小6外国語:「英語の歌」の指導法を教科書編集委員が解説!

連載
英語指導のモヤモヤに教科書編集委員が答えます!【月3回不定期更新】

神奈川県公立小学校教諭

長沼久美子

英語の歌はどのように指導したらいい? 「発表」の単元は、丸暗記でもいいの? こんな疑問に、小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生が答えてくれました。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子

小6外国語活動「英語の歌」の指導法を教科書編集委員が解説!

Q1「Take Me Out to the Ball Game」という歌が出てきます。英語の歌は、どのように指導したらよいですか。

(光村図書『Here we go!6』P.47)

A.とにかく聞いて真似できるように場をつくりましょう。

Take me out to the ball game. Take me out to the crowd.~♪

私はこんなに上手に歌えないから練習しないといけないな…

こんなふうに不安になる必要はありません。子供たちと一緒にまずは2~3回聞いて、同じリズムで同じフレーズの部分やサビの部分など、耳に残るところを口ずさんでいけば大丈夫です。

おそらく、まず始めは、文末が耳に残るのではないでしょうか。ライミング(韻を踏んでいること)しているからです。

‥‥‥ball game.♪
‥‥‥crowd.♪
‥‥‥jack.♪
‥‥‥back.♪
‥‥‥team.♪
‥‥‥shame.♪
‥‥‥game.♪

ライミングの部分以外の分からないところは、ルルルでもフンフンフンでもいいので、メロディーを口ずさんでみます。

そのうち、

フン(強)・フン・フン(やや強い)・フフン・ball game~♪

などと、強弱のイントネーションが分かってきます。

イントネーションを捉えられたら、次第に強い音のところが聞き取れるようになるので、歌ってみるようにしてみてください。

「歌えるところから歌っていけばいい!」

ここが重要です。

英語の歌は、「指導する!」と思うより、「一緒に楽しんで聞いて、一緒になって口ずさむ」というつもりで取り組むとよいのではないでしょうか。

だんだん上達してくると、音のリンキング(連結)が分かるようになります。文法が分かっている大人の場合、一単語一単語をはっきりと分けて発話して歌おうとしてしまうので、リンキングに対応できません。

子供たちは、リンキングはリンキングしたままで歌います。「レリゴー♪」(『アナと雪の女王』主題歌)など、まさにその例です。子供は、レットイットゴー♪とは歌いませんね。

Q2 「話すこと」の「発表」単元は、丸暗記でよいのですか?

(東京書籍『New Horizon Elementary6』P.27)

A.自分で考えた文(内容)を発表する場面です。丸暗記になってしまうことが多いのですが、話すスピードや抑揚、間などに気を付けて、相手に伝えようとする工夫ができるようにしてみてください。

話すことの「発表」は、話すことの「やりとり」とは異なります。自分の伝えたいことをまとめて、事前に内容を整理して、表現する活動です。そのため、事前に書いた原稿を見ながら発表する子供や、丸暗記して発表する子供が現れます。

発表の時に話す内容や意味を分かっていないまま、人が作った文章を呪文のように丸暗記して発表をするのは、何の学習効果もないためNGです。

一方、自分で話す内容を考えて文章を作って書いて、それを見て覚えた丸暗記であれば、十分な学びになっているので、よいのです。

話すことの「表現」では、

①伝えたいことを明確にする。
②相手に伝えようとする。

この2つが重要です。そこで、相手に伝える工夫として、抑揚や間、話す速さを意識して表現することも、指導できるとよいです。

また、丸暗記ゆえの棒読みにならないようにするため、伝えることのキーワードのメモを用意して、それを頼りにしながら話す練習をするなどすると、考えながら話すことにつながります。練習に困っている様子が見られた時には、子供に声掛けをして支援してみてください。

Q3 何かを紹介する内容で、もし、子供から少し複雑な表現を使いたいと言われたら、どうしたらよいですか。聞いている子供たちは分からないかもしれません。

(三省堂『CROWN.Jr6』P.38-39)

A. 「難しい言い方も伝えたい」という気持ちを優先してあげたい場面です。聞き手の子供が、複雑な表現を理解できるように支援しましょう。

誰かに何かを紹介しようと思ったとき、伝えたいことを表現する言葉が複雑になってしまうことがしばしば見受けられます。紹介したいという思いが強いならば、多少複雑になってでも、その表現を許容できるようにしてほしいと思います。パターン化した話型を使って行う活動よりも、多少表現が難しくても、紹介したいという「思い」がある活動の方が、何倍も意味があるからです。

ただ、複雑な表現は、聞き手の子供に伝わらないといった問題が起こります。

何を言っているんだろう?

と、聞いている子供が、ちんぷんかんぷんになってしまう可能性もあります。そこは、教師の出番! 教師が子供と子供のやりとりに介入して、複雑な表現を理解できるような支援をしてください。

例えば、

分からない表現はあったかな?

と、聞き手が話し手に質問できる場をつくってみることです。

途中が分かりにくい。

もう一度聞いてみたい。

このように、聞き手の子供が意見を述べたら、それを話し手と共有して、

どう思う?

など、回答を求めてみればいいのです。

ちょっと、黒板に絵で描いてもらっていいかな。

と、話し手に聞いてみるなども効果的です。

大切なのは、話し手の「伝えたい」という気持ちです。簡単な単語を並べて紹介することにも、価値がないわけではありません。しかし、子供が「伝えたい」という思いを強くもちながら、表現を工夫しようとする姿勢は、主体的な活動に迫る素晴らしい姿です。ぜひ、教師の支援をもって、活動を充実させてください。

【質問募集!】
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※全ての質問にお答えできるわけではありません。予めご了承ください。

長沼久美子先生プロフィールイラスト

長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。
(イラスト/本山浩子)

イラスト/横井智美

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