漢字つぶやき学習法【先生のための学校】

私は漢字学習に自信をもっています。それは私の漢字学習法が子供たちの発達を考えた科学的な取り組みだからです。まず漢字は、読めなければ覚えられません。だから、クラスみんなで「漢字カルタ」をして、読みを確実にマスターさせます。そして、それと並行して書き順をみんなでつぶやいて、確実に2字ずつ学習していきます。
先生のクラスでは、漢字を教えるときに大きな声で「1、2、3、4……」などと愚かなことはやっていませんか。それでは漢字は覚えられません。まずは私の漢字学習についての理論を理解し、新たな取り組みを始めてください。
執筆/「先生のための学校」校長・久保齋

くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。
目次
「漢字つぶやき学習法」で漢字学習に新風を
「曜」という字をどのように教えますか。私は「ひへん書いて、ヨ、ヨ書いて、イ書いて、ノ書いて、よこたて書いて、三を書く」と教えました。そして、クラスみんなで同じようにつぶやいて「空書き」や「指書き」を何回もしてから、ノートに書かせます。
ここで大切なことは、書き順を「1、2、3…… 17 、 18 」というのではなく、
意味のある言葉に変えて、クラスみんなで同じようにつぶやいて書かせる
ということです。
このつぶやいて書く漢字学習をすると、漢字の書き方についてのクラスの共通理解、教室文化が生まれるのです。そして、漢字のテスト前には子供たちが、それぞれに漢字をつぶやきながら机に指書きして覚えたり、互いに問題を出し合い、書き順をつぶやきで答えて和気あいあいと漢字テストに備える姿が表れてきます。
「1、2、3……」と教えていたときには、漢字の練習は孤独な取り組みでしたが、つぶやいて書く指導をしてからは、和気あいあいとみんなで楽しくする取り組みに変わっていきました。
「野」という字は
「日書いて、たてぼう書いて、一書いて、はね上げて、マ書いて、フ書いて、たてぼうはねる」
とつぶやいて書く指導《つぶ書き指導》で行うと、7画目のはね上げや 10 画目のはねも、クラス誰一人間違うことなく、全 員きれいな字になるのです。
私の《漢字つぶやき学習法》では、一年生の漢字はカタカナといくつかの記号で、書き順を重視したリズム感あるつぶやきで教え、二年生からは一年生の漢字も活用して教えるという方法です。
この話を講演で先生方にお話ししていると、必ず「久保先生、そのつぶやき方を教えてほしいのです」という話になるのです。私としては 「自分で考えて !! 」と言ってきたのですが、あまりにも希望する先生方が多いので、小学館と相談をしましたら、「日本の子供たちのために、先生方のために、そのドリルをつくりましょう」 ということになりました。
名前はつぶやきながら書いて覚えるので『つぶやき漢字ドリル』。一年生から六年生までのすべての学年、先生方にも子供たちにも使ってもらえる楽しくて素敵なドリルに仕上げました。ぜひご活用ください。