小4算数「大きい数」指導アイデア《億の単位を用いた数の構成や表し方を考える》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
小4算数「大きい数」指導アイデア
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執筆/板橋区立天津わかしお学校教諭・内藤信義
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京学芸大学玉川大学非常勤講師・長谷豊

年間指導計画 大きい数

単元の展開

第1時 (本時)一億までの数の仕組みに着目し、億の単位を用いた数の構成や表し方を考える。

第2時 十進位取り記数法や万進法に着目し、兆の単位を用いた数の構成や表し方を考える。

第3時 大きな数を10倍や100倍した数や[MATH]\(\frac{1}{10}\)[/MATH]や[MATH]\(\frac{1}{100}\)[/MATH]にした数について調べる。

第4時 0から9までの数字を使って、どんな大きさの整数でも表せることを理解する。

第5時 既習の計算に着目し、3位数×3位数の筆算の仕方を考える。

第6時 乗数に0を含む乗法や末尾に0のある数の簡単な計算の仕方を考える。

第7時 学習内容の定着を確認する。

本時のねらい

一億以上の数の構成や読み方、書き方や一億、十億、百億、千億の数の大きさと命数法、記数法を数の見方や既習の整数の表し方を基に考え、説明することができる。

評価規準

億の単位を用いた数について、既習の一億までの数の仕組みを基に考え、説明している。

本時の展開

本単元では、3年生までの大きな数の学習と関連させることがとても重要になります。そこで、まずは千万までの数のふり返りをしながら、数を広げていきます。そのなかで、千万より大きい数に出会ってどのように数を読めばよいのかを学習のめあてとしていきます。

今回は人口を問題場面にしました。都道府県の人口は多くて千万から百万、日本や世界の人口が億を超えるので、比較する題材としては適していると考えました。

図表1

今日は2023年のいろいろなところの人口を比べます。まずは都道府県人口ランキングベスト3です。どの都道府県が1位ですか。

東京都です。

本当ですか。一番左の数字は1ですよ。でも、神奈川は9で大阪は8です。

桁の数が違います。

一の位をそろえて書いてみると分かります。

大きさを比べるときには位をそろえて書きましたね。これに書いて、比べて、読んでみましょう。

図表2

東京都は千万の位で、神奈川県や大阪府は百万の位まであります。

東京都は一千四百九万九千九百九十三人、神奈川県は九百二十二万九千七百十三人、大阪府は八百七十七万四千五百七十四人です。

次はここ(緑のところをさす)を考えてみましょう。最近減っているらしいのですが……(と言いながら緑のところをめくる)。

図表3

日本の人口は多いです。

千万だとはみ出します。

次の位が必要です。

確か千万を10個集めた数は一億だと学習しました。

千万よりも大きな数の位や読み方について調べてみましょう。

問題
日本の人口123294513人のように、千万よりも大きな数の位や読み方について調べよう。

大きな数の位と読み方を考えます。まず、千万より左の大きい位はどのように表せばよいですか。

図表4

千万の隣は一億の位です。

千万の位の左の位を一億の位と言います。千万がいくつ集まると一億になりますか。

千万が10個集まると一億になります。

それを下のように表すと、□にはどんな数が入りますか。

図表5

10個集まっているから10倍です。

1億を超える日本の人口を位の表に書いて読んでみましょう。

一億二千三百二十九万四千五百十三です。

すばらしい。2022年は一億二千四百九十四万六千七百八十九人だったそうです。確かに減っていますね。では、次のここ(ピンクのところ)を見てみましょう。こちらは年々増えているようです。

日本の人口ときたから、次は世界の人口だと思います。

その通りです(ピンクをめくる)。さて、この数は読めそうですか。

図表6

一億の位より大きくなりそう。一億の位の次の位は、何と言えばいいのかな。

8045311447人は大きな数なので、一億の左の位も考える必要がありそうですね。一億よりも大きな位を考えて、世界の人口を読んでみましょう。

図表7

学習のねらい
8045311447人のような一億よりも大きな数の位について考えよう。

見通し

この表を使って位を考えてみましょう。何か気付いたことはありますか。

図表8

※このような表を提示する。

左に位がたくさん書けるようになっています。

位は、左にはまだ先がありそうです。万の位みたいに続くのかも。

一億の左の位のさらにその先を考えられそうな人は、そこも考えてみてください。(上のような表はヒントとして欲しい子供には渡す)

