子供たちといっしょに読みたい 今月の本#2 図書館へ行こう~本と出合うきっかけになる本~

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子供たちといっしょに読みたい 今月の本 
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本好きの子供を育てる読書指導のアイデア
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東京学芸大学附属小金井小学校司書

松岡みどり
子供たちといっしょに読みたい 今月の本  バナー

新連載の2回目のテーマは、「図書館へ行こう~本と出合うきっかけになる本~」です。新年度がスタートして、学校図書館へ行く機会も増えてきます。本好きの動物たちや不思議な図書館が登場するお話など、図書館へ行くきっかけや本と出合うきっかけにしたい本、図書館のオリエンテーションに使える本などを紹介します。子供たちの1人読み、先生が読む、読み聞かせなど学級の実態に合わせてください。学級文庫などのヒントにもなります。

監修/東京学芸大学附属小金井小学校司書・松岡みどり

トップ画像「チャンレンジしたいこと」

低学年

本好きの動物たちや魚たち、海の図書館などが登場する本や図書館にまつわる楽しいお話です。小学1年、2年の子供たちを本好きにするきっかけにしてください。 

 

ふたりはとっても本がすき!

『ふたりはとっても本がすき!』

作/如月かずさ 絵/いちかわなつこ 
小峰書店刊

チーターのチッタちゃんとカバのヒッポくんは、本が大好き。でも、読み方がちょっと違います。速く、たくさん読むチッタちゃんと、ゆっくりじっくり読むヒッポくん。正反対の2人が本を通して友情を深めます。

松岡司書のおすすめポイント
2人は対照的な本の読み方をしています。読み方は1つではなく、子供たちを見ているといろいろな本の読み方があります。2人の共通点は本を読むのが楽しいということです。本の読み方だけでなく、何に対しても相手を否定するのではなく、認め合っていくことが大切だと分かるのではないでしょうか。

 

うみのとしょかん

『うみのとしょかん』

作/葦原かも 絵/森田みちよ 
講談社刊

本好きのアオザメと、図書館員のヒラメが主人公。海の図書館にやってくるタコやマンボウ、マグロ、クルマエビ、カニといった海の生きものたちの持ち味を生かしてやさしく描いた物語。4つの小さな話に分かれています。

松岡司書のおすすめポイント
カニの子供たちが本を読むとビリビリに破けてしまうけれど、修理してくれるブダイさんがいるから大丈夫。読みたい本を案内してくれる司書さんがいたり、修理する人がいたり、実際の図書館に近いスタッフが登場するので、図書館を身近に感じることができます。

中学年

本の不思議な魅力を伝えるファンタジー。小学3年、4年の子供たちをお話好きにする1冊にしてください。

 

トムと3時の小人

『トムと3時の小人』

作/たかどのほうこ 絵/平澤朋子  
ポプラ社刊

小学生のつとむが古道具屋で見付けた、赤い表紙の本『トムと3時の小人(下)』。つとむと、つとむが読んだ本の主人公トム、2人の少年の視点から日常の中に潜む不思議を描いたファンタジー。

松岡司書のおすすめポイント
古道具屋で見付けた『トムと3時の小人(下)』は「下」なので、「上」があるのではないかと考え、図書館で探し当てた本は禁帯出でした。自分と主人公を合わせて読み進めていける物語です。この本を読んだ子供たちは「自分も新しい本に出合えたらよいな」と図書館がワクワクする空間になるのではないかと思います。図書館には持ち出し禁止の本があることも分かります。

 

お話のたきぎをあつめる人 魔法の図書館の物語

『お話のたきぎをあつめる人 魔法の図書館の物語』

作/ローレンティン妃&パウル・ヴァン・ローン 訳/西村由美 絵/佐竹美保 
徳間書店刊

オランダ王国ローレンティン妃殿下が、本や物語の楽しさを子供たちに伝えたいと、人気作家とともに著したファンタジー。誰もいないお城に不思議な図書館があります。「お話の図書館」に足を踏み入れた女の子ステレの冒険!

松岡司書のおすすめポイント
図書館で楽しい時間を過ごすうち、ステレは村の広場で子供たちに図書館で読んだお話を語るようになりますが……。自分だけで本を読むのではなく、本の楽しさを伝える女の子のお話。読んだものを伝える魅力も教えてくれる1冊です。

高学年

図書室の不思議な空間を描いた物語を紹介します。現実にはないかもしれませんが、小学5年、6年の子供たちに図書館のワクワク感を届けます。

 

ぐるぐるの図書室

『ぐるぐるの図書室』

著/まはら三桃 菅野雪虫 濱野京子 廣嶋玲子 工藤純子 
講談社刊

舞台は十々年(ととね)小学校の図書室。もやもやっとした気持ちの小学5年生たちが、貼り紙に誘われて図書室に入ってみると、不思議な司書から、不思議な本と出合うきっかけを渡され、不思議な世界へ迷い込みます。児童文学界の5人の作家が「図書室」という1つのテーマで競作したリレー小説。

松岡司書のおすすめポイント
不思議な話あり、恋の話あり……。ファンタジーと現実が交差したようなこの本を読んで、「もしかしたら不思議なことがあるかもしれない」と図書館に行くきっかけになるかもしれません。この本のように複数の作家による作品を読んで、自分の気に入った作家が見付かったら、他にどんな作品を書いているのか探してみるのもおすすめです。

学校図書館を知る本

図書館のオリエンテーションは欠かせないものになっています。オリエンテーションでの読み聞かせを想定した絵本シリーズです。

  

いこうよ がっこうとしょかん① みんな まってるよ!

