教科担任制【わかる!教育ニュース#25】

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中澤記者の「わかる!教育ニュース」
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先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第25回のテーマは「教科担任制」です。

小学校の教科担任制、体育と算数の実施率はまだまだ

特定の教科を専門の教員が教える教科担任制。中学校や高校では浸透していますが、文部科学省は小学校にも導入するべく、国の事業として高学年で進めています。今、どのぐらい広がっているのでしょうか。

2022年12月~2023年1月、文科省が全国の公立小学校など1235校を抽出して導入状況を調べたところ、今の学習指導要領が全面実施される前の2018年度より、すべての教科で進んでいました(参照データ)。

実施率が特に高いのは、高学年の理科と外国語(英語)です。理科は小5で62.1%と18年度より17.0ポイント上回り、小6も17.6ポイント増の65.4%。英語は伸び幅が大きいのが特徴で、小5が29.5ポイント上昇して47.8%、小6も29.6ポイント高い48.9%となりました。

ただ、理科や英語とともに優先的に専科指導の対象になった体育と算数は、まだまだのようです。体育は小5が12.5ポイント増えましたが22.4%、小6も11.2ポイント伸びたものの21.7%で、いずれも2割にとどまります。算数も小5は15.6%(8.3ポイント増)、6年生で15.9%(8.7ポイント増)と、実施率も伸び幅も振るいません。

学年が進むにつれ、どの教科も教科担任制の割合は増えていきます。ただ、実施率は教科でばらつきがあり、最も低いのは小5、6いずれも国語で、8%前後ほど。小4以下も傾向は同じです。

教員の「加配定数」を2025年度までに3800人増やす

ほとんどの教科を学級担任が教えていた小学校に、教科担任制導入を促したのは、2021年1月の中央教育審議会の答申。子どもの学びを深めるとともに、教える内容が難しくなる高学年では教員が専門性の高い指導を求められ、授業準備の負担が重いという指摘を踏まえた提案です。

とはいえ、学校現場の大きな転換になり、実施しようにも教員の確保が間に合いません。まずは、つまずきやすいとされる教科で高学年を対象に、22年度から始めることになりました。文科省は特定の目的の教育政策に応じて教員を配置する「加配定数」を、25年度までに3800人増やすことを掲げ、進めていく考えです。

それでも、専科指導ができる教員はまだ足りず、必ずしも専門ではない教科を担当せざるをえない教員もいます。今回の調査の実施率も、複数の教員によるチームティーチング、教科の一部の領域に限定した導入など、様々な形を含めた数字。実態は、多くの人がイメージする教科担任制から遠い可能性もあります。

国の予算を付けて教科担任制を進める以上、文科省が実施状況を把握し、公表することは欠かせません。ただ、今回の結果で「順調に広がっている」と単純に結論付けられないでしょう。子供のためになる制度にするには、教科によるばらつきの理由を分析し、導入できない背景があるのか、不向きな教科もあるのかなどを検証する必要もあります。

参照データ
▽文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20230419-mxt_kyoiku02_000029047_02.pdf

【わかる! 教育ニュース】次回は、5月30日公開予定です。

執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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