小2算数「三角形と四角形」指導アイデア(6/9時)《いろいろな長方形をかこう》
執筆/富山大学人間発達科学部附属小学校・羽柴直子
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらいと評価規準
(本時6/9時 長方形の定義について学習した後)
ねらい
作図した図形が長方形かどうかを、長方形の特徴に当てはめて考える。
評価規準
図形を構成する要素に着目し、具体的な観察や操作により、長方形の特徴に基づいて、図形が長方形かどうかを判断している。(思考・判断・表現)
問題

点と点をつないで、いろいろな長方形をかきましょう。
昨日、紙を折って長方形を作ったり、作った長方形のかどの形や辺の長さを調べたりしましたね。今日は、長方形をかいてみましょう。
長方形は四角形の仲間だから、点を4つ選んでつないだらいいね。
四角形の仲間だから、4つの辺が必要だね。
長方形はノートみたいな形だから……。

子供たちは、次々とのような四角形を作図します。そして近くの友達と、「私も同じ長方形をかいたよ」「細長い長方形もかけるんだ」と関わり始めるでしょう。そこで
のような四角形を提示します。「それ、本当に長方形?」というつぶやきが聞かれるでしょう。子供たちは、既習事項を想起しながら、長方形かどうかを考え出します。
学習のねらい
長方形なのかをくわしく調べよう。
見通し
・三角定規を使って、かどが直角になっているかどうかを調べてみよう。
→長方形は、かどがみんな直角になっている四角形。
・辺の長さをはかってみよう。→長方形の向かい合う辺の長さは同じ。
自力解決の様子
A つまずいている子
見た目だけで長方形かどうかを判断している。
B 素朴に解いている子
三角定規を使って、かどの形が直角かどうかを調べている。
C ねらい通りに解いている子
かどの形や辺の長さを調べ、長方形の特徴に基づいて判断している。
学び合いの計画
前時に学習した長方形の特徴を生かして、長方形を作図し、それが長方形かどうかを考えていきます。長方形の特徴を基に「かど」「4つみんな」「直角」「向かい合う辺の長さ」「同じ」などのキーワードを用いながら、どこに着目して判断したのかを話し合いましょう。その際、「かどがみんな直角」などの言葉だけでなく、実際に三角定規を使ってかどが直角になっているかどうかを確かめることが大切です。
言葉では分かっているつもりでも、いざ図形を前にすると、長方形の特徴に当てはめて考えることが難しいというのが二年生の発達段階です。一つ一つの具体的な操作を行って確かめることで、言葉が表す意味と具体の図形をしっかり結び付け、実感を伴って理解することができるようになります。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連づけ
が長方形かどうか分かりましたか。
はななめだから長方形ではありません。
でも、向かい合う辺の長さをはかると同じだったから長方形だと思います。
向かい合う辺の長さは同じでも、かどが直角ではないから長方形ではありません。
本当に直角ではないのですか。
(三角定規を4つの角に1つずつ合わせてみせる。)


本当だ! 直角ではないね。向かい合う辺の長さが同じなだけで長方形だと決めたらいけないね。
では、このはどうですか。

ななめになっているところがの形と似ているよ。
でも、4つのかどがみんな直角だから、長方形だよ。向かい合う辺の長さも同じだね。
同じななめの四角形でも、長方形の場合とそうでない場合があるんだね。
を少し回してみると、
の長方形とよく似た形になるよ。
本時のまとめ
長方形かどうかを調べるには、
- 4つのかどに三角定規の直角を合わせて、ぴったり重なるかどうかを確かめる。
- 向かい合う辺の長さをはかり、それぞれ同じ長さかどうかを確かめる。
評価問題
辺をかきたして、長方形をかきましょう。

解答

本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
かどがすべて直角であることや向かい合う辺の長さが等しいことによって長方形かどうかを確かめている。
感想例
ななめになっていても、4つのかどが直角だったら長方形だということがよく分かりました。見た目だけで判断せずに、かどの形や辺の長さを調べることが大切だと思いました。
イラスト/横井智美
『教育技術 小一小二』2020年9月号より