小1道徳「もりの ぷれぜんと」指導アイデア

執筆/佐賀県公立小学校・小倉美佐枝
目次
学校生活の中でよくある場面を想定して
一年生の子どもたちは、小学校での生活のしかたを少しずつ覚えてきたころではないでしょうか。みんなと仲良くしようと分かっていても、なかなかうまくできないことも多くあります。
いつも仲良くしている友達、少ししか話したことのない友達、教室にはいろいろな関係の友達がいます。「だれとでも」「だれにでも」と言っても、まだまだうまくいかないことがたくさんあります。学校でよくある場面を想定しながら、役割演技をして考えていきたいと思います。

「だれにでもおなじように」ってどういうこと?
人は、時に「仲がいいから」や「あの人を怒らせたら怖いから」と、相手との関係を考えて 行動することがあります。大人でもありますよ ね。一対一の、二人だけの空間ならばよいのかもしれません。でも、集団で生活していくとき、周りのみんなのことも考えながら、行動するこ とが大切になります。一年生は、自分と目の前の相手の関係を中心に考える傾向があります。少しずつ視野を広げて、周りの人はどうかなと 考える機会を増やしていきたいところです。
【指導項目】公正、公平、社会正義
自分の好き嫌いにとらわれないで、接すること。
【使用教材】
『もりの ぷれぜんと』(日本文教出版 一年)
このお話は、紙芝居風の4枚の絵で構成され、動物たちの表情や吹き出しの言葉から、想像しやすくなっています。
一枚目
たぬきたちからプレゼントをもらうために、動物たちが笑顔で並び、自分の順番を待っている(遠くから、きつねが走ってきているなぁ)。
二枚目

みんなが並んでいるのに、きつねは「わりこみ」をして、プレゼントをもらおうと手を差し出すが、「ずるいよ」「うしろにならべよ」と言われる(今度は、遠くから、おおかみが走ってきているなぁ)。
三枚目

しょんぼりした様子で、一番後ろに並ぶきつね。おおかみがやってくると、ねずみは「お先にどうぞ」というジェスチャーをして、前を譲ろうとする。
四枚目
でも、おおかみは「わりこみはいけないよ」と笑顔で言い、列の一番後ろに並ぶ(みんなはいけなかったなあと反省した様子)。
このお話を見る(読む)と、
- ずるをして、わりこみをし、みんなから責められ、しょんぼりするきつね
- 仲がいいからか? 怖いからか? みんなが前を譲ろうとするが断り、自ら後ろに並ぶおおかみ
この二者に注目しがちですが、この学習で主に考えたいのは、「ねずみ」です。きつねには注意したにも関わらず、おおかみには前を譲った「ねずみ」の行動を考えることで、「だれにでも」のよさに気づけるのではないでしょうか。
「きつね」は、一年生の子どもたちによく見られる姿ですよね。でも、今回は、きちんと一番後ろに並んだことを認めてほしいと思います。そして、今まで並んでいたみんな、後ろに並び直したきつねのことを考えた「おおかみ」の行動のよさも考えたいところです。