開催日、迫る! 「探究」の授業が見られる! 生活科・総合的な学習の時間の全国大会in京都

國學院大學人間開発学部教授

田村学

来る11月9日(木)~10日(金)の両日、京都市で全国小学校生活科・総合的な学習教育研究協議会の全国大会が開催されます。大会の主題は「学びで織りなす 色とりどりの夢」。京都の伝統的な織物のように、子供たちがそれぞれの豊かで鮮やかな夢を追究する学びの様子や、今、求められている「探究」について学ぶことができる大会です。

1日目の9日は、午後から京都市内の京都テルサでシンポジウムと記念講演が行われます。

午後1時より行われるシンポジウムのテーマは「『ほんまもん』の学びで育てたい 未来につながる子どもたちの自己」。日本生活科・総合的学習教育学会の会長である田村学教授(國學院大學)をコーディネーターに、パネリスト4名のうち2名には、嶋野道弘・元文部科学省主任視学官、泰山裕・鳴門教育大学准教授といった学識経験者を配します。同時に、畑正高・株式会社松栄堂代表取締役社長、長屋博久・元日本PTA全国協議会副会長といった京都の地域、保護者を代表する方々2名もパネリストに迎え、子供たちの未来のために、今、求められる「探究」について、多様な立場から意見を出し合い、対話を深めていきます。

シンポジウムの後は、齋藤博伸・文部科学省教科調査官が記念講演を行われます。演題は「これからの生活科・総合的な学習の時間に期待されること」です。

「生活科・総合的な学習の時間」の全国大会(京都大会)が行われる御所南小学校の授業の様子。地域をより活性化していくためにアイデアを出し合っている子供たち。

2日目の10日は、午前から京都市立の3つの小学校、御所南小学校、京極小学校、待凰小学校の3校で授業公開が行われます。3校共に全学年で授業公開を行うことになっており、のべ30時間の授業が公開される予定です。それぞれの単元で、地域の防災について「探究」したり、食品ロスについて「探究」したり、地域の活性化について「探究」したりと、テーマも色とりどり。

開催校の一つである御所南小学校の鈴木登美代校長は、次のように話します。
「今回の全国大会京都大会では、『自己』という部分に焦点を当てています。これからの未来を生きる子どもたちにとって、今の自分を知って多様な他者と共に学び合いながら、糸を紡ぐように自分自身を創っていく過程を参観していただきたいと思います。自分を創るためには、『体験・協働』と『感受・考究』することがとても大切だと考えています。

本校では、国語科・体育科・生活科・総合的な学習の時間を研究しています。国語科で得た『ことば』の力により言語表現し、体育科で得た学び方を使いながら身体表現し、それらの力を生活科・総合的な学習の時間で活用発揮しながら、全体の課題に向けて熟議する姿をご覧ください。特に、総合的な学習の時間での課題発見、情報収集、整理・分析、まとめ・表現の問題解決のプロセスを5回繰り返す中で生まれる課題を、発見課題→追究課題→提案課題→熟成課題→表現課題とし、今回の公開授業では『熟成課題』での話合いが多く公開されます。『熟成課題』では、考えた表現方法が本当に効果的なのかどうかを立ち止まって考えたり、今まで行ってきた活動は良かったのかどうかを考えたりする時間です。子供が社会に出たときに、つまずくことや失敗すること、成功しないことは多くあるでしょう。その中で、くじけず・粘り強く・あきらめない心を、そして新たな提案を生み出す力を付けてほしいと願っています。どうぞその一端をご覧ください」

10日の午後からは、各学校で公開された授業に関する分科会が行われた後、それぞれの学校でシンポジウムに参加された先生方が、指導・講評を行います。御所南小学校では田村先生、京極小学校では嶋野先生、待凰小学校はで泰山先生が行われる予定です。

京都市立御所南小学校の鈴木登美代校長。
思考し、対話し、さらに省察しながら言葉で表現する力も育ってきている御所南小学校の子供たち。
日本生活科・総合的学習教育学会会長でもある國學院大學の田村学教授。

大会開催に向け、シンポジウムのコーディネーターや指導・講評を務められる、田村教授は、次のように話しました。

「今回の全国大会京都大会では、今、注目されている『探究』の学びについて、京都市の子供たちが自分たちの『ほんまもん』を追究していく姿を通して実感していただくことができると思います。また、『個別最適な学び』と『協働的な学び』を同時に実現している様子や、そこにICTを利活用して実践の質をさらに高めている様子を、直接見て、実感していただける良いチャンスですので、ぜひ多くの先生方にご参加いただければと思います」

大会参加は、申し込みが10月30日締め切りとなっています。同大会の詳細や参加に関する案内は、以下URLをご覧ください。
http://zenseisouken.net/?p=1062

執筆/教育ジャーナリスト・矢ノ浦勝之

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