小4理科「人の体のつくりと運動」指導アイデア
執筆/福岡県北九州市立徳力小学校教諭・西山典子
福岡県北九州市立折尾東小学校教諭・木村七帆子
監修/文部科学省教科調査官・有本淳
福岡県北九州市立曽根東小学校校長・中村弘幸
福岡県北九州市立鞘ヶ谷小学校教頭・安田愛
目次
単元目標
骨や筋肉のつくりと働きに着目して、それらを関係付けて、人や他の動物の体のつくりと運動との関わりを調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想する力や生命を尊重する態度、主体的に問題解決しようとする態度を育成することがねらいである。
評価規準
知識・技能
①人の体には、骨と筋肉があることを理解している。
②人が体を動かすことができるのは、骨、筋肉の働きによることを理解している。
③人や他の動物の体のつくりについて、器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られた結果をわかりやすく記録している。
思考・判断・表現
①人や他の動物の体のつくりについて、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。
②人や他の動物の体のつくりについて、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現するなどして問題解決している。
主体的に学習に取り組む態度
①人や他の動物の体のつくりについての事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている。
②人や他の動物の体のつくりについて学んだことを学習や生活に生かそうとしている。
評価計画
総時数 8時間
第1次 腕が動く仕組みについて腕の骨のつくりや動きと関係付けて調べる
1 日常の動きを体験したり、自分の腕に触れたりして、気付きや疑問を出し合い、問題を見いだす。
知識・判断①
人の体には、骨と筋肉があることを理解している。〈発言分析・記述分析〉
自分の体に直接触れたり、動かしたりすることで、興味・関心を高めましょう。見えない部分については、映像や模型を使って人間の体の不思議さ・神秘性に気付くことができるようにしましょう。その際、他人の体の様子について不注意な言動がないよう互いを尊重し合い配慮できるようにすることが大切です。
2 骨のつくりと、腕の動きを関係付けて調べる。(授業の詳細)
思考・判断・表現①
人や他の動物の体のつくりについて、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉
3~4 筋肉のつくりと腕の動きの関係を調べる。
知識・技能③
人や他の動物の体のつくりについて、器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られた結果をわかりやすく記録している。〈行動観察・記録分析〉
主体的に学習に取り組む態度①
人や他の動物の体のつくりについての事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉
本時の学習では、自らの腕を触りながら調べる活動を通して実感をともなった理解を目指すことが大切です。また、調べたことと、レントゲン写真や模型などを比べる活動を取り入れることでより理解を深めることができます。
第2次 体全体の骨と筋肉のつくりと働きについて考える。
5~6 体のいろいろな部分について骨と筋肉を関係付けて調べる。
思考・判断・表現②
人や他の動物の体のつくりについて、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉
7~8 身近な動物の骨と筋肉のつくりや動き方を調べる。
知識・技能②
人が体を動かすことができるのは、骨、筋肉の働きによることを理解している。〈発言分析・記述分析〉
主体的に学習に取り組む態度②
人や他の動物の体のつくりについて学んだことを学習や生活に生かそうとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉
第1次では、人の腕の骨や筋肉について調べることを通して、そのつくりや働きを学びました。第2次では、第1次の学習を基に、子どもたち自らが共通性・多様性の見方を働かせ、体の構造について調べることで、腕と腕以外の部分や、人と動物の共通点や差異点を明確にしていきます。
授業の詳細
第1次 腕が動く仕組みについて、骨のつくりや動きと関係付けて調べる。
2 骨のつくりと、腕の動きを関係付けて調べる。
人や他の動物の体のつくりについて、既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想し、表現するなどして問題解決している。
①問題を見いだす
前の時間に腕相撲や腕立て伏せをして、腕には骨や筋肉があることを学習しましたね。
腕相撲をしているときも腕立て伏せをしているときも腕が曲がっていたね。
曲がらなかったらどうなるのかな。
腕に段ボールや画用紙を丸めたものをはめて動かしてみましょう。
段ボールや画用紙を丸めたものを腕にはめてみることで、腕が曲がる、曲がらないということに意識を向けることができます。また、腕が曲がる仕組みについても考えるきっかけとなります。このように自分の体を使いながら調べることで、主体的に問題に取り組めるようになります。
段ボールや画用紙を丸めたものをはめてをいると、腕が曲がりにくいし自由に動かせないよ。腕相撲もできないね。
腕の骨や筋肉には、腕が曲がるための仕組みがありそうだね。
曲がっているところは、骨がつながっているのかな?
いくつかの骨からできているのかもしれないね。
うでのほねは、どのようなつくりになっていて、どのように動くのだろうか。
骨付きの鶏もも肉を食べたときのことを思い出すことができるようにし、あえて、骨のない柔らかいぬいぐるみなどを見せたりすることで、人の体の骨についても調べてみたいという意欲を高め、予想できるようにします。
②予想する
腕全体に骨があると思います。なぜなら、触ったときに、かたい部分が腕全体にあったからです。
骨は、曲がっているところで分かれていると思います。なぜなら、鶏肉を食べたときにも曲がる部分で分かれていたからです。
③解決方法を考える
腕を触りながら骨のある場所を確認したり、段ボールや画用紙を丸めたものをはめて骨の曲がる場所を確かめたりしてみるといいね。
自分の腕をさわって調べた後に、インターネットや資料でも調べてみましょう。
④観察・実験をする
腕を触ると固い骨があるところが分かるよ。
腕の段ボールの位置をずらすと、どこで腕が曲がるかがわかったよ。
段ボールや画用紙を丸めたものをずらしながら調べることで曲がるところと曲がらないところの違いを比べることができます。また、自分の腕を触って調べた結果をインターネットや本で探した、腕のレントゲン写真と比べることで考えを深めることができます。
⑤結果の処理
腕を触って骨があると思ったところを図に描いたよ。曲がる所にはシールを張ったよ。
記録するときは、腕の輪郭だけ描いたワークシートに、骨を描き入れるようにしましょう。曲がる場所にシールを貼っておくと結果の処理に役立ちます。本時では曲がる場所として、ひじの関節に着目していますが、肩や手首が曲がることに気付く子どももいると思います。そのような場合も、後の学習につながるのでシールを貼らせるようにしてもよいでしょう。また、手のひらの骨の存在に気付いて細かく調べようとする子どもがいると思いますが、ここでは腕の骨にとどめ、図も手首あたりまでにすることが考えられます。
⑥結果をもとに考察する
予想通り、骨は腕全体にあることがわかったよ。
ひじは腕が曲がるところだね。骨と骨のつなぎ目になっているね。
⑦結論を出す
うでは、全体にほねがあり、ひじのところで曲がるつくりになっている。曲がるところを「関節(かんせつ)」という。
⑧振り返る
体の中には、他にも関節がありそうですか。
手首や肩にも曲がる所がありました。足にも関節がありそうです。調べてみたいな。
腕が曲がるところには関節があることがわかりました。筋肉は、どのようなつくりになっているのかな。曲がることと関係しているのかな。
次の時間は、腕の筋肉について学習していきましょう。
安全指導
段ボールや画用紙を丸めたものを腕につけて動きを確かめる際は、机を動かし広いスペースを確保するなど場の設定を考えましょう。また、体が動きにくくなっているため、近くに人がいないことを確認してから行うように指導しましょう。
その他のポイント
腕のつくりを調べる際は、レントゲン写真だけでなく腕の模型の観察を行うとよりわかりやすくなります。腕の動きを立体的にとらえることができ、より理解を深めることへつなげることができます。
イラスト/難波孝