小2国語「馬のおもちゃの作り方」京女式板書の技術
今回の教材は、「馬のおもちゃの作り方」です。この単元の目標は、「説明のしかたに気を付けて読む」です。学習の活動は、「馬のおもちゃを作り、それを基に説明のしかたや工夫が分かるようにする」です。そのため、説明のしかたを理解するための手がかりとなる板書の工夫を紹介します。その1つが、文章中の大事なことを「順序」にしたがって板書することです。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子
教材名 「馬のおもちゃの作り方」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全6時間)
1 学習の見通しをもち、おおまかな内容を捉える。
2 本文を読んで、馬のおもちゃを作る。
3・4・5 順序、書いてあること、絵や写真に着目して、説明の工夫を見付ける。
6 学習を振り返り、「おもちゃの作り方をせつめいしよう」につながるまとめをする。
板書の基本
〇教材「馬のおもちゃの作り方」の単元目標は、「せつめいのしかたに 気をつけて読む」とあります。指導内容として、教科書では次のような指示があります。
せつめいのくふうを見つける
つぎのように思ったところに 気をつけると、くふうが見つかります。
・こんなじゅんじょで 書いてあったから、分かりやすかった。
・こんなことが 書いてあったから、分かりやすかった。
・こんなことばやしゃしんが つかってあったから、分かりやすかった。
(教科書の文)
本板書は、説明の工夫の1つである「順序」を指導内容としたものです。
〇まず、説明文の通り、自分で馬のおもちゃ作りをすることから始めました。まず、材料を集めました。そして、作り方の通りに進めたのですが、上手にできませんでした。そのため、文章を何度も読み返し、出来上がったときのうれしさを共有した後、その経験を生かして、文章中の大事なことを「順序」にしたがって板書をしました。
板書のコツ(3/6時間目前半)
板書のコツ①
最初に、日付、題名、筆者の名前を板書しました。教科書を音読した後、めあてを次のように板書しました。
おもちゃの作り方のくふうを読みとろう。
「くふう」という用語の説明が必要でしたので、教科書のp.44を音読し、「こんなじゅんじょで 書いてあったから、分かりやすかった。」を合言葉にしようと話し合いました。板書では「作り方のじゅんじょが書いてあるので、分かりやすい。」としました。
板書のコツ②
馬のおもちゃができた成功体験を基に、次の文を音読しました。
〈作り方〉
まず、馬の体や あしになるぶひんを 作ります。空きばこを 四センチメートルずつ四つ切り出しましょう。そのうちの三つが、馬の体になります。のこった一つは、半分に切り分けましょう。これは、馬のあしになります。
(教科書の文)
板書をしたことは、「まず、馬の体や あしになるぶひんを 作ります。」です。そして、「まず」が順序を表す語句であることを確認しました。その後、「ぶひん」の確認をしました。しかし、これは次時の「こんなことが書いてあったから、分かりやすかった。」に当たるので、本時の板書事項ではないと判断しました。
板書のコツ③
「つぎに、馬の体を作ります。」から始まる文章を音読し、「つぎに、馬の体を作ります。」を板書しました。そして、次のように指導しました。
〇「つぎに」が順序を表す言葉
〇「①馬のおなか」は、「これが、馬のおなかになります。」から大事な言葉として指導した言葉
〇「②馬の首」は、「これが、馬のおなかになります。」の学習を生かして、気付かせた言葉
〇「③馬のせなか」は、友達と確認し合って見付けた言葉
板書のコツ(3/6時間目後半)
板書のコツ①
「まず」「つぎに」の学習で習得した力を生かして、「それから、馬のあしを作ります。~おなかにとめます。」「さいごに、顔を作ります。~耳をつけます。」という2つの段落を音読させました。
そして、ペア学習で、どの言葉が大事なのかを考えさせました。順序を表す言葉として、「それから」「さいごに」を確かめました。
板書のコツ②
「馬のあしを作ります。」「顔を作ります。」はすぐに見付かったので、板書しました。しかし、「つぎに」のところにある「①馬のおなか ②馬の首 ③馬のせなか」のように細かい説明がないことに気が付く子がいました。
それを話題にして、何をつけ加えるかということを考えました。文章を読み返してもはっきりしない子がいました。
「馬の体」と「馬のあし」「馬の顔」が作り方のまとまりであることを理解させるのに役立つ板書にしました。
板書のコツ③
「これで、馬のおもちゃのできあがりです。」を板書しました。「できあがり」という言葉にほっとした子供たちの表情が印象的でした。それは、自分の力で文章を読み、馬を作る体験をしたからこそです。なかなか文章通りにできなかったということが、説明の工夫を読みとる耕しとなっていたのです。
本時の板書で大事にしたのは、次の学習として「こんなことが 書いてあったから、分かりやすかった。」「こんなことばやしゃしんが つかってあったから、分かりやすかった。」という学習活動へつなげることでした。
構成/浅原孝子