小6 国語科「漢字を正しく使えるように 【コラム】覚えておきたい言葉」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「漢字を正しく使えるように 【コラム】覚えておきたい言葉」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
執筆・編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、同じ読み方をする漢字について、適切な字を選択する方法を知り、それを生かして平仮名を漢字に変換したり間違いを直したりする活動を通して、漢字を正確に文や文章の中で使えるようになることを目的としています。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
本単元では、主体的かつ対話的に学びを進められるよう、1時間目に学習したことを生かし、2時間目には自分で言語活動を選択できるようにしました。
具体的には、以下のような活動を児童に提示します。2時間目の最初に児童に伝えてもよいですが、特に③や④は事前に準備をしておくと円滑に活動が進むため、1時間目の終わりに提示し、準備をしておくように促すとよいでしょう。
また、具体的な活動のイメージがもてない児童のために、①~④のそれぞれのサンプルを作成しておくことも考えられます。
① どちらの漢字が正しいか選ぶ問題を作る。
② 文章の中からいくつ間違いがあるか探す問題を作る。
③ 間違いやすい漢字パンフレットを作成する。
④ 間違えやすい漢字紹介ビデオを撮影する。
上記の活動は、いずれも1時間目に知った、適切な字を選択する方法を生かせるものであり、漢字を正確に文や文章の中で使えるようになるという本単元の目標に適していると考えています。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉児童が調べ、活動を選択したり自ら活動を見出したりする場を設ける
児童がより学ぶことに興味や関心を持てるように、1時間目には教科書や国語辞書などを活用し、児童が自ら「同じ読み方をする漢字」を調べて収集し、どのような間違いをしやすいか考えたり発表したりする場を設けます。
また、1時間目の終わりに、次時は1時間目の学習を生かして、自分で活動を選択し、問題やパンフレット作り、ビデオ撮影などを行うことを伝え、見通しをもって活動を進められるように支援します。
どの活動を誰が選ぼうとしているのかを名札を用いたりして把握すると、より個に応じた指導や支援を想定することができるでしょう。
また、①~④の活動以外の活動を見出した児童がいた場合には、積極的にその活動を採用して⑤⑥と位置付けながら、児童の発想を生かした学習となるよう心がけます。
〈対話的な学び〉 目的と解決を明確にしたかかわりを生み出す
2時間目の前半は、個人での活動が主となります。一人一人の児童が、自分が選んだ活動に取り組み、1時間目に学んだことを生かします。その際、問題作りに行き詰まったり、パンフレットが見やすいか不安になったりして友達にアドバイスをもらいたいと願う児童が出てくると予想されます。
友達との対話が一人一人の児童にとって価値あるものとなるよう、どのような目的で友達とかかわりたいのかを明らかにする手立てを講じます。
黒板に下のような項目を用意し、必要な児童はその欄に名札を貼ります。それによって、誰がどのような目的でかかわりを求めているのかを全員が理解でき、余力のある児童や同じ悩みや不安を抱えている児童がかかわるようになります。日常生活における友達関係に左右されず、今必要なかかわりを生み出す工夫が、この名札のアイディアです!
〇 問題が浮かばなくて困っています。
〇 解いたり見たりした感想を聞きたいです。
〇 もっと良くなるようにアドバイスがほしいです。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
「3.言語活動とその特徴」において、児童は2時間目に以下の四つの言語活動から自分が取り組みたい活動を選択することを想定していると述べました。どの活動も端末の活用が可能です。
① どちらの漢字が正しいか選ぶ問題を作る。
➡ 作った問題をタブレットに保存し、誰もが問題を解けるようにする。
② 文章の中からいくつ間違いがあるか探す問題を作る。
➡ 作った問題をタブレットに保存し、誰もが問題を解けるようにする。
③ 間違いやすい漢字パンフレットを作成する。
➡ B5版の用紙か端末上の文書作成ソフトのいずれかを児童が選び、作成する。出来上がったパンフレットは、誰もが手にとれるように印刷して教室前などに置く。
④ 間違えやすい漢字紹介ビデオを撮影する。
➡ 端末上のビデオ録画アプリ等を利用し、5分程度の簡単なビデオを撮影する。出来上がった映像は、タブレットで配信し、いつでも見られるようにする。
6. 単元の展開(2時間扱い)
単元名: みんなも立派なカンジー博士
【主な学習活動】
1時間目
・「同じ読み方をする漢字」を調べて収集したり、適切な字を選択する方法を考えたりする。
・次時にどのような活動に取り組みたいか、提示された活動の中から選んだり、自分で新たな活動を提案したりする。
2時間目
・1時間目に学んだ、適切な字を選択する方法を生かし、自分が選択した活動に取り組む。〈 端末活用 〉
・「覚えておきたい言葉」に出てくる言葉の読み方や意味を確認し、どのような学習や出来事の際に用いてきたか経験を出し合う。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美