理科授業の動画や写真の視覚的な記録方法 ─ノートとICT端末を連携して活用する─ 【理科の壺】

連載
理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~

國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓

理科の授業では、タブレット端末の写真や動画撮影機能を多く活用することと思います。観察や実験を映像により繰り返し再現できたり、考察場面で言葉に加え写真や動画を添えて説明したりすることができ、大変効果的です。
今回は、問題解決の流れに合わせて、ICT端末に保存した写真や動画とノートを連携させた活用方法について紹介します。

執筆/北海道公立小学校教頭・成田 恵
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

1.単元のはじめの事象との出合いの場面

単元のはじめに、事象との出合いを写真で撮影することがあります。その対象の様子から共通点や相違点を整理し問題を整理することになりますが、このとき子どもが自分のノートに気づきや疑問などを文章で書いていくことが多いと思います。しかし、そのノートの文章が相当上手に説明していない限りは、後からノートを見ても、何について書いているかわからず、子ども自身で振り返ることが難しいことが多いです。

そのような場合は、ICT端末を利用すると効果的です。写真や動画の映像と子どもたちの思考を関連付け、視覚的に説明し、わかりやすくすることができます。

教師から提示された画像の場合は、写真や動画、画像を貼り付けたカードを子どもたちに送信しましょう。子どもたちが対象を観察した場合はその写真や動画を保存させましょう。

画像と気付きの文章を一緒の画面に整理します。もちろん、交流場面でも使えるようにする方が効果的です。

予想や仮説を立てる場面

予想や仮説は、「私は、○○だと思います。理由は、△△だからです」のように、自分の考えを書く場面です。なので、絵や図などを自由にかくことができるノートがよいと思いますが、もちろんタブレット端末にも整理することはできます。

観察や実験の結果を整理する場面

観察や実験の結果は、数字や言葉などで記録します。ICT端末を活用すると、観察した様子と言葉を関係付けて記録に残すことができます。

1人1台端末の導入により、ノートとICT端末を行き来することが多くなります。そこで、ノートを基本としながら、写真や動画を活用した場合は「5.流れる水のはたらき③に保存」というように、保存先を記載しておきましょう。

そうすることで、ノートを軸としながらもICT端末を効果的に活用することにつながります。子どもの意識の流れが途切れないよう配慮しながら、より効果的なノートとタブレット端末を活用していくことが大切です。

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<執筆者プロフィール>
成田恵●なりた・めぐみ 北海道公立小学校教頭/北海道小学校理科研究会理事として理科の授業づくりを推進している。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成・分析委員を経験。北海道教育大学非常勤講師としても教員養成に携わる。


<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。


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