小3国語科「どきん」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3国語科 「どきん」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:どきん(光村図書・国語 三上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校・金子嘉良

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元は、3年の「読むこと」の最初の単元です。学習全体で音読に親しみ、楽しく音読をしながら友達と感想を伝え合い、これからの詩や物語を読んでいくことへの期待感をもてるようにしていきます。

この「どきん」という詩は、多くの擬態語や擬声語が用いられていたり、視点がはっきりしなかったり、文字にリズムがあったりと、読む際に工夫のしどころがたくさんある詩になっています。
詩の特徴に注目しながら読み進め、「声に出して読んでみたい」と児童が感じる授業展開にしていきます。

また、本単元は教科書p12を取り上げていて、これからの国語科の学習のスタートの時期にあたることも指導者として意識していきましょう。児童が楽しく音読する中で、「不思議だな」と感じた言葉について考えたり、「『!』をどうやって音読しようか」と考えたりする姿を認め、これからの国語科の学習に大いに役立つことを価値付けていきましょう。
児童が国語科の学習に希望をもって取り組むことができるようにしたいものです。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元で扱うのは、「どきん」という詩です。
音読を中心として学習を展開していきます。
まず、題名から、どんなときに、題名のようなことを思うかなどを聞き、導入を工夫して、詩への関心をもたせます。そして、文の表現に目を向けて、改めて読んでいきます。詳しく見ていくと逆に分からないところが増えてくるのもこの詩の特徴です。
「どうやって読んだらよいのかな。」と聞き、多くの友達の意見を聞くことで感じ方の違いにも気付けるのではないでしょうか。その後、友達とペアを作り、互いの音読を聞き合います。気付いたことや感想を伝え合うことで、声の調子や言葉のリズムを工夫しながら楽しく音読をしていきます。

詩の音読について、児童は、第2学年上巻の「雨のうた」の学習で、言葉の響きを楽しみながら音読する学習を経験しています。言葉の響きに加え、言葉のリズムや声の調子を工夫することで、これからの音読の学習への意欲を抱かせていきましょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 詩からイメージをふくらませる

この詩は、語り手の視点がはっきりしないまま展開されていきます。「誰が誰に向けて書いた文章だと思いますか」と投げかけると、「そういえば、どうなっているのだろう」と考えながら読むことのきっかけを作ることができます。児童が自分で考えた語り手の視点をいかして音読に取り組むことで、児童の個性をいかした主体的な取組となることをねらいます。

また、「もすこしおそうかなあ」「もいちどおそうかあ」といった、言葉のリズムを出すための表現について、「どうして、『もう少し』『もう一度』などと言わないのだろう。」「何か意味はあるのかな?」といった気付きをいかして学習を展開することで、児童がそれぞれの思いや考えをもって音読に取り組むことができるようにしていきます。

〈対話的な学び〉 音読の様子を撮影し合う

友達とペアを作り、音読の様子を1人1台端末を使って撮影します。
撮影をした後は、まずはペアで動画を見合い、気になることを聞いてみましょう。
例えば、「○○さんは、どうして、この部分を声を大きくして読んだの?」という質問に対して、それは「音をよく聞かせたいと思って。」というようなやり取りが予想されます。質問する側は、「友達の音読発表からよいところや尋ねたいことを探す」という意識をもって、動画を見ていることになります。質問された側は、「友達は、私が音読した読み方からこんなことに気付いてくれていたんだ。」と様々な見方があることに気付くことができます。
互いに音読を聞き合い、感想をやり取りすることを通して、次の音読への気持ちを高めることができるようにすることが大切です。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)音読の様子を撮影する

ペアを作って音読の様子を撮影します。後で見たときに、「自分では強く読んだつもりでいたのに、全然、強くなかった」とか、「この人、言葉だけではなくて、動きもついているね」などと比較したり、反省したりして次への学習にいかすことができます。
また、本人たちの許可をとって、他のグループの動画も見せてあげましょう。多くの友達の考えを聞くことで一人一人の考えが違うということにはっきりと気付くことができるはずです。

意見の共有をする際に1人1台端末を使うこともできますが、1時間単元なので、無理をしなくてもよいと考えます。ただ、意見を共有することはとても大切なので、端末を使って意見を共有する場合は、計画を2・3時間にしてから、行うようにしてみましょう。

6. 単元の展開(1時間扱い)

 単元名: 詩を楽しもう どきん

【主な学習活動】
第一次(1時
・おもしろいところを見付けながら「どきん」を音読する。
・「どきん」を読んで、どんな印象をもったかを話し合い、詩の特徴を確認する。
・言葉の調子を楽しみながら、音読の練習をする。
・互いの音読を聞き合い、感じたことを伝え合う。
・学習を振り返る。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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