小1国語「じどう車くらべ」板書の技術
今回の教材は、説明文の「じどう車くらべ」です。4月に小学校へ入学した子供たちが学ぶ3つめの説明文教材です。本単元では、「既習の事柄の順序に注意しながら、文章の中の重要な語や文を考えて選び出せるようになる」ことを目指します。そのため、乗り物の「しごと」と「つくり」についてなど、要点をすぐに理解できる板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・中立裕子(せせらぎの会)
単元名 せつめいする 文しょうを よもう
教材名 「じどう車くらべ」(光村図書 1年)
目次
単元の計画(全7時間)
1 自動車の種類について、知っているものを話し合う。その後、教科書を読み、出てきた自動車や説明されていたことについて確かめ、学習課題を設定する。
2 文章全体の構成を捉える問いの文や出てきた自動車を確かめ、内容の大体を捉える。
3 「バスやじょうよう車」の「しごと」と「つくり」を読み取り、カードにまとめる。
4 「トラック」の「しごと」と「つくり」を読み取り、カードにまとめる。
5 「クレーン車」の「しごと」と「つくり」を読み取り、カードにまとめる。
6 どのような順番で自動車が登場しているかを話し合い、身近なものから順に登場していることを押さえる。
7 「はしご車」の「しごと」と「つくり」を考え、カードにまとめる。
板書の基本
〇文章の構成が分かりやすくなる板書
教材「じどう車くらべ」は、4月に小学校へ入学した子供たちが学ぶ3つめの説明文教材です。はじめて学習した教材「くちばし」では、事柄の順序を考えながら内容の大体を捉える経験をし、次の教材「うみのかくれんぼ」でも同様に、事柄の順序を考えながら内容の大体を捉える学習を繰り返しています。今回の「じどう車くらべ」では、既習の事柄の順序に注意しながら、文章の中の重要な語や文を考えて選び出せるようになることを目指します。
第3時では、問いが2つあることを押さえ、2つの問いを赤と青(黒板では黄)で色分けして分かりやすくします。さらに、教科書では3つの乗り物が事例として挙げられていることを押さえ、次時からどのように読み取っていくかを見通せる板書にします。
〇要点をすぐに理解できる板書
3~5時間目では、3つの乗り物の「しごと」と「つくり」について読み取っていきます。そのため、3時間目はどのように読み取っていけばよいのかを学ぶための重要な学習内容になります。
まずは、2時間目に学習した問いを基に、「しごと」を赤に、「つくり」を黄に分類したことを想起させます。
「バスやじょうよう車」の「しごと」と「つくり」について子供たちと考えて整理した後、「しごと」と「つくり」について書かれている部分が「そのために、」でつながっていることに気付かせ、「そのために、」と書かれたカードをあとから黒板に貼り足します。そうすることで、「そのために、」が重要な語であることを認識できるようにします。
板書を利用した授業の進め方(2/7時間目前半)
1 めあてを提示する
日付・教材名を板書した後、本時のめあてを板書します。本時の学習では、「じどう車くらべ」全体でどんなことが書かれているかを確かめながら読むことを知らせます。
2 「じどう車くらべ」全体の問いを確かめる
既習の「くちばし」「うみのかくれんぼ」では、問いの文があったことを想起させ、「じどう車くらべ」にも問いがあるかを考えさせます。考える時間を少し取った後、問いが書かれている部分を全体で確かめ合って音読をします。
3 問いの文章をノートに視写する
問いの文が2つであることを全体で確かめ合い、問いの文章をノートに視写します。その際、教師との共書きができるように指導していきます。共書きというのは、「板書と同時に書き写すこと」です。教師が板書内容を読み上げ、子供はそれを聞きます。その後、教師は板書し、それと同時に子供は聴写します。
共書きが終わったら、問いの文が2つあるので、1つ目の問いは赤い線を、2つ目の「そのために、」からは黄色い線を引き、分かりやすく色分けします。
板書を利用した授業の進め方(2/7時間目中盤)
1 教科書に出てきた自動車を確かめる
「じどう車くらべ」に出てきた自動車を板書し、「バスやじょうよう車」「トラック」「クレーン車」であることを、挿絵カードを用いながら全体で確かめ合います。「知っているかな」「乗ったことはあるかな」などと子供たちとおしゃべりのように話しながら確認していきます。1つずつ、自動車の名前を確認し、その自動車の挿絵カードを貼ることを繰り返します。
板書を利用した授業の進め方(2/7時間目後半)
「じどう車くらべ」全体でどんなことが書かれているかを確かめ合うことができたら、「といの文」をもう一度全体で音読し、問いがいかに重要であるかを意識させます。
その後、より分かりやすくするために、それぞれの自動車の「しごと」と「つくり」について聞かれているのだと簡潔にまとめ、「しごと」と「つくり」を色別にしたカードを貼って示します。
そして、次時からは、「バスとじょうよう車」「トラック」「クレーン車」の「しごと」と「つくり」について考えていくことを伝えます。
板書を利用した授業の進め方(3/7時間目前半)
1 めあてを提示する
日付・教材名を板書した後、本時のめあてを板書します。
前時で確認した「といの文」をもう一度全体で音読し、この時間からはそれぞれの自動車の「しごと」と「つくり」についてまとめていくことを確かめ合います。
2 「バスやじょうよう車」の「しごと」と「つくり」を見付ける
教科書の「バスやじょうよう車」について書かれている部分を、全員で音読します。
その後、「バスやじょうよう車」の「しごと」と「つくり」について書かれている箇所を、色分けして教科書に線を引かせます。「しごと」が赤、「つくり」が青です。
それぞれの線を引いた後、クラス全体で「バスやじょうよう車」の「しごと」と「つくり」について、黒板にまとめていきながら確かめ合います。はじめに、「しごと」というカードを貼ります。次に、「ひとをのせてはこぶ」と書きます。
続いて、「つくり」というカードを貼ります。そして、挿絵カードを見ながら「つくり」を確かめ合い、板書します。
「つくり」については2つ書かれていることを確認し、「ざせき」と「まど」について説明されていることを押さえます。重要な語として認識できるよう、「ざせき」と「まど」を線で囲います。
板書を利用した授業の進め方(3/7時間目後半)
1 「そのために、」の役割を考える
「そのために、」という言葉は、「しごと」でも「つくり」でもないことに着目し、なぜここにあるのかを考えさせます。そして、「しごと」と「つくり」というそれぞれのまとまりをつないでいるということを理解させ、重要な語として認識できるように「そのために、」と書いたカードを「しごと」と「つくり」の間に貼って示し、強調します。
さらに、「そのために、」は、「その」と「ために、」に分けることができ、「そのしごとをするために、」という意味であることを伝えます。
2 「じどう車カード」を作成する
下のように作成した「じどう車カード」を配付します。そして、ここまでの学習をこのカードに書いてまとめていきます。
まず、「じどう車の名前」の部分に「バスやじょうよう車」と書きます。
次に、「①しごと」の欄に、「人をのせてはこぶ」と書きます。さらに、「つくり」の欄に、「①ざせきのところが、ひろくつくってあります。②大きなまどがたくさんあります。」と書きます。
はじめて「じどう車カード」にまとめるので、このときにも共書きをし、書き方が分かるようにします。
3 振り返りをし、次時の見通しをもつ
次時以降もこの時間と同じように、それぞれの自動車の「しごと」と「つくり」について考え、その都度「じどう車カード」にまとめていくことを伝えます。
構成/浅原孝子