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子どもの思いを大事にして授業づくりをすること 【理科の壺】

連載
理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~

國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓

子どもの思いを大切にすると、教師が思っていなかった発言が出て、そのあとどのようにすればいいのか困ってしまうということがありますね。でも、先生が主導で授業を推し進めすぎると、子どもたちにとっては「先生に言われたからやっているだけ」ということになってしまいます。子どもたちにとっては、面白くない授業になりやすいです。では、子どもたちの思いを大切にするということはどういうことなのか? そこには、子どもたち1人1人の気持ちを大切にした「配慮」と「努力」があるようです。ベテランの先生の考え方や準備の方法はどうなっているのでしょうか? 優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような “ツボ” が見られるでしょうか?

執筆/神奈川県公立小学校主幹教諭・岡田洋平
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

1.予備実験は「子どもたちをワクワクさせる」ための大事な時間

子どもたちは理科の学習がとても好きです。とても好奇心旺盛で、早く実験がしたい。じっくりと観察がしたい。という思いをもっています。だから、私たちは子どもの思いを大事にした学習の展開を心がけたいものです。経験年数が長くなった今でも、予備実験をして、自分の目で現象を確かめ、どんな子どもへの声かけが必要か、どんな手立てが必要か、授業をする前に検討しています。経験年数の浅い先生方には、事前の予備実験は大事な時間として、確保してほしいと思っています。今回は、いくつかの事例から「子どもの思いを大事にして授業づくりをすること」について考えていきたいと思います。

2.「比べる」と子どもは考えやすくなり、発言も増える

理科の単元の導入は問題づくりが大事です。「比較しながら調べる」や子どもたち自身で「問題を見いだす」という学び方を大事にするとよいです。これはどの学年でも当てはまりますし、子どもたちの興味をより高めていくには、とても効果的な方法です。

ここでは、5年「天気の変化」を例に説明します。
晴れた日とくもりの日の写真を比較することで、子どもたちの気づきや疑問を引き出すことができます。写真は教室から見た空の様子を、「同じ場所」「同じ時刻」で撮影した(晴れの日、くもりの日の日にちが違うだけ)2種類を比較します。

その写真を見比べて子どもたちと学習するときは、1枚ずつ提示し、気づいたことをたくさん話す場面を作ります。まずは晴れの日で気づいたことをたくさん話した後、次のくもりの日の写真から気づいたことを発表します。

2枚目のくもりの日の写真で気づいたことを出すときは、「晴れの日と違って~」「晴れの日と比べると~」といった、【前の写真と比べてどうか?】といった視点が入り、子どもの話し方も高まっていきます。

その際は、先生が
【子どもの気づきを認め、称賛すること】
【子どもの話し方を価値づけること】
で、子どもたちの発言は活発になり、安心して取り組めるようになります。

子どもたちの気づきが全部出たところで、次にこのように発問してみましょう。

すると、こんなやりとりができます。

天気の変わり方って、どうなっているのかな?

雲が動いていると思うよ。

雲が動くから天気が変わるんだよ。

でも、どっちに動くのかな?

たぶん、公園の方に動いていると思うよ。

きっと、雲の動きが天気の変わり方に関係しているよ。

気づきをたくさん話すことで、子どもは自信をもつことができます。気づけば自分たちだけで話合いを進めることもできます。

子どもの疑問が全部出たところで、教師は
『どんな問題ができそうかな?』
と発問するとよいです。すると、子どもたちは『ぼくたちの学校の空にある雲は、どのように動くのかな?』などと、問題を見いだすことができます。

3.子どもの思いに沿って手立てを考える

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