小3国語「たから島のぼうけん」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回は、「たから島のぼうけん」という教材を通して、物語の組み立てを考えて、物語を書き、物語を読み合うという単元です。そのために、物語の内容を想像し、組み立てを考えることが重要になります。物語の内容を想像する手がかりになる板書、物語を書くための組み立てをわかりやすくした板書を紹介します。物語を書く単元で、ぜひお役立てください。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・須藤由恵(せせらぎの会)

 

単元名 組み立てにそって、物語を書こう
教材名「たから島のぼうけん」(光村図書 3年)

単元の計画(全10時間

第一次 単元のめあてを確かめ、学習の見通しをもつ。(1時間)
1 冒険物語に関心をもち、学習計画を立てる。

第二次 組み立てを考えて、物語を書く。(7時間)
2 地図を見て、物語の内容を想像する。
3 物語の組み立てを考える。
4・5 物語の組み立ての内容と場面の様子を詳しく考える。
6・7 組み立てにそって、物語の下書きを書く。
8 下書きを読み返して、修正し、物語を完成させる。

第三次 物語を読み合い、単元の学習を振り返る。(2時間)
9 物語を読み合い、感想を伝え合う。
10 物語のよかったところを話し合い、単元の学習を振り返る。

※学校図書館などから冒険物語を集めて、学級に「冒険物語コーナー」を作り、いつでも手に取って読めるようにしておきます。

板書の基本

物語の内容を想像する手がかりになる板書

子供たちの想像をふくらませるために、黒板に大きなたから島の地図を貼り、イメージマップを作ります。

本単元のイメージマップとは、1枚の地図から自由に想像をふくらませ、思ったことを放射状に記したものです。学級で1つのイメージマップを作るため、一人一人がたから島の地図から想像したことを短冊に記述し、全体で考えを交流させます。イメージマップを作成する時間を十分に確保することによって、様々な見方や考えがあることに気付かせ、今後の物語を考える際の手がかりとなるようにします。

〇物語を書くための組み立てをわかりやすくした板書

多くの物語は、「①始まり ②出来事(事件)が起こる ③出来事(事件)が解決する ④むすび」(起承転結)で書かれており、「三年とうげ」において既にその構成について学習しています。この学習を生かして、本単元では同様の組み立てで、冒険物語を書いていきます。

子供たちが、物語の組み立てをイメージしやすいように、組み立てメモの例を板書します。板書を参考にして各自が組み立てメモを作成することで、構成が明確になり、筋の整った物語を書きやすくなります。

板書を活用した授業の進め方(2/10時間目)

小3国語「たから島のぼうけん」板書の技術 板書
2/10時間目の板書

1 本時の学習のめあてを確かめる

「たから島の地図」を黒板に貼ります。地図を見たときの子供たちのつぶやきや発言を基に、これからの学習についてのめあてとして、「地図を見て、そうぞうし、物語の大体を考えよう。」を板書します。

2 地図を見て、話を想像し、全体で共有する

はじめに、地図には「どんな生き物がいるか、何があるか」ということを確かめながら、カード(ピンク)を周りに貼っていきます。

次に、様子や特徴を想像させます。子供たちがイメージしやすいように、教師が「魚」を例にして、想像したことを板書します。子供たちからも付け足しの考えを発表させて板書し、イメージマップの作り方を伝えます。

その後、ペアやグループで自由に話し合わせて、ものや動物について想像したことを短冊に書かせ、黒板に貼らせます。想像したことを全体で共有しながら1つの大きなイメージマップを完成させます。

3 物語の大体を考える

次の3つの観点を板書し、たから島の地図について物語の大体を考えさせます。

・登場人物について…名前・年齢・学年・性格・登場人物の関係性
・地図について…どのようにして地図を手に入れたか
・たから島で出会ったものや動物について…2つ程度選ぶ

特に登場人物の設定(性格や関係性など)や状況(地図について)が物語を作る上で大切になるので、じっくり考えさせ、ノートに書かせます。

※本時の板書をタブレットで撮影して子供たちに配信し、次時以降にも活用します。あわせて、イメージマップをラシャ紙に貼り直していつでも見られるように、教室に掲示しておきます。

板書を活用した授業の進め方(3/10時間目)

小3国語「たから島のぼうけん」板書の技術 板書
3/10時間目の板書

1 本時の学習のめあてを確かめる

めあて「物語の組み立てを考えよう」を板書し、学習の見通しをもたせます。

2 組み立て方を確かめ、物語の組み立てを考える

「三年とうげ」で学習した物語の組み立てを思い起こさせ、組み立てメモの表を作成します。表の1段目に組み立ての「①始まり ②出来事(事件)が起こる ③出来事(事件)が解決する ④むすび」を板書します。子供たちには、板書と同じ枠組みのワークシートを配付します。組み立てメモを書かせるための指導の手順は、次の通りです。

①表の2段目には、組み立て①~④のまとまりごとに短冊を貼り、内容を考える際のポイントを確かめます。
②3段目には、書き方の例として、教師が考えた話のメモの一部を簡単に説明しながら板書します。
③子供たちが組み立てメモを書く際に、気を付けることを確かめ、表の左側に板書します(「書き方」)。
④板書を基に組み立てメモを考えさせ、ワークシートに書かせます。

※子供たちへのヒントになるように、教師自作の組み立てメモの完成形をタブレットで配信します。

3 友達と交流し、物語全体の組み立てを完成させる

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子供たちが、意欲的にしっかりとした物語の組み立てを考えられるように、友達と話す時間を確保します。

子供たちの中には、同じものを選んだ友達と話したい子もいれば、違うものを選んだ友達に聞いてみたい子もいます。そのため、上の画像のように誰が何を選んだのかが一目でわかるように、移動式黒板に子供の名前カードを貼らせます。

黒板で、友達が何を選んでいるのかを見ながら、ペアか3、4人のグループで組み立てメモに書いた内容について自由に交流させます。迷っているところを相談したり、お互いに質問し合ったりすることで、自分の考えが確かなものになり、組み立てメモを書き加えたり、修正したりすることができます。

 

構成/浅原孝子

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