プログラミング体験を取り入れた「総合的な学習の時間」指導アイデア〈小4〉

4年生の二学期におすすめの「総合的な学習の時間」の指導アイデアを紹介します。京都府の米谷誠介先生が、探究的な学習過程に「プログラミング体験」を取り入れた学習アイデアについて解説します。

執筆/京都府公立小学校教諭・ 米谷誠介

探究的な学習に主体的・協働的に取り組みながら、学びの質を高めるために

1:学習活動の幅を拡げて

情報の整理・分析を行った後、それを他者に伝えたり、自分自身の考えとしてまとめたりする際、どのような学習活動をイメージされるでしょうか。

・新聞にまとめる
・ポスターセッションを行う
・パンフレットにまとめる
・レポートにまとめる など

もちろん、すべて間違いではありません。いずれを用いるのか、あるいは、いずれを組み合わせるのか。それは、子供の実態と指導者の意図によって答えが分かれるかと思います。その選択肢の一つに「プログラミング体験」を取り入れることで、学習活動の幅を拡げてみませんか。

プログラミングに関する問いのイラスト(タブレット、スマートフォン、携帯型ゲーム機、洗濯機、炊飯器、エアコン)

上のイラストの中でコンピュータはどれでしょうか

こう尋ねると、ついつい子供たちはタブレット端末のみを選びがちです。しかし、タブレット端末は、コンピュータの一つです。普段よく見る、使う便利な物の多くは、中にコンピュータが入っているという事実を知って驚きます。

どれが、ロボットで、どれが機械でしょうか

続けて、こう尋ねてもよいかもしれません。さらには人工知能(AI)について言及してもよいかもしれません。いずれの場合であっても、実社会や実生活の中において、プログラミングされた便利な物が数多く存在していることに気付き、その有効性について子供たちが実感することが重要です。そうすることで、子供たちは「プログラミング体験」することに学びの必然性をもつことができます。

2:プログラミング体験を探究的な学習の過程に適切に位置付けて

自分たちの町の観光マップを見ながら、本やインターネットを活用して調べたり、町のことについて詳しい人にインタビューしたりして、自分たちの町の魅力について学びを深めた子供たちが、学んだことについて情報発信しました。

その方法として、「プログラミング体験」を探究的な学習の過程に適切に位置付けたことで、単元構想のアイデアはもちろん、育成することを目指す資質・能力の可能性も広げることができたと考えています。

本実践では、「LINE entry」というプログラミングツールを活用しました。

LINE entry「自分たちの町のみりょくをしょうかいしよう①」

「LINE entry」のよさは、以下の3点です。

1点目は、企業名やキャラクターが子供たちになじみがあったことです。実際に、子供たちも見たことがあると言っていましたし、ブラウン君(LINEのキャラクター)が画面に出たり動いたりするだけでも歓声が上がるほどでした。

2点目は、京都市ではScratchを中心に扱うことになっていますが、「LINE entry」は「Scratch」を模して作られたと伺っていましたので、子供たちは、将来的に「Scratch」への移行もスムーズにできると期待できたことです。

3点目は、「LINE entry」の何よりの魅力だと思う「シーン」という機能です。シーンの切り換え機能を用いてプログラミングを進めることで、プレゼンテーション形式の作品を作れることです。今回構想した単元では、自分たちの町の魅力を紹介するためにプレゼンテーション形式に落とし込むことが、目的意識、相手意識を持たせるためには必要不可欠だと考えていました。

プログラミング操作を学ぶ子供たち。
「LINE entry」を使って、プログラミング操作を学ぶ子供たち。

何のためにこのプログラムをするのかという目的意識、そして誰のためにするのかという相手意識を繰り返し指導することで、単なるプログラミングの操作に終始させないように留意しました。

小学校プログラミング教育の手引(第三版)』には、「小学校学習指導要領第5章総合的な学習の時間第3の2(9)では、総合的な学習の時間においてプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合、プログラミングを体験することが、探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすることを求めています。『プログラミングを体験することが、探究的な学習の過程に適切に位置付くようにする』とは、課題について探究的に学習する過程において、自分たちの暮らしとプログラミングとの関係を考え、プログラミングを体験しながらそのよさや課題に気付き、自分の生活や生き方と繋げて考えるようにすることであり、すなわち、学習活動がプログラミングを体験することだけにとどまるものではないことを意味しています。」と記されています。