自力解決の様子

A つまずいている子
一億より大きな位が分からず、どのように読めばよいのか迷っている。


B 素朴に解いている子
一億の左の位を十億の位として世界の人口を読んでいる。


C ねらい通り解いている子
万の位と同様に考え、十億百億千億と位を考えている。

学び合いの計画

この自力解決から学び合いまでの時間を通して子供たちに気付かせ、理解させたいこととして

一億の次の位は十億であること 
十億を超える世界の人口を読めること 
十億の位の次は百億千億となっていること

があります。そのための見方・考え方として、

10倍すると位が一つ上がるという十進位取り記数法の仕組み 
一十百千の4桁ごとに単位が付いている万進法の仕組み

があります。そこに気付くための材料となるよう、これまでの学習の少し長めのふり返りの時間となっています。

Aのような子が「一億の左の位が十億である」ことに気付くためには、一万の隣が十万であることを基にする必要があります。それに気付くことで、さらに左に百億の位、千億の位と続くことに気付くことができます。

その気付きを生むために、教師が個別に支援してもよいですが、子供どうしの学び合いのなかで生み出したいところです。例えば、「一億の位の左の位を考えるとき、参考になりそうなところはどこ?」「近くの人と一億の位の左の位だけ発表し合ってみましょう」「理由も話し合ってみましょう」のような声かけをして見通しをもてている子供にヒントを少し聞いたり、3~4人で一億の位の左の位だけ発表し合ったりしてみるとよいと思います。

ノート例

B 素朴に解いている子

ノート例1

A つまずいている子

ノート例2

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

世界の人口は読めそうですか。まずは、この一億より大きい位はどうしましたか。

十億にしました。

一万の次は十万なので、同じように一億の次も十億にしました。

十億の次は百億、その次は千億だと思います。

どうしてそう思うのですか。

だって、万のときも一万十万百万千万となっているから、億のときも同じになります。

一十百千から始まって、万でも一十百千だから、億も一十百千になります。

なるほど、億の位を考える基になった万の位の考え方まで説明できたのはすばらしいですね。さて、それだと世界の人口も読めそうですか。

八十億四千五百三十一万千四百四十七人です。

すばらしい。去年は七十九億人だったらしいです。日本の人口は減っているけれど、世界の人口は増えているようです。億の世界も読めそうだから、世界の人口のような大きな数も調べることもできるようになりましたね。

さて、大きい位が出てきても、それを考えられて、実際に大きな数も読むことができましたね。今日のような大きな数は初めてなのに、なぜ位を考えたり読んだりすることができたのでしょう。

しくみが同じだからです。

10倍したり10集まったりしたら位が1つ上がっていくしくみは同じです。

一十百千一十百千と、位が万や億が付いても同じように繰り返しているからです。

位さえ分かれば、読むときも数字と位を組み合わせれば読めます。

数が大きくなっても位の書き方や読み方には共通点があるのですね。それを基に考えて、新しいことも解決できましたね。

学習のまとめ
一億より大きい数でも、10倍すると位が1つ上がるしくみは同じ。
億になっても、万のときと同じように一十百千となっている。

最後に、10倍したり10集まったりすると位が上がること、一十百千と位が続いていることをまとめておきましょう。□に入る数字はどうなりますか。今日の学習をふり返りながら考えてみましょう。

図表9

※十億を10億、百億を100億、千億を1000億と表すこともあります。

評価問題

⑴ 2022年の世界の人口は7975105156人でした。左から3番目の7は千万が7こあることを表しています。左から4番目の5と右から4番目の5はそれぞれ何が何こあることを表していますか。

⑵ 読んでみましょう。
①347100000000円(千葉県農業産出額 2022年)
②17670000000人(日本の鉄道利用者数 2020年)

図表10

※実態に応じて位の表を支援として渡す。

子供に期待する解答の具体例

(1)左から4番目の5は百億が5個、右から4番目の5は千が5個
(2)①三千四百七十一億円  
   ②百七十六億七千万人

感想例

学習感想を書きましょう。今日学んだこと、成長できたこと、次に生かせそうなこと、学んでみたいことなどを書きましょう。

数が大きくなっても、10倍したら位が1つ上がるというしくみが同じなので、分かりやすかった。

一十百千が繰り返されて、万や億がついていることが分かってよかったです。

億の位も考えられたので、もっと大きな数を考えてみたい。

万の位の次が億の位だから、次の位もあるはず。そして一十百千と続くと思います。

1人1台端末活用アイデア

今回は位の表が何度も登場します。これをそのままノートに自力で書き写すのは難しいので、教科書に書き込んだり、位の部屋に書き込めるようなワークシートを用意したりすることと思います。それをデータとして作成しておくと、1人1台端末を活用できると思います。

それぞれの端末に必要に応じて作成したシートを送り、そこに書き込んだり打ち込んだりさせることで自力解決をしたり、そのシートを全体で共有して発表や検討に使ったりすることもできます。少し大変かもしれませんが、位の部屋の枠などは他の学年でも活用でき、このようにして作成した教材は次年度以降も活用できます。1人1台端末に配付できたり、紙に印刷して配って書き込んだりできるような教材をつくっておくとよいと思います。

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