小4国語「なりきって書こう」京女式板書の技術
今回の教材は、「なりきって書こう」です。この単元では、書く力を育てることを目的にしています。3年生で学習した日記を書くという言語活動を足場にして「言葉日記をつける」という習慣を育てようとしています。
そのため、具体的にどのようなことに気を付ければ「言葉日記」が書けるのか、続けられるのかということをイメージでき、「言葉日記」を書きたい気持ちに高める板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子
単元名 「なりきって書こう」(光村図書)
目次
単元の計画(全2時間)
1 自分が「なりきるもの」を選んで、なりきった文章を書き、友達と読み合い、感想を伝え合う。
2 言葉に着目した「言葉日記」を書く気持ちをもつ。
板書の基本
○教材「楽しく書こう なりきって書こう」は、書く力を育てることを目的にしています。学習活動として「なりきるものを1つえらぼう」を話題にして、取材の広がりを期待しています。また、文例「リク(犬・八さい)」は、2段落構成で、日常生活から取材したものを友達に伝わることを目的にして書くことが主な学習活動です。
〇学習活動は、文を楽しんで書くことを意図しながら、国語科として「言葉日記をつけよう」へと目標を定めています。つまり、3年生の日記を書くという言語活動を足場にして「言葉日記をつける」という習慣を育てようとしています。
〇板書においては、以上のように、教材が意図するものを分かりやすく示すことが必要であると考えています。また、具体的にどのようなことに気を付ければ「言葉日記」が書けるのか、続けられるのかということをイメージできる板書、さらには「言葉日記」を書きたい気持ちに高める板書にしたいと思っています。
板書のコツ(2/2時間目前半)
板書のコツ①
最初に、日付、題名を板書し「言葉日記」は、どんな日記であるかということの大体を説明します。「言葉日記」のイメージを広げるために前時で学習した「なりきって書こう」の説明と文例を話題にしています。その中で、楽しく日記を書くことに加えたい言葉を大事にすることを補足し、「言葉日記」への意識を高めます。
「言葉日記」の説明として、教科書の文章である「日々の読書や会話の中での言葉との出会いを残していきましょう」に着目させます。そして、大事なこととして「日々の読書や会話」「言葉との出会い」を赤チョークで板書します。
板書のコツ②
教科書20ページの「はじめて出会った言葉」「心にひびいた言葉」「使ってみたいと思った言葉」が「言葉日記」の大切な視点であることを指導します。しかし、具体的に何を書くのか、言葉を見付けるとはどうすることなのかを理解できないというのが実態です。もっと知りたいという気持ちに応えるために、前教材「春のうた」(草野心平)を話題にします。
板書のコツ③
詩「春のうた」の指導では、「はじめて知った言葉」「おもしろい言葉」「様子がよく分かる言葉」などの言葉を選んで話し合いを進めていきます。「春のうた」の学習で話し合った印象に残る言葉を「はじめて出会った言葉」「心にひびいた言葉」「使ってみたいと思った言葉」のところに位置付けて、カードと対応させて板書します。この板書により、言葉の見付け方、選び方などの学習方法の習得を目標にしています。
板書のコツ(2/2時間目後半)
板書のコツ①
黒板右から中央にかけての板書をもとに、「言葉日記」であればどのような文になるかということを学習します。方法としては、口頭作文という形式をとります。授業では、次のような発言になります。
C:「春のうた」の詩で、「いぬのふぐりがさいている」というのがあったでしょう。ぼくは、花というのは分かったし、どこかで聞いたこともあったけど、分からなかったんだ。
T:それで、どうしたのですか。
C:図鑑で調べました。
など、具体的な発言を生かして、「『今のようにそのまま書く』とよい日記になります。その中でも次のように書くと、言葉日記として、さらに日記の目的に添ったものになります」と補足し、次のように板書します。
はじめて出会った言葉は、「いぬのふぐり」です。「いぬのふぐり」を図かんで調べました。むらさき色の花だとわかりました。
板書のコツ②
同じように、次の文章を板書しました。
「春のうた」の詩を読みました。「みずはつるつる」がすきです。すきな言葉がみつかってうれしいです。
特に「言葉日記」に関わるものとして文末の「すきです。」「みつかって」を赤チョークで板書し、意識を高めるようにすることを大切にして板書をします。
板書のコツ③
「言葉日記」は、この授業で完結するものではありません。帯単元として「日記」を書く時間を設けます。具体的な方法として「言葉日記の日」と示し、今回の板書を今後の活動に生かしたいと考えています。
構成/浅原孝子