小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア②

特集
文部科学省教科調査官監修《1人1台端末時代の》教科指導ヒントとアイデア
小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア バナー

文部科学省教科調査官の監修による、小5体育科の授業案です。1人1台端末を活用した活動のアイデアも紹介します。今回は「ボール運動(ゴール型)」の単元を扱います。

執筆/京都市公立小学校教諭・瀬口真有美
監修/国立教育政策研究所教育課程調査官・塩見英樹
   京都市教育委員会体育健康教育室首席指導主事 ・山口淳

単元名

みんなで運んでたくさんシュート

「年間計画表」はこちら

単元目標

●知識及び技能
バスケットボールの行い方を理解するとともに、ボール操作とボールを持たないときの動きによって、簡易化されたゲームをすることができるようにする。
●思考力、判断力、表現力等
ルールを工夫したり、自己やチームの特徴に応じた作戦を選んだりするとともに、自己や仲間の考えたことを他者に伝えることができるようにする。
●学びに向かう力、人間性等
バスケットボールに積極的に取り組み、ルールを守り助け合って運動をしたり、勝敗を受け入れたり、仲間の考えや取組を認めたり、場や用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。

授業づくりのポイント

バスケットボールは、パスやドリブルでボールを運び、ゴールにシュートして得点し、相手チームと競争して楽しむ運動です。これまでに学習してきたゴール型のなかでは的となるゴールが小さく、シュートの難易度が上がりますが、それだけに得点したときの喜びを感じることのできるゲームでもあります。

みんなでボールを運んで得点するためには、どんなボール操作やボールを持たないときの動きをすればよいのか、チームで相談したり、毎時のまとめの時間に全体で話し合ったりしながら、ゲームを通して資質・能力が身に付くようにします。

5年生で初めてバスケットボールに触れる子供が多いため、ボールへの恐怖心やボール操作の難しさを感じたり、ゲームに苦手意識を感じたりするかもしれません。誰もが安心して力いっぱい取り組むことができるように、用具やルール等を工夫する必要があります。

また、ボール操作の技能(パス・ドリブル・シュートなど)を高めていくために、毎時の始めにさまざまなゲームにつながる運動を取り入れていきましょう。

新型コロナウイルス感染症対策
*地域の感染状況により、以下の配慮の例が考えられます。
・子供たちに授業前後の手洗いを徹底するようにします。
・活動中は不必要に大声を出さないようにします。
・集合・整列時は子供どうしの適切な間隔を確保するようにします。
・屋内で行う場合は適切に換気をします。

単元計画(例)

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア 単元

工夫してもっと楽しく運動をしよう

「チームの時間」を活用して、チーム力アップ!

単元の後半は、前半の学習を生かし、シュートにつながるようなすばやくタイミングのよい動きや作戦を工夫しながら、相手チームに挑戦します。

同じ対戦相手と2度ゲームを行います。1回目のゲームよりさらによくなるように、2回目のゲーム前にチームの時間を設け、チームで話し合ったり練習したりします。そこで次の作戦を選んで、2ゲーム目に挑みます。

チームの時間の活動の大切さを子供たちに伝え、有効に活用できるようにしましょう。

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア イラスト

チームの時間でチーム力アップ

「チームの時間」はチーム力を上げる大切な時間です。それぞれのチームで使う時間にはなりますが、子供任せにするのではなく、話し合う視点や作戦例を提示したり、動きを目で見ながら話し合えるように小さいホワイトボードや名前の書かれた磁石などを用意したりしておくと、より活発な話合いになります。

また、それを必ず使わなければならないのではなく、いくつかの手段として用意します。選択できることによって子供たちは主体的に話し合い、作戦を立てることができます。

 
「チームの時間」に使用する学習カードと学習資料「作戦例」
※ダウンロードはこちら

 

教師のチームへのかかわり方

子供たちだけで話合いが進み、作戦を選び、その作戦につながる練習ができると理想的です。しかし、そうはいかないチームや負けが込んでいるチームには特に教師がかかわり、次のゲームでの動きをどうするか見通しがもて、意欲を高めることができるようにします。

・全員シュートは打つことはできたかな。←どうしたらみんなが打てるかな。
・パスをつなげて運ぶことはできたかな。←それはなぜかな。
・守りはどうだったかな。←どうしたらよかったかな。

子供たちに投げかけながら課題を引き出し、次のゲームでがんばることを導き出せるようにしましょう。

ICT端末をチームの時間に活用

ICT端末を使って、自己やチームの課題を見付けることもできます。カメラ機能を使って動画を撮り、「チームの時間」の話合いで動画を見ながらふり返ります。

ゲームすべての時間を見ることは難しいので、ボールを運ぶ動きやシュートなど、それぞれのチームの課題だと思う動きを中心に見ることもできます。また、毎時間、ゲーム中のシュートを撮って確率を確認することもできます。

作戦を貯めていくために、学習支援ソフトの活用も有効的です。あらかじめコート図を入れておき、話合いのときにそこに動きを記入して作戦名を付けておきます。貯めた作戦のなかから選んで使うこともできます。

 

●苦手な子供への手立て(ゲーム中の動きのヒントとなる運動)

ゲームのなかでパスをもらえずにいる子供には
ゲームのなかでパスをもらおうと思っても、ディフェンスをかわすことができず、パスがつながらないということがよくあります。さらに動いてかわそうとしても、相手も同じように守ってくるので、「動いているのにもらえない」という状況が生まれます。

そのような場合は、動くタイミングの大切さに気付かせるため、「パス&ラン」や「パス&ゴー」などの運動を取り入れて練習することが効果的です。

〈パス&ランからのシュート〉
・2人組でサイドの位置にいるプレーヤーがボールを持って始めます。
・サイドの位置にいるプレーヤーは、中央のプレーヤーにパスを出したら、すぐにゴールに向かって走ります。
・中央のプレーヤーは、パスをもらったら、走り出したプレーヤーの前方にパスを出します。
・ゴールに近いところでパスをもらったら、そのまま走り込んで(ランニング)シュートをします。
・中央のプレーヤーは、パスを出したらすぐにリバウンドを取りに行きます。

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア イラスト

〈パス&ゴー〉
・コートにいくつかのコーンを置きます。
・2人組でスタートのコーンの横に一人がボールを持って立ちます。
・もう一人は違うコーンの横でパスを受けます。
・パスを出したらすぐに違うコーンの横に走り、パスを受けます。
・この動きを繰り返します。

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア イラスト

 

リバウンドボールを取れない子供には

シュートを打たれたとき、そのままシュートが入るのを待つかのように立って見ている子供がいます。シュートが入っても入らなくても、そのボールを取ることができたら次の攻撃に繋がります。

リバウンドボールを取りにいくことの大切さを伝え、次のような練習を通して積極的にボールを取りにいく意識をもたせます。

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア イラスト

〈リバウンド合戦〉
・誰かがシュートを打って、チーム全員がリバウンドを取りに行きます。
・リバウンドを取ったらシュートを打ちます。
・それを繰り返し、シュートが入ったら勝ちです。
・全員が相手になるので、リバウンドを取られたらシュートを決められないようにディフェンスをします。

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア イラスト

 

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア①
「楽しく運動をしよう」はこちら

イラスト/佐藤雅枝

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