小5算数「単位量あたりの大きさ」指導アイデア《どちらのお店が安いか比べる方法》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/富山大学教育学部附属小学校教諭・羽柴直子
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県南砺市立福光東部小学校校長・中川愼一

単元の展開

第1時 部屋の混み具合を調べ、単位量あたりの考え方について知る。

第2時(本時) 日常生活のなかで単位量あたりの考え方が使われていることを知り、量の大きさを比べる。

第3時
 人口密度について知り、大きさを比べる。

1人1台端末活用アイデア

第2時では、自力解決で書いた自分の考えを端末に取り込んでおきます。全体発表では、図や式、言葉など、必要な部分だけを拡大して提示することで、考えを共有したり、友達の考えを予想したりし、全体で学び合うことができます。

本時のねらい

※広さと人数のどちらか一方の量を単位量に揃えれば、混み具合を比べることができることについて学習した後

  • ノートの冊数と値段の関係に着目し、混み具合で用いた割合として捉えられる数量の考え方を生かしながら、目的に応じて大きさを比べる方法を考える。

評価規準

※できるだけ数学的な考え方が評価の観点になるような時間を選ぶ。

  • 異種の2つの量の割合として捉えられる数量の関係に着目し、目的に応じて大きさを比べたり表現したりする方法を考察し、それらを日常の場面の問題に生かしている。(思考・判断・表現)

本時の展開

前の時間は、部屋の混み具合について学習しましたね。

混み具合を比べるときは、畳の枚数と子供の人数の2つの量が必要でした。

畳の枚数か子供の人数のどちらかを揃えたら、どっちの部屋が混んでいるか分かったよね。

私は最初、公倍数を使って揃える考え方で混み具合を比べたけど、みんなの話を聞いて、1に揃える考え方に変わったんだよね。

そうそう。わり算よりかけ算のほうが計算が簡単だから、公倍数の考え方で混み具合を比べたよ。

2つの部屋の混み具合を比べるときはそれでもよかったんだよね。

でも、3つの部屋の混み具合を比べようとしたら、突然大変になったね。

1に揃えるほうが早くて簡単だった。

3つの部屋の混み具合を比べるだけで大変だったのだから、4つ、5つ……と増えていくと、もっと大変になるよ。

1に揃えて比べる考え方は、増えた部屋の分だけ混み具合を求めればいいから、どれだけ増えても大丈夫だったね。

みんながさっきから言っている「1に揃える」考え方は、何という考え方でしたか。

単位量あたりの大きさで混み具合を比べる考え方です。

畳の枚数か子供の人数を単位量に揃えれば、部屋の混み具合を比べることができるのですね。

はい。

今日は、こんな問題なんですが、考えていくことはできそうですか。


ノートを買うために、2つのお店のノートのねだんを比べています。A店では、ノート10さつで1200円でした。B店では、ノート8さつで1000円でした。どちらのお店のほうが安いと言えますか。

今日の問題は、混み具合ではないね。

どちらのお店のノートが安いかと聞かれているよ。

1200円と1000円だから、もちろん1000円のB店だよ。

ちょっと待って。ノートの冊数が異なっているよ。

値段だけで比べてはいけないのではないかな。

なんだか、昨日学習した混み具合と似ているね。

確かに。畳の枚数も子供の人数も違っているところと、ノートの冊数も値段も違っているところが似ているよ。

そしたら、ノートの冊数か値段のどちらかを揃えれば、安いほうのお店が分かるのではないかな。

単位量あたりの大きさの考えを使えば、どちらの店のノートが安いか比べられそうだね。


冊数も値段も違う場合の比べ方を考えよう。

見通し

ノートの冊数を単位量1冊に揃えたときの値段で比べよう。(方法の見通し)

値段を単位量1円に揃えたときの冊数で比べよう。(方法の見通し)

冊数を揃えた場合、大きい数値が、高い。(結果の見通し)

値段を揃えた場合、小さい数値が、安い。(結果の見通し)

自力解決の様子

A つまずいている子

仮に、1冊100円として考えている。

1冊を100円として考えると、

A:100×10=1000  1200-1000=200

B:100×8=800   1000-800=200

A店もB店も200円高く売っているので、同じ。


B 素朴に解いている子

1冊あたりの値段で比べている。

A:1200÷10=120

B:1000÷8=125

A店は1冊あたり120円。B店は1冊あたり125円。A店のほうが安い。


C ねらい通り解いている子

1冊あたりの値段で比べている。さらに、1円あたりの冊数でも比べている。そして、1冊あたりの値段で比べるほうが、1円あたりの冊数で比べるよりも合理的であることに気付いている。

①1冊あたりの値段で比べる。

A:1200÷10=120

B:1000÷8=125

1冊あたりの値段で比べているので、数の小さいほうが安いと言える。だから、1冊あたり120円のA店が安い。

②1円あたりの冊数でも比べてみる。

A:10÷1200=0.0083……

B:8÷1000=0.008

1円あたりの冊数で比べているので、数の大きいほうが安いと言える。だから、1円あたり0.0083……冊のA店のほうが安い。

  • ①の考えでも②の考えでも安いほうを調べることはできる。
  • でも、①の考えのほうが単位量あたりの大きさが小さければ安いので分かりやすい。
  • 1円あたりの冊数を考える②の方法は、「1円あたりの冊数が多ければ安い」と言い直すことが必要なので、よい方法とは言いにくい。

学び合いの計画

本時は、混み具合以外に、日常生活のなかで単位量あたりの大きさの考え方が使える事象に着目した問題場面です。

前時で学習した既習事項と本時の問題場面の似ているところを明確にしていくことで、本時の問題場面も単位量あたりの大きさの考え方で比べられることを見いだしていきます。

イラスト/横井智美

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