小3算数「式と計算」指導アイデア《加法と乗法が混じった問題の2通りの解決方法を考える》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
小3算数「式と計算」指導アイデア

執筆/東京都目黒区立碑小学校教諭・大村英視
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都目黒区立八雲小学校校長・長谷豊

年間指導計画 式と計算

単元の展開

第1時(本時)加法と乗法を組み合わせた問題

第2時 減法と乗法を組み合わせた問題

本時のねらい

加法と乗法の混じった問題について、多様な方法で問題解決ができる。

評価規準

加法と乗法の混じった問題を、鉛筆と鉛筆キャップの代金を別々に求めて後から足す方法と、鉛筆と鉛筆キャップ1組分の代金をまとめてから全体の代金を求める方法を考え、説明している。

本時の展開

問題
6人でお楽しみ会をします。お楽しみ会ではジュースとスナックを配ります。そのために、70円のジュースを6本と、30円のスナックを6ふくろ買いました。代金は合わせて何円ですか。
ジュースとスナック
※上の問題を提示し、全体で場面を確認する。イラストを提示するなど、問題場面を具体的にイメージできるようにします。

どのようにすれば代金が分かりそうですか。

ジュース6本の代金とスナック6袋の代金を求めて、足せばよいと思います。

ジュースとスナックをセットで考えても代金を求められると思います。

学習のねらい
ジュースとスナック全体の代金を求める方法を考えよう。

自力解決の様子

A つまずいている子
問題場面は把握できても、解決の方法が見付からない。


B 素朴に解いている子
1つの方法で解決し考えを説明している。

それぞれの6人分の代金を求め合わせている。
70×6=420
30×6=180
420+180=600

1人分を求め、それを6倍している。
70+30=100
100×6=600


C ねらい通り解いている子
2つの方法で解決し、考えを説明している。

それぞれの6人分の代金を求め合わせている。
70×6=420
30×6=180
420+180=600

1人分を求め、それを6倍している。
70+30=100
100×6=600


学び合いの計画 

自力解決ではジュース6本分とスナック6袋分の代金を別々に計算してから合計の代金を求める方法で解決する子供のほうが多いことが予想されます。

検討場面では解決のための式のみを提示し、式の意味を考える時間を設けます。その際、授業支援アプリを活用して、ジュースやスナック菓子のイラストや模擬貨幣の素材を全体で共有しておけば、子供はそれらを複製することで、提示された式の意味を簡単に表現することができます。

式の意味を確認する際には、どちらの考えについても、自力解決の段階ではその方法で解決していなかった子供に、授業支援アプリに投稿された画面を用いて説明させるとよいです。

それぞれの解決方法について、多くの子供が理解できているようであれば、全体で共有した子供の図を一人一人の学習用情報端末に配付し、その図を用いてペアで解決方法を説明する時間を設けます。

考え方を理解している子供が少ないようであれば、全体の場で数人の子供にヒントになることを発言させ、それを全体で解釈していくことで子供も式の意味を自分で説明できるようにします。

図表1
図表2

ノート例

A つまずいている子

自力で解決できない子供には、ジュース6本とスナック6袋のイラストを提示し、それぞれの代金を確認することで、合計の代金を求められるようにします。

式と計算 ノート例1

B 素朴に解いている子

式と計算 ノート例2

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

2つの方法が共有された後は、「BさんとCさんの代金の求め方は何が違いましたか」などと問い、ジュース6本の代金とスナック6袋の代金を別々に求めて後から足す方法と、ジュースとスナックをセットにして、6人分をまとめて求める方法があることを共有できているかを確認します。

また、この問題場面の場合は、ジュース70円とスナック30円でちょうど100円になるため、1人分の100円を求めてから6倍する方が計算が簡単にできるというような子供の発言があった場合には取り上げて、価値付けて共有することで、計算の工夫の学習につなげましょう。

学習のまとめ

どちらの方法でも代金を求めることができましたね。2つの考えをそれぞれ1つの式で表わすことはできますか。

( )を使った式にできます。

Bさんの考えを1つの式で表わすとどうなりますか。

(70×6)+(30×6)=600です。

Cさんの考えを一つの式で表わすとどうなりますか。

(70+30)×6=600です。

どちらも答えは600と同じになるので、(70×6)+(30×6)=(70+30)×6と表すことができます。

評価問題

1本60円のえんぴつを5本、1こ20円のえんぴつキャップを5こ買いました。代金は何円になりますか。えんぴつとキャップの代金をべつべつにもとめる方ほうと、えんぴつとキャップを1組にして考える方ほうの2つの方ほうで答えをもとめましょう。

子供に期待する解答の具体例

別々に求める方法
(60×5)+(20×5)=400
または
60×5=300 
20×5=100
300+100=400

えんぴつとキャップを1組にして考える方法
(60+20)×5=400
または
60+20=80 80×5=400
答え 400円

感想例

  • ジュースとスナックの代金を別々に求めても、答えは求められます。でも、ジュースが70円、スナックが30円で合わせて100円なので、70+30と100×6をすればよいので、計算が簡単になりました。
  • 別々に掛けてから足すとかけ算が2回だけれど、足してから掛けると、かけ算1回で答えを求められるのでよいと思った。

ワークシート(ダウンロード可)
ワークシート「式と計算」
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板書例

板書例 式と計算

イラスト/横井智美、やひろきよみ

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