小1国語「じどう車くらべ」指導アイデア
教材名:「じどう車くらべ」(光村図書 一年下)
指導事項:〔知識及び技能〕(2)ア 〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)ア
言語活動:ア、ウ
執筆/東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・大島静恵
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
「しごと」と「つくり」の事柄を「そのために」がつないでいることや、それぞれの自動車の事柄同士を比較して、「しごと」と「つくり」について、共通と相違の関係を捉えながら読む力を育みます。
また、『くちばし』や『うみのかくれんぼ』の学習を生かして、「問い」に対する「答え」がどのような関係で書かれているのか、文章全体の構造についても考え、文章全体を読む視点の育成も図ります。
② 言語活動とその特徴
「じどう車カード」にまとめるという言語活動を行います。それぞれの自動車について、カードに「しごと」と「つくり」について重要な語や文を選び出しながら読み進めます。また、そのカード同士を比べることで、「しごと」と「つくり」の内容の大体を捉えることをめざします。
この言語活動を自動車ごとに繰り返すことで、「しごと」や「つくり」の共通する事柄を理解していき、どのような順序で説明されているか文章の構造を大づかみに捉え、それらを手がかりに内容を正確に理解できるようになることをめざします。
また、これらに続けて自分の好きな自動車について「書くこと」の単元を位置付け、図鑑などから説明に必要な事柄を見付けて重要な語や文を選び出すことに生かすなど、子供たちの意欲を向かわせる工夫もできます。
単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①自動車やその自動車の特徴について知っていることを出し合い、さまざまな自動車に興味をもつ。どのような事柄が説明されているか、それぞれ「じどう車カード」にまとめる学習の見通しをもつ。
【学習課題】「しごと」と「つくり」の かんけいを かんがえて 「じどう車 くらべ」を よもう
第二次(2~5時)
②③④ それぞれの自動車について、「しごと」と「つくり」に関わる語や文を選び出し、「じどう車カード」をまとめる。
→アイデア1 主体的な学び
→アイデア2 対話的な学び
第三次(6時)
⑥文章全体の構造を確認するとともに、単元の学習をふり返る。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 「じどう車カード」にまとめることを繰り返し、読み進められるようにする学習展開
三つの事例について、子供たちが自力で読み解いていけるように、段階的に学びを進めていきましょう。例えば
事例①「バスやじょうよう車」は全体で読む
事例②「トラック」はペアで読む
事例③「クレーン車」は一人で読む
というように段階的な場を設定します。全体での読みに入る前に、ペア学習やグループ学習の場を設定することも有効です。
三つの事例を生かして繰り返し読むことで「読み方」を少しずつ理解し、自信をもって読めるように育てていきます。
このような学習展開を行うことで、子供たちは、読み進めるごとに自信を深め、もっと読みたいという気持ちが湧いていきます。自力で読めるようになると主体的に文章と向き合う姿が生まれてきます。
バスや乗用車のときと同じように、「しごと」と「つくり」に関係する言葉を探しながら読めばいいんだよね。
「そのために」という言葉も大切だったよね。
分からなくなったら、じどう車カードを見直そう。
アイデア2 根拠を基に段階的に読み深める話合い活動
▼じどう車カード
上のような「じどう車カード」を中心にして、「しごと」や「つくり」に関わる重要な語や文を、一つ目の事柄の学習を生かし、分からないことを確かめたり教え合ったりして、確認しながら読み進めます。
▼じどう車カードを基に読み深める活動
「にもつを はこぶ」しごとだから、「ひろい にだい」とつながると思う。
「おもい にもつを のせる」から、「タイヤが たくさん ついて」いるんだよね。
その文も「しごと」と「つくり」の順番で書かれているね。
日頃の授業の積み重ねのなかで子供たち同士のよりよい関係を構築していきたいですね。
アイデア3 文章の構成や言葉の意味について考える「じどう車カード」の比較
「じどう車カード」に書かれた内容を比べることで、「しごと」と「つくり」という言葉の意味に共通することやそれぞれの自動車に特有の個別な事柄であることに気付くようになります。
また、その順序についても意識できるようになります。「しごと」と「つくり」の関係を考えながら読み直したり、「じどう車カード」に書かれた語や文を結び付けたりするなどして、文章全体の構造の理解に広げていきましょう。
▼文章の構造を考える
どうして、「バス・じょうよう車」→「トラック」→「クレーン車」という順序で書かれているのでしょうか。
身近にあって、みんなが知っているからじゃないかな?
身近なものから説明すると、どうしていいのでしょうか。順序を逆にしたらどうですか。
知っている自動車について先に説明されたほうが、その自動車のことを想像しやすくて、「しごと」と「つくり」の関係も分かりやすいと思う。
単元の終末には、自分自身の学びを指導事項に沿ってふり返る時間を大切にしましょう。
イラスト/川野郁代 横井智美
『教育技術 小一小二』2021年10/11月号より