【相談募集中】図形の面積を求める授業の中で共同思考を盛り上げるには?
図形の面積を求める授業の流れの中で、共同思考が盛り上がるようにするにはどうしたらよいかという質問が、「みん教相談室」に届きました。ここでは、香里ヌヴェール学院小学校 教諭兼研究員 樋口万太郎 先生からのアドバイスをお届けします。
目次
Q.台形の面積を求める活動で、共同思考が盛り上がるコツを知りたい
小5担任です。重点研究で、算数の授業研究をする予定です。単元は三角形と四角形の面積で、本時は台形の面積を求めるところです。比較的学力の高い地域です。ただ、学力差もあります。授業の流れとしては、
1.課題の提示
2.解法の見通し(全体)
3.自立解決
4.共同思考
5.まとめ
です。
4.で上位層の子たちが答えて終わるという風潮があります。意図的に指名をしても結局は……という感じです。共同思考が盛り上がるコツ、または全体を通して、児童が主体的に活動的に取り組めるコツがありましたら教えてください。よろしくお願いします。
(ひろ先生・40代女性)
A.既習事項から新しい公式に発展させていくことが大切です
質問を読んでいて、本時のメインをどこに設定しているのかが気になりました。おそらく、授業の展開をみていると、「(上底+下底)× 高さ÷2」という面積の公式を導くことをメインとしているように思います。これでは、やはり先行学習で「(上底+下底)×高さ÷2」ということを知っている子たちは盛り上がらないことでしょう。この単元は公式を覚えて、公式を使えるようになることがねらいではありません。等積変形をしたり、既習の図形に分解したりすることで既習の面積公式に帰着させて新しい面積の公式に発展させていくことが大切です。
だから、本時を「これまでの既習である面積を求める公式を使うと、面積を求めることができる」という大事な考えを発見することをメインに設定するのはどうでしょうか。公式は知っていても、上記の大事な考えに気づいていない子は多いものです。この単元で学習してきている平行四辺形、三角形、今後学習するひし形でも同様のことが言えます。「これまでの既習である面積を求める公式を使うと、面積を求めることができる」ということにこれまでの学習で気付いていれば、台形の面積の学習のスタートの課題は、「台形もこれまでの既習である面積を求める公式を使うと、面積を求めることができるのか」に変わることでしょう。
「これまでの既習である面積を求める公式を使うと、面積を求めることができる」ということに子どもが気づくには、やはり仕掛けが必要になってきます。台形の面積の求め方を考えているときに等積変形をしたり、既習の図形に分解したりしている考えが複数出てくることでしょう。このときに、「共通している考えは何かな」と子どもたちに発問します。そうすることで、子どもたちは比較をして、大切な考えを発見することができるでしょう。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。