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ICT支援員が先生方に伝えたいこと|五十嵐晶子さんに聞くICT支援員との付き合い方#03

デジタル化が進む教育現場で注目を集める「ICT支援員」。GIGAスクール構想の推進に伴い、全国の自治体でその採用が広がっています。しかし、ICT支援員の具体的な役割や、教職員との効果的な連携方法についてはまだよくわからないという先生も多いのではないでしょうか。

そこでICT支援員に関する理解を深め、よりよい「付き合い方」ができるように、中央教育審議会デジタル学習基盤特別委員会の委員も務める五十嵐晶子さんによる解説を3回にわたってお届けしています。第3回は、学校でのICT支援員との応対について、先生方にぜひ知ってほしいことをお話しいただきます。

ICT支援員を授業に参加させて

授業のねらいを知ることで支援の質が上がります

先生方から見たとき、ICT支援員による授業立ち会いは「操作で困っている人いないかな~」「ICTのトラブルないかな~」っていうように、パトロール気分で見回っている人という印象が強いかもしれません。でも、ICT支援員の「支援」って本来そういうことじゃないんです。

私がICT支援員さんたちに指導するときは、まずは授業の中身に関心を持って、「この授業面白いな」とか「へえ、そうなんだ。知らなかった!」といった感じで、授業の参加者になりましょうと言っています。参加者としての視点で見れば、自分たちが子供のときに受けた授業とは違った授業になっていることがわかるはずですし、先生の意図とか、子供の反応の理由なんかも見えてきます。もちろん不具合が起これば、すぐさま対応するということは大前提ですが。

そして、授業の中身に関心を持って授業に参加することを続けていると、支援の質が変わってくるんです。たとえば先生から「音楽で五線譜を共有したい」と言われた場合、子供たち同士で共有したいのか、先生の五線譜を配布したいのかによって、使うアプリは変わってきます。授業のねらいがわかっていると、より的確なアドバイスができるのです。

ICT支援員は授業監視員でも家来でもありません

ところが先生方の中には、「ICTは使ってないから授業は見なくていいよ」とか「教室へ勝手に入らないで」などと言って、ICT支援員が授業に入ることを拒む人がいます。教室に入れたとしても「ICTの操作補助だけやってくれればいいから」とか言う人も。こうなってしまうのは、ICT支援員の役割や仕事が誤解されていることが原因だと思います。

ICT支援員は、ICTを使っていない先生を探し出すスパイではありません。授業で効果的に使っていただくべく、良い支援をするために授業が見たいのです。ちゃんと理解できなければ、授業者支援も学習者支援もできませんから。

一方で、残念ながらICT支援員を部下か家来のように思っている先生もいます。理由や背景もわからず、「あれやれ、これやれ」と言われてばかりでは、「自ら考えて動くICT支援員」にはなれません。理由や背景とともに指示してくれれば、「なるほど、この場面ではこの機材が必要になるんだな」などと考えられますから、ICT支援員として必要なスキルや知識を身につけていくことができます。

またICTに詳しい先生のなかには、「こんなことも知らないの?」などと言ってくる方もいます。でも、ICTに関わる全ての知識を持っている人なんていません。また、ICT環境や情報端末の運用ポリシーは、たいていの場合、学校独自または自治体独自のものなんです。「これが常識!」といきなり言われても分かりません。ポリシーをきちんと教えてもらえれば、ちゃんと真摯に対応しますので、まずは教えてください。

私たちICT支援員としては、私たちに対して「学校の授業をよくするための仲間」という意識を持っていただきたいのです。互いに協力し合える関係になれば、先生方もよりよい授業ができるようになるはずです。

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