「話すこと(やり取り・発表)」【小6外国語科 中学で「英語嫌い」にさせない! アイデア2】
外国語科の小中連携がとても重要になっています。外国語科は、中学校で一気に難しくなり、ついていけない子が出て、英語嫌いにつながると言われています。そこで、小学6年生の今の時期に行える、中学につながる活動のアイデアをお届けします。小学校の学習範囲で行うので、無理のない活動になっています。2回目の今回は五つの領域のうちの「話すこと(やり取り・発表)」です。ぜひお試しください。
監修/沖縄県公立小学校教諭・平良優
目次
二つの基本
- 中学の内容の前倒しの学習はしません。
- 小6の外国語科の中には、スモールトークやチャンツなど、教科書内の活動がさまざまにあります。その活動を基本にして特別に新しい活動は入れないようにします。
話すこと(やり取り・発表)
態度面を育成する
ねらい:互いに気持ちのよいコミュニケーションをめざす。
「やり取り」や「発表」は、自分のことを相手に伝えたり、相手のことを理解したりするために行います。そのコミュニケーションをより豊かにするために、「相手意識」がとても大切です。さて「相手意識」とは何でしょうか。平良先生は、「やり取り」や「発表」をする際の「相手への配慮」だと考えています。そのため、「やり取り」や「発表」の際には、次の2点を大切にしましょう。
①伝えるとき…聞き手の理解の状況を確認しながら話すということ。
②聞くとき…相手の発話に反応しながら聞くということ。
これは、相手への思いやりであり、そこから信頼や友情が生まれ、豊かな人間関係を築くことにつながっていきます。つまり、道徳教育でもあるのです。
小学6年で、このコミュニケーションを豊かにしていく態度面の重要性について再確認することが、中学校で主体的によりよくコミュニケーションを図る態度の育成へとつながっていきます。
言語面を育成する
<やり取り>
ねらい:既習を駆使する力を高める。
中学校外国語科では、「関心のある事柄について即興で伝え合う活動」が行われます。その活動に向けて、小学6年では次の力を意識して高めていきましょう。
やり取りが継続するように、相手が言ったことを繰り返したり、応答したり、質問したりする力を育成する。
活動実践例1
I like sushi. It’s delicious!
You like sushi. (繰り返し) Me too.(応答) I like tuna . Do you like tuna?(質問)
Yes, of course. (応答) My favorite sushi is salmon.
Good! (一言感想)
既習の語句や表現を用いて、これまでに蓄積してきた力を駆使して、相手に関する簡単な質問をその場で考えて質問したり、自分に関する相手からの簡単な質問に対してその場で考えて答えたりする力を育成する。
活動実践例2
My best memory is our school trip. It was fun!
Yes! It was fun!
We went to Okinawa. We went to Churaumi Aquarium.
Yes, Yes.
I saw a shark.
Me, too, and I saw a jellyfish.
Me, too. We saw a dolphin show. It was amazing.
It was very hot, I ate ice cream. I like vanilla ice cream.
Do you like vanilla ice cream?(質問)
Yes, I do. I sometimes eat vanilla ice cream. (返答)
What taste do you like?(質問)
My favorite ice cream is chocolate.(返答)
Nice. I sometimes eat chocolate ice cream.
Good.
I enjoyed our school trip. Thank you.
Thank you.
<発表>
ねらい:話すことの定着を図り、英語の音声の質を高める。
中学校外国語科では、「関心のある事柄について即興で話す」という活動に対し、小学校外国語科では、「身近で簡単な事柄について、伝えようとする内容を整理した上で」話す活動が行われます。そのため、準備や練習をする時間が確保されます。
その時間において、次の2点を大切にしましょう。
①自分のことを発表するだけでなく、他者になりきって発表する。
しっかりと練習し、自信をもってグループで発表をした後に、そこで得た情報を基に、グループの誰かになりきって、他のグループや全体の場で発表し、それが誰のことかを当てる活動です。このように発表のバリエーションを変えて繰り返し、話すことの定着を図っていきましょう。
②発音やイントネーションなどの音声の質を高める。
ALTの発話やデジタル教材の音声などをしっかりと聞かせ、発音やイントネーションを意識させながら練習させましょう。しかし、実際の発表の場では、音声の質を意識するあまり、相手意識が薄れては本末転倒です。練習の際は、音声の質を高めることも大切にしますが、発表の際には「相手意識」を第一にします。
取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/嵯峨根明日香(オーデザインチャンネル)