小4算数「折れ線グラフ」指導アイデア《波線を用いた折れ線グラフの表し方の工夫》
執筆/富山大学人間発達科学部附属小学校教諭・屋鋪善祐
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一
前・富山県南砺市立福光東部小学校校長・中川愼一
単元の展開
第1時 折れ線グラフの特徴や読み取り方を理解する。
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第2時 折れ線グラフの増加・減少、傾きに着目し、データの特徴を読み取る。
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第3時 折れ線グラフのかき方や読み取り方を理解する。
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第4時(本時)波線を用いた折れ線グラフの表し方の工夫を考える。
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第5時 折れ線グラフの特徴に着目し、データから読み取れる内容について考える。
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第6時 複数系列のグラフを読み取る。
本時のねらい(折れ線グラフの読み方・かき方の学習後)
波線を用いた折れ線グラフの工夫について、これまでに学んできたグラフのかき方や読み取り方を基に考える。
評価規準
データの特徴に着目し、問題を解決するために折れ線グラフの表し方を工夫して、その結論について考えている。(思考・判断・表現)
折れ線グラフに表そう。
これは、ハムスターの体重の7か月間の変化を表した表です。折れ線グラフに表しましょう。
できました!

なんだか、変化の様子が分かりにくいな……。
どうして、分かりにくいと感じるのですか。
体重が増えていることは分かるけど、くわしい変化が分かりづらいです。
横線の上に、点を取ることができなかったので、正確な体重が分かりづらいからです。
めもりの幅を広くしたら、もっと変化の様子が分かりやすいグラフにならないかな。
めもりの幅が広いと何がよいのですか。
グラフの傾きが見やすくなるからです。
ここに、めもりの幅を広くしたグラフを2つ用意しました。どちらのグラフのほうが変化の様子が分かりやすいか考えていきましょう。

変化の様子が分かりやすい折れ線グラフを考えよう。
見通し
1めもりの大きさを見直したほうがよさそうだ。(方法の見通し)
めもりの幅を広げ、1めもりの数を小さくしたほうが変化の様子が見やすくできそうだ。(結果の見通し)
自力解決の様子
A つまずいている子
①を選ぶ。
変化の様子を見やすくするために、
・めもりの間隔を広げる。
B 素朴に解いている子
②を選ぶ。
変化の様子を見やすくするために、
・めもりの間隔を広げる。
・1めもりの大きさを、2から1に細かくする。
C ねらい通り解いている子
②を選ぶ。
変化の様子を見やすくするために、
・めもりの間隔を広げる。
・1めもりの大きさを2から1に細かくする。
・20g未満の範囲は必要がないから省く。
学び合いの計画
子供たちは、より身近に感じる素材を扱うことで、必要感をもって学習に取り組むことができます。ここでは、ハムスターの体重の記録を素材としました。
表の数値を折れ線グラフに表す場を設けることで、この折れ線グラフのめもりの大きさでは変化の様子が分かりづらいことに気付き、グラフを見直す必要感が生まれます。その後、変化の様子を分かりやすくするために、どのようなグラフを使えばよいのか考えるために、あらかじめ2種類のグラフを用意しておくと、めもりの大きさや必要な数値の範囲に着目して、自分の考えをもつことができます。
ここで、数値によってめもりの大きさを考えた経験が、後の複数系列のグラフを読み取る活動に生かされる力となります。この場面では、自分の考えに自信をもって発表できるように、十分に折れ線グラフとかかわることが大切です。
1人1台端末活用ポイント
タブレットなどのICT機器を使うと効果的です。折れ線グラフをICT機器にかき表すことで、互いの考えを視覚的に共有しやすくなります。また、どうしてそのグラフを選んだのかをICT機器に根拠を書き表すことで、教師が授業の最初と最後で子供の考えの変容を捉えたり、子供自身が考えの深まりを実感したりすることができます。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
どうすれば、変化の様子が分かりやすくできるのでしょう。
②のようなグラフに書き換えるといいです。1めもりの大きさを2から1に変えれば、縦長のグラフになっても、変化の様子をくわしく読み取りやすくなります。
僕も②にしました。でも、必要のないところは省けばいいと思います。
え、どういうことですか。
実際に使っているのは、20g以上でしょ? だから、20g未満の記録は必要がないです。だから、20g以上の部分だけ書くと、より変化が分かりやすいと思います。
確かに!
必要がない部分を波線を使って、このように省略することができます。
※ICT機器で見比べる。
本当だ! 変化の様子が分かりやすいよ!
※グラフをかいて、見比べる。
話合いでは、考えを比較し合う場を設けましょう。「○○さんと、同じ考え方だ」「僕も○○に注目したよ」「自分とは違った考え方だ」など、友達の考えから、自分では見出せなかったさまざまなグラフの見方に気付く姿が生まれます。また、最初のグラフと見比べる場を設けると、本当に変化が分かりやすいと言えるのかを確かめることができるので、本時の学びの成果を実感することができます。
その際に、ICT機器を使って2つのグラフを見比べることで、めもりの大きさや波線の有無によって変化の様子の見え方も変わることを、実感をもって理解することができます。
変化の様子が分かりやすい折れ線グラフにするには、
・めもりの幅を広げる。 → 傾きが急になるので、変化を目で捉えやすくなる。
・めもりの値を細かくする。 → 数値をくわしく読み取ることができる。
※どこまで細かくするかは、データのくわしさによる。
そのために、波線を使って必要のない部分を省けば、めもりの大きさを変えることができるので、折れ線グラフの変化の様子を分かりやすくできる。
評価問題
自分の一年生から四年生までの体重の変化を折れ線グラフに表すには、波線をどのように使えばよいでしょう。
子供に期待する解答の具体例
一年生のときは21.5kgで、四年生は30.9kgだから、20kgから32kgをくわしく表せるように、20kgより下のめもりを波線で省略する。
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
自分の体重の最高値と最低値を確かめ、波線で省略する数値を明らかにしている。
感想
- 波線を使ってグラフの途中を省くことによって、めもりの大きさが変わり、折れ線グラフの変化の様子が分かりやすくなることが分かりました。
- グラフをくわしく表すには、データもくわしくないといけないので、データの正しさを確かめるようにしていきたいと思いました。
- 次は、自分の体温の変化や気温の変化などを調べて、折れ線グラフに表してみたいです。
イラスト/横井智美
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