小2算数「式と計算」指導アイデア(1/3時)《加法の結合法則と( )の用い方》

特集
文部科学省教科調査官監修《1人1台端末時代の》教科指導ヒントとアイデア
小2算数「式と計算」指導アイデア

執筆/東京都目黒区立八雲小学校主任教諭・菊地めぐみ
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都目黒区立八雲小学校校長・長谷豊

小二算数 年間指導計画

単元の展開

第1時(本時)加法の結合法則と(  )の用い方を理解し、3口の数の加法計算ができる。

第2時 3口の数の加法の場面を(  )を用いた式に表したり、(  )を用いた式から考えを読み取ったりすることができる。

第3時 >、<、=を使った式の表し方を知り、加法の場面を式に表すことができる。

本時のねらい

計算する順序を考えて、3口の数の加法のしかたを考え、結合法則や(  )の用い方が分かる。

評価規準

(  )の用い方を理解して、17+6+4の計算を、17+(6+4)として計算することができている。

本時の展開

イラストを見て、問題場面を子供とともに確認する。

小二算数イラスト1

子供たちが遊んでいますね。

一年生(黄色い帽子着用)が7人遊んでいます。

ここに……(ICTを使って、子供たちが増える様子をアニメーションで見せる)。

あとから子供たちがもっと遊びに来ました。

来た子たちには、一年生(黄色い帽子着用)と二年生がいます。

そうですね。初めに7人遊んでいたところに、後から子供たちがやってきた場面ですね。みんなで問題を読みましょう。聞かれているのは、何でしょうか。



校ていで、一年生が7人あそんでいます。そこへ一年生が12人、二年生が8人来ました。校ていには、みんなで何人いますか。

みんなで何人になったかを聞いています。

初めに7人いて、どんどん増えたから……。

この場面のみんなの人数を求める1つの式を書けますか。

7+12+8です。

どうすれば答えを求めることができそうですか。



7+12+8の計算のしかたを考えよう。

見通し

順番にたし算していけばできそうです。

自力解決の様子

A つまずいている子

どこから計算したらよいか分からない。


B 素朴に解いている子

7+12=19 19+8=27
と、順に足して計算している。
または、
12+8=20 7+20=27
と、12+8を先に計算している。


C ねらい通り解いている子

式の意味を言葉や図で説明している。
・来た順に足して計算する。
・一年生の人数をまず計算する。
7+12=19  19+8=27
・後から来た人数を先に計算する。
12+8=20  7+20=27

自力解決の様子から、子供たちの状況を評価します。そして、子供たちの学習の状況によって、個別指導や小集団による指導を行うなどして、全員が解決に向けて動き出せるよう指導を行います。

先に遊んでいた一年生7人、後から来た一年生12人、二年生8人のイラストを配っておき、式が表している人数がイラストのどの部分に当たるかなどを、図にかき込んで説明できるようにしておきます。

学び合いの計画

3口の計算の経験から、左から順に順序よく計算する子供が多いと考えられます。

まずは、その考えを認めるとともに、「一年生の人数を求めている」という式の意味に気付くことができるように、図と式を対応させて説明します。

次に、「後から来た人数を先に計算する」考え方をしている子供の考えを発表させます。

足す順序が違っていても答えが同じになることを、似ているところと違うところに気付くように、発問して確認します。

ノート例

B 素朴に解いている子

ノートに記述させる際には、式のみを書かせるのではなく、自分がどうしてその答えを求めることができたのか、その根拠や説明も書けるように指導していきましょう。

特に、Bの子供については、こうした視点を与え、図にかき込むなどしながら、少しずつ自分の考えを言葉でも書く習慣を身に付けていくことができるとよいでしょう。今回は説明の手がかりになるように、絵を配るようにします。

素朴に解いている子のノート例

A つまずいている子

自力解決の場面では、答えの27人は分かっても、7+12、19+8と式を分けて表現できない可能性があります。イラストを手がかりに、まずどこを計算しているのかを聞き取りながら、3口の計算の順序に気付かせるようにしましょう。

友達の考えを聞いたあとの適用問題で、(  )を適切に使って問題が解決できているかを見とるようにします。

つまずいている子のノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

Cさんは、ノートにこのような式を書いて、計算のしかたを説明していました。

小二算数図1

私と同じです。

Cさんがどのように答えを求めたのか分かりますか。

順番にたし算をしています。

7+12=19の19は、何の数でしょうか。

初めにいた一年生が7人、後から来た一年生が12人なので、19人は一年生の人数です。

イラストの左が7人で、まん中が12人です。一年生を数えると、19人です。

なるほど。Cさんは一年生の人数を先に計算したのですね。次の式19+8=27は、何を計算しているのでしょう。

一年生19人と二年生8人を足して、27人です。

Bさんはこんな式を書いていました。

小二算数図2

12+8は、何のことだろう。

図だと、12人は後から来た一年生のことで、8人は後から来た二年生だ。

分かった! 12+8は、後から来た子たちをまとめて計算しているよ。

7+20は何を表していますか。

初めに遊んでいた子と、後から来た子たちを足しています。

2つの考え方の似ているところは、どこでしょうか。

どちらも答えが27になります。

どちらも2つの式でできています。

違うところはどこでしょうか。

まとめているところが違います。

先に計算するところが違います。

3つのたし算は、2つに分けて計算します。そして、まとめて考えるところを先に計算します。足す順序を変えても、答えは同じになりますね。

小二算数図3

答えは同じでも、どこをまとめて考えているかが違いました。この違いを式で表す方法があります。それが(  )です。(  )を使うと、ひとまとまりの数を表すことができます。そして、(  )は、先に計算する約束があります。



全体発表後半で、「まとめて計算する」「先に計算する」という言葉を板書し、価値付けます。

子供の考えと指導する内容の「(  )かっこ」の使い方を結び付け、自分たちの気付きと新しく習うことを関連付けて理解できるようにします。そして、学習したことを基に評価問題に取り組み、(  )を使った計算を実践します。

実際に計算してみることで、(  )の場所によって計算が簡単になる場合に気付く子供がいるでしょう。子供の気付きを取り上げて、(  )の位置によって計算が簡単になる場合があることを共有しておき、次時のめあてにつなげます。

評価問題

つぎのもんだいを1つの式に書いて、もとめてみましょう。

池にあひるが17羽いました。そこへ6羽入ってきました。また4羽入ってきました。あひるは何羽になりましたか。

子供の解答の具体例

17+6+4で、後から来たあひるを先に足しても答えは同じになる。(  )を使って計算をしてみよう。

・6+4を先に計算する。
17+(6+4)=27

・順番に計算する。
17+6=23 23+4=27
(  )を使うと(17+6)+4になる。

本時の評価規準を達成した子供の姿

6+4の計算を先にするほうが簡単だ。

さっきの計算ではどうでしたか。

12+8=20を先にしたほうが、後の計算が簡単になります。

(  )を使うと、簡単に計算できそうですね。次の時間にいろいろな式を計算して、調べてみましょう。

感想例

  • 順番に計算していたけれど、3つの数をたし算するときには、順序を変えてもよいことが分かった。(  )を使って、簡単に計算できるようにしてみたい。
  • (  )を使うと、どこを先に計算するか分かるので、計算するときに気を付けて計算してみたい。

イラスト/横井智美、やひろきよみ

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