学路、遊び、日常生活についても日本と比べると違うこと、興味深いことがたくさんあります。また日本の学校に関することでも深く知っていると学校生活がより楽しくなることがあります。教室のみんなで読んで、「へえー! こんなことがあるんだね!」っておしゃべりしてください。明日からの学校がもっと味わい深くなりますよ。ノンフィクション絵本や図鑑のような本は簡単なクイズを出すと子供たちの読みたい気持ちを掻き立てます。ぜひ試してみてください。


監修
石橋幸子(いしばしさちこ)
全国SLA学校図書館スーパーバイザー
東京学芸大学非常勤講師、明星大学非常勤講師、和洋女子大学非常勤講師
長年、東京都の小学校教員を務める。また司書教諭として全教員が学校図書館を授業に活用することを目標として学校図書館を経営。退職後は大学で司書教諭の資格を取得する学生を指導。本を読むことも本で調べることも大好き。もっと心が躍るのは楽しい本を子供たちに手渡すこと。本連載が、先生方と子供たちの本の架け橋になればうれしい。


取材・文・構成/浅原孝子

 

授業で使える312冊の絵本を紹介
『絵本で広がる小学校の授業づくり』書籍表紙

『豊かな心と思考力を育む
絵本で広がる小学校の授業づくり』

著/齊藤和貴(京都女子大学教授)

司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよく分かります。

B5判/112頁
ISBN9784098402212

〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)

京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
子供たちと読みたい 今月の本
連載
子供たちといっしょに読みたい 今月の本 
関連タグ

人気記事ランキング

授業改善の記事一覧

フッターです。