小5社会「水産業の盛んな地域」指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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執筆/札幌市立山の手南小学校教諭・樋渡剛志
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
     札幌市立山鼻小学校校長・佐野浩志

年間指導計画

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・国土の地形と気候の概要
・低い土地のくらし
・高い土地のくらし
・あたたかい土地のくらし
・寒い土地のくらし
・米づくりの盛んな地域
・水産業の盛んな地域
・日本の工業生産と工業地域の特色
・自動車工業の盛んな地域
・工業生産を支える貿易や運輸
・放送などの産業とわたしたちのくらし
・情報を生かして発展する観光業
・情報を生かして発展する販売業
・情報を生かして発展する運輸業
・国土の自然災害
・私たちの生活と森林
・公害からくらしを守る

目標

我が国の水産業について,水産物の種類や分布,生産量の変化,輸入など外国との関わり,生産の工程,人々の協力,技術の向上,輸送,価格や費用などに着目して,地図帳や地球儀,各種の資料で調べてまとめ,我が国の水産業の様子を捉え,その産業の果たす役割を考え,表現することを通して,我が国の水産業は,自然条件を生かして営まれていることや,国民の食料を確保する重要な役割を果たしていること,生産性を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして,良質な食料を消費地に届けるなど,食料生産を支えていることを理解できるようにするとともに,主体的に学習問題を追究・解決し,学習したことを基に,社会の一員として,これからの水産業の発展について考えようとする態度を養う。

評価規準

知識・技能

①水産物の種類や分布、生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用、生産量の変化などについて、地図帳や統計などの各種の資料で調べて、必要な情報を集め、読み取り、水産業の概要やそこに関わる人々の工夫や努力を理解している。
②調べたことを図や文などにまとめ、水産業は自然条件を生かして営まれていること、水産業に関わる人々は生産性や品質を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして、良質な食料を消費地に届けるなど食料生産を支えていることを理解している。


思考・判断・表現

①水産物の種類や分布、生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用、生産量の変化などに着目して、問いを見いだし、水産業の概要や水産業に関わる人々の工夫や努力について考え、表現している。
②水産業と国民生活を関連付けて、水産業が国民生活に果たす役割や水産業に関わる人々の働きを考える。学習したことを基に消費者や生産者の立場などから多角的に考えて、これからの水産業の発展について自分の考えをまとめて、適切に表現している。


主体的に学習に取り組む態度

①我が国の水産業における食料生産について、予想や学習計画を立て、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
②学習したことを基に消費者や生産者の立場などから、これからの水産業の発展について考えようとしている。

学習の流れ(9時間扱い)

問題をつくる 1時間

  • 魚をとったり運んだりしていることに着目して学習問題をつくり、予想を基に学習計画をつくる。

(学習問題)
どのように魚をとって、私たちの元に届けているのだろう?


追究する 7時間

  • 魚がどのようにとられ、私たちの元に届けられているのかについて、動画資料などを基に調べる。(3時間)
  • 水産資源や自然環境を守ることについて、育てる漁業や漁獲量の変化、200 海里水域、植林活動等の資料を基に調べる。(4時間)

まとめる 1時間

  • 調べてわかった ことをイラストカードや巻物に整理し、水産業が国民生活に果たす役割を考え、表現する。

問題をつくる

生きた魚と調理した魚を基に、魚がどこからどのようにして食卓まで届けられているのかを予想し、学習問題をつくる。(1/9時間)

導入のくふう ーブラックボックスをつくり、追究したくなるようにするー

子供たちから、「調べてみたい」「もっと知りたい」という思いを引き出すように、始めと終わりだけを提示し、中がどのようになっているのかがわからない状況をつくりだす。魚がとられてから食卓に届けられるまでの時間的な流れに着目して、単元の学習問題につなげるようにする。

 


1時間目 
鮭と鮭の料理の提示により、その間に何があったのかを知りたくなる思いを引き出し、学習問題を立てるようにする。

みんな大好き、鮭のムニエル。鮭はどこからともなく食卓に現れ、ムニエルとなるのでした。

●ブラックボックスをつくり、その中を追究したくなる思いを引き出す。

鮭と鮭のムニエルのイラスト

主体的な学びにつながるポイント
最初(魚)と最後(料理)だけを提示し、その間で行われていることを「?」で隠しておきます。そうすることで、何があったのかを追究したくなる思いを引き出します。

絶対違う!いきなり料理にならないよ。

そうそう!スーパーで買うんだよ。

なるほど。鮭は、家ではなくて、スーパーにやってくるのですね。

違うよ!勝手にスーパーに来ないよ!

●何が明らかになり、何が明らかになっていないかをはっきりさせ、学習問題をつくっていきます。

 
どのように魚をとって、私たちの元に届けているのだろう?

それでは、ブラックボックス にどのようなことがあるのかを共同編集機能でまとめ 、共有しましょう。

魚が届くまでの図

●明らかになったこと、明らかにできなかったことをはっきりさせ、学習計画をつくっていきます。

これから、どんなことを調べていくと、魚がどのように食卓まで届けられているのかがわかりますか?

漁師さんは、どのように魚をとっているのかな?

とった魚は、すぐにトラックに積んでいるのかな?

農業の時のように、困っていることはないのかな?

農家の時のように、漁師さんの工夫はあるのかな?

追究する

水産業に関わる人々の営みについて、資料や写真、グラフから読み取ったり、1人1台端末を活用して調べたりする活動を通して、水産業が自然条件を生かして営まれていることや国民の食料を確保する重要な役割を果たしていること、生産性や品質を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして、良質な食料を消費地に届けるなど食料生産を支えていることについて理解する。(2、3、4、5、6、7、8/9時間)

調べ方のくふう ーICTを活用し、実感的に捉えるー

「どのように魚をとって、私たちの元に届けているのだろう?」という問いを解決するために各種資料を適切に活用しながら調べていくことができるようにする。目に触れたり体験したりする機会が少ないので、動画資料を活用しながら調べられるように、資料を提示したり教師が促したりする。

  


2時間目 
1人1台端末を利用して、さんま漁を調べる。

●動画を視聴し、工夫を読み取る場を構成する。

どのようにさんまをとっているのかを調べよう。

北海道公式チャンネル(YouTube)

さんま漁のイラスト

赤色の電気や青色の電気を使っていたよ。

水揚げをしてから先がわからないよ。

漁の仕方が明らかになったよ。

どこまで明らかになったか、次は何をはっきりさせたいか、計画を見直そう。

魚が届くまでの図

漁の仕方が明らかになったよ。

水揚げをしてから先がわからないよ。


3時間⽬ 
水揚げされたさんまが、箱詰めされるまでの様子を調べる。

水揚げされたさんまが、箱詰めされるまでを調べよう。

NHK for School 見せたい動画クリップを見せられます。

魚が届くまでの図

せりまでの間も冷やしていたよ。衛生面にすごく気を付けているんだね。

せりでは、漁にかかる費用が加えられるんだ。

市場の近くの加工工場。それだけ新鮮さに気を付けているんだ。

トレーサビリティで、安全安心なさんまを届けているんだわ。

それだけ私たちに安全で新鮮なさんまを安心して食べてもらいたいんだわ。


4時間⽬ 
箱詰めされたさんまが、どのようにしてスーパーまで届けられているのかを調べる。

イラスト/(資)イラストメーカーズ

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