「プログラミング体験」の探究的な学習の過程への適切な位置付けについては、構想する学習活動に応じて、下のとおり、大きく3つの型が考えられます。

①問題解決型:社会の問題状況を解決するために、プログラミング体験を通して探究的に課題を解決する、という展開。これは、人がより良く生活するための障壁となっている様々な問題に対して、プログラミング体験を通してそれらの問題を解決していこうとするものである。

②情報発信型:魅力やよさを発信し伝えるために、プログラミング体験を通して探究的に学びながら発信する、という展開。これは、ある課題を探究し、解決していく過程で他者に自分たちの思いや考えをこめて情報を発信していこうとする際にプログラミングを活用するものである。

③プロジェクト型:プログラミング体験を通して探究的に学びながらモノやLEDなどを動かす、という展開。これは、ロボット教材や基板などが必要で、それらに動きがあり、ダイナミックであるがゆえ、教材として魅力的だが、一般的に価格が高いため、予算の確保が必要となるものもある。

他者と互いのよさを生かしながら、積極的に社会にしようとする態度を養うために

1:企業と連携して

子供がプログラミングしてできた作品をLINEみらい財団の人に評価していただく機会をもちました。「LINE entry」を開発した人に自分たちの作品を見てもらえるということに対して、歓喜の声を上げていた子供の様子が印象的です。

また、「作品を見た人のことを考えて、より見やすく、より分かりやすく工夫することが大切です。例えば、最後の画面まで見たら、次に見る人のために、最初の画面に戻るようにプログラミングすることが考えられます」といった、専門家からの具体的なアドバイスを受けたことで、課題意識とともに制作する意欲を高めたり、自分たちの取り組んでいることに対して責任感をもったりすることにつながりました。

子供がプログラミングしてできた作品の画面画像
子供が「LINE entry」でプログラミングしてできた作品。

2:制作、ものづくりとして【まとめ・表現】

具体的な制作やものづくりを目指すことで、目標の実現に向けた探究活動が実現します。体験を通して創造性を発揮するとともに、幅広くメッセージを伝えることにもつながります。また、自分たちの制作物に込めた思いや表現の背景にある意図を整理する過程で、これまでの学習を振り返り、学んだことの意義や価値に気付くことにもつながると思います。

子供がプログラミングしてできた作品を、タブレット端末とともに商店街の会長さんのお店に置いていただきました。さらに、それらを、YouTubeを用いて学校のホームページにも掲載しました。自分たちがプログラミングしてできた作品が不特定多数の人たちに伝わり、そのことで人を喜ばせることができたとか、社会をわずかでも変化させることができたというような実感、達成感、充足感、そういったものを子供の学習の振り返りについて聴いたり読んだりする中で感じ取れました。

子供が「プログラミング体験」しているときの板書例。
子供が「プログラミング体験」しているときの板書例。

実際の「プログラミング体験」を通して、プログラミングに必要な順次、反復、条件分岐といった3つの基本的な動きを楽しみながら理解することができると思います。そして単なる操作に終始せず、プログラミングを活用して問題を解決したり、人を喜ばせたり、社会をわずかでも変化させることができます。言うなれば、プログラミングの有効性を実感できるというわけです。

最後に、目的意識や相手意識をもって「プログラミング体験」をすることは、予測困難な時代に未来を切り拓くための大切な体験になるのではないかと思います。またコンピュータは、これからの未来を生きる、切り拓く子供たちにとって学習・生活両面においても必要不可欠なツールです。ですから、コンピュータと密接な関係にあるプログラミングについて学ぶことは、世の中にある「もの」、「こと」、「人」への理解を深め、自分の将来の可能性を拡げることにもつながるのではないでしょうか。

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〈小4〉1学期の「総合的な学習の時間」指導アイデア

参照/小学校プログラミング教育の手引(第三版)文部科学省

イラスト/佐藤雅枝

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