小5社会「公害からくらしを守る」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校主任教諭・杉本季穂
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都大田区教育委員会統括指導主事・木下健太郎
目次
目標
我が国の国土の自然環境と国民生活との関連について、公害の発生時期や経過、人々の協力や努力などに着目して、地図帳や各種の資料で調べて関係図にまとめ、公害防止の取組を捉え、その働きを考え表現することを通して、関係機関や地域の人々の様々な努力により公害の防止や生活環境の改善が図られてきたことや、公害から国土の環境や国民の健康な生活を守ることの大切さを理解できるようにする。また、主体的に学習問題を追究し、国土の環境保全について自分たちができることを考えようとする態度を養う。
学習の流れ (8時間扱い)
問題をつくる(2時間)
○ 全国の公害の広がりやその原因を知る。
○ 東京湾における過去の公害の様子を知り、学習問題を考え、学習計画を立てる。
〈学習問題〉
汚れた海をきれいにするために、だれがどのようなことをしてきたのだろう。
追究する(3時間)
○ 国や都の公害防止に向けた取組を調べる。
○ 企業の公害防止に向けた取組を調べる。
○ 市民の公害防止に向けた取組を調べる。
まとめる(3時間)
○ 関係機関や地域の人々の取組を関係図に表し、学習問題に対する考えをまとめる。
○ 現在の東京湾など海洋における環境問題とその解決のための取組を知り、海洋プラスチック問題について自分たちにできることを考える。
導入の工夫
「四大公害病」の動画や公害の分布図を用いて、過去の公害問題の概要をつかみ、解決に向けた取組について関心を高めます。
第1時
● NHKforSchool の動画「四大公害病」を視聴し、公害の問題、その原因や被害について知る。
VTRや日本の公害の分布図、年表から、どのようなことが分かりますか。
たくさんの工場がつくられて、水俣病やイタイイタイ病などの公害が問題となりました。
様々な種類の公害があります。
日本全国で公害は起こっています。
命にかかわる病気も起こりました。
写真を基に、東京湾における過去の公害の様子を知り、学習問題を考える
これは、東京湾の写真です。3枚の写真を古い順に並べ替えてみましょう。
遠くにビルが見えるから、最近の写真かな?
東京湾にも公害があったはずです。一度汚れた海が元に戻ったのかな?
正しい順序はA → B → C です。一度は汚れた東京湾が元に戻っています。
問題をつくる(1/8時間)
東京湾の公害発生の経緯と現在の改善した様子をもとに学習問題を考えます。
学習問題
汚れた海をきれいにするために、だれがどのようなことをしてきたのだろう。
まとめる(8/8時間)
海洋プラスチック問題に対して、国や都、企業、市民団体などが行っている取組について話し合い、自分たちにできることを考えます。
選択・判断のくふう
海洋プラスチック問題への対策を4象限マトリクスに位置付け、自分たちにできることの有効性について話し合います。
第8時
① 海洋プラスチック問題に対する取組を4象限マトリクスの図に位置付ける。
それぞれの立場で色分けした付箋紙に、行っている取組を書いて、その効果や実現可能性を4象限マトリクスに置いてみましょう。
イラスト/横井智美、栗原清
『教育技術 小五小六』2021年3月号より