『いこうよ がっこうとしょかん① みんな まってるよ!』

監修/横山寿美代 絵/青山ゆういち 
少年写真新聞社刊

学校図書館初心者の子供たちに送る絵本のシリーズ。1作目は図書館がどんなところで何ができるかを明るく楽しく伝えます。

  

いこうよ がっこうとしょかん② 本の声を聞きました

『いこうよ がっこうとしょかん② 本の声を聞きました』

監修/横山寿美代 絵/ささきみお 
少年写真新聞社刊

本を大切に扱うことは図書館利用のマナーの基本。どんなことをすると図書館の本が困るのか、本たち自身が語ります。

 

いこうよ がっこうとしょかん③ としょかん町のバス

『いこうよ がっこうとしょかん③ としょかん町のバス』

監修/横山寿美代 絵/イクタケマコト 
少年写真新聞社刊

学校図書館や公共図書館の多くで使われている日本十進分類法の内容を、バスに乗って町を巡る感覚で見て回ります。ゲーム感覚で10の分類が理解できます。

 

いこうよ がっこうとしょかん④ 学校図書館 ここはいつでもぼくの場所

『いこうよ がっこうとしょかん④学校図書館 ここはいつでもぼくの場所』

監修/横山寿美代 絵/埜納タオ 
少年写真新聞社刊

どんなときでも子供たちを大歓迎し、前を向いて踏み出す力をくれる、学校図書館という場所を描いた絵本です。ちょっとしたトラブルを抱えた子供が学校図書館と出合い、前に進んでいきます。

松岡司書のおすすめポイント
学校図書館のオリエンテーションが欠かせないようになっています。オリエンテーションの際、司書さんが図書館や本の説明をするのもよいのですが、この絵本シリーズを読み聞かせする方法もあります。この絵本シリーズは、オリエンテーションでの読み聞かせを想定されているため、楽しく図書館のことがよく分かります。本の取り扱いについて間違った使い方をすると何がいけないのか、どんな問題が起こるのかを本たち自身が語ったり、日本十進分類法の10の数字を町にたとえて紹介したり、学校司書や図書委員が読書が好きな子もそうでない子も、いつでもみんなを大歓迎してくれるということを楽しく伝えてくれたりする内容です。

図書館を紹介する本

日本にはいろいろな図書館があることがよく分かります。

  

日本の最も美しい図書館 改訂版

『日本の最も美しい図書館 改訂版』

著者/立野井一恵 
エクスナレッジ刊

日本には公共図書館だけでも3000以上存在します。歴史的な建物を転用したレトロ図書館から有名建築家が手がけたおしゃれな図書館まで様々な美しい図書館が全国各地にあります。そんな中から厳選した「一度は訪れてみたい!」図書館41を紹介。

松岡司書のおすすめポイント
公共図書館だけでなく普段は見られない大学図書館など様々なタイプの図書館が登場します。遠くに行かなくても、すばらしい図書館の世界を堪能できます。図書館は日々更新しているので、機会があれば足を運んでください。この本を見ると図書館に行きたくなるのではないでしょうか。

こちらもおすすめ!

図書館への興味がわく絵本です。

 

きょうりゅうバスで としょかんへ

『きょうりゅうバスで としょかんへ』

文/リウ・スーユエン 絵/リン・シャオペイ 訳/石田稔 
世界文化社刊

台湾発! 大人気「きょうりゅうバス」シリーズが日本初上陸! 図書館を舞台に繰り広げられる、子供たちときょうりゅうくんの心温まるファンタジー絵本。

松岡司書のおすすめポイント
きょうりゅうくんは本がとても好きだけれど、体が大きすぎて図書館へ入れません。そこで、きょうりゅうくんは「移動図書館」になってしまいます。カバー裏に世界10か国の「移動図書館」が紹介されているのも魅力的。お話を楽しみながら、読書文化や世界への興味が広がると思います。

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松岡みどり

松岡みどり司書からのメッセージ
同じ本をじっくり何回も読む、いろいろな本を早く読む、本を読んで励まされる、登場人物の疑似体験をするなど、本の読み方も人様々です。また気に入る本も多岐にわたります。子供それぞれのスタイルで多様な読み方やお好みの本があってよいと思います。学校図書館に足を運んで、自分がワクワクする空間を探してください。司書さんと近付いて、楽しい本との出合いのきっかけにしてください。今回紹介する本を入り口にして、本の空間を味わっていただけるとよいですね。

 

読書や本の情報が満載

ウェブサイト「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」(東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会)
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/

取材・文・構成・撮影/浅原孝子

 

授業で使える312冊の絵本を紹介
『絵本で広がる小学校の授業づくり』書籍表紙

『豊かな心と思考力を育む
絵本で広がる小学校の授業づくり』

著/齊藤和貴(京都女子大学教授)

司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよくわかります。

B5判/112頁
ISBN9784098402212

〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)

京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。

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