小3外国語活動:発音に自信がない先生へ教科書編集委員からアドバイス!
発音に自信がない…。デジタル教材の効果的な使い方って? こんな不安や疑問に、小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生が解答してくれました。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子
目次
Q1 発音に自信がありません。個人で練習するしかないでしょうか。
A.音声教材を有効活用しましょう。子どもたちと一緒に練習するくらいの気持ちでも大丈夫です。
担任として外国語活動をがんばりたい。でも、発音に自信がない。ネイティブスピーカーの先生のように、英語を読めた方がいいのだけど…。
この際、悩むことはやめましょう!
英語には日本語にはない音があります。練習することで上達しますが、ALTの力を借りたり、デジタル教材や音声教材を活用したりしながらカバーしていくのが一番です。
どのような活用方法があるのかを検討する方がずっと建設的です。
音楽の鑑賞の時間と同様のイメージです。鑑賞の活動をするとき、ご自分で演奏なさる先生もいらっしゃるとは思いますが、多くの先生はCDなどの音源を活用しているはず。英語も同じです。
先生ががんばって英語を発音する姿は、子どもの手本や励みになりますが、一方で、音声教材を使って授業を展開していくことによる効果も大いにあります。様々な英語に出合うことも重要だからです。
発音について少し補足します。
日本語話者が第二言語として英語を学ぶ際、発音のルールを知り、練習をすることで、大人になってからでもネイティブスピーカーに近い発話ができるようになるそうです。
様々な媒体の英語学習を駆使して、先生自身が英語を学ぶ楽しさと出合い、発音練習をがんばる。このような姿は、子どもたちにいい影響を与えます。
担任として、英語だけではなくいろいろな教科を教えていくわけですから、無理せず取り組んでいきましょう。
Q2 英語で1~20までの数を言える子が多く、勉強になっている気がしません。どうしたらよいですか。
(『Let’s try1』P.10・11)
A.動作や体験を通して数量感覚を磨きながら、英語での数の言い方を学んでいきましょう。
小1の算数のはじめの単元を思い出してください。「10までの数」を学習するときに、おはじき等を使って数量感覚を育てていると思います。
例えば、〇=1、○○=2…○○○○○○○○○○=10といったように、物の数を数えたり、数の分だけ〇に色を塗ったりして、量を捉えながら数を確認します。
ここでのアクティビティも同じように学習を進めてみましょう。
例えば、教科書のP.10~11の見開きを見て、
How many pencils(can you see)?
と聞いてみると、子どもたちは誌面に出ている鉛筆を数え始めます。
次に、子どもたちに自分の持ち物についても質問してみましょう。
How many pencils do you have?
鉛筆を何本持ってる? 班のみんな(4人組程度)で合わせると鉛筆は全部で何本ある? 等を聞きます。
それから、どこが多くてどこが少ないのか等、数の違いに意識が向くように展開していきます。数量感覚を捉えながら数の比較ができるようにするのです。
最終的には、量的な感覚とともに、seventeenとfifteenだったらseventeenの方が多い、と気付いていけるようにしたいものです。
実際に数える活動を繰り返しながら数を表す英語表現を捉えていくことで、量的な感覚を伴いながら英語の数の言い方を身に付けることにつながります。
単に1~20までを「暗記して言う」ということではなく、子どもとのやり取りの中で、1~20までの数について扱ってみてください。
Q3 1~10までの数の言い方をヒントに国名を答えるデジタル教材のアクティビティ。何か気を付けたほうがよいことはありますか。
(『Let’s try1』P.12)
A.音の違いを聞き取る楽しさを大事にしたいアクティビティです。どの子どもも良い環境で音声が聞けるように配慮してください。
日本語以外の言葉と出合うことをきっかけに、子どもが大興奮することがあります。
聞き慣れない外国語の音がきっかけとなって、外国語を聞くことが楽しくなっていく。それは、外国語を学ぶ上で、とても重要です。
子どもが「外国語を聞くことは楽しい」と感じるためには、「音と出合うときの環境」が大切です。音と出合うその瞬間を大切にしていると、耳を澄まして音を聴こうとする態度も育まれます。
例えば、音声教材を再生するときには、
耳をすましてね。Listen carefully.
と声をかけて、静かな空間をレイアウトします。集中できるようにします。
音を聞いた瞬間、知らない言語の音を聞き、びっくりしたり感激したりして子どもがどっと声を出しても、次の言葉を聞くときは、また静かになってから再生するようにします。
ただ、ずっと静かに聞いていていいわけではありません。外国語の聴解では、気付きの交流が重要だからです。
同じ音を聞いた友達に、
どんなふうに聞こえた? ○○って聞こえたよね、そうだよね。
と、友達をやり取りすることで聴解が深まっていきます。
「ずっと静かに一人で聞く」ということばかりに気を取られず、音を聞いた後の子どもの反応に、ぜひ注目してみてください。
【質問募集!】
外国語授業について、教科書だけではわからない疑問などを受け付けています。質問がある方は、『みんなの教育技術』お問い合わせフォームまでご連絡ください。
※全ての質問にお答えできるわけではありません。予めご了承ください。
長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。
(イラスト/本山浩子)
イラスト/横井智美