ページの本文です

小6国語「考える」とは 板書の技術

連載
見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
関連タグ
連載 見やすく理解しやすい 京女式 単元別 板書の技術  バナー

今回の教材「『考える』とは」の目標は、「筆者の考えを読み取り、テーマについて考えを述べ合おう」です。そのため、読む視点が捉えやすく、文章全体を見通せる、文章と文章の共通・相違が分かりやすいような板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立学校教諭・伊藤和代(野っ原詩の会)

 

単元名 筆者の考えを読み取り、テーマについて考えを述べ合おう
教材名 「『考える』とは」(光村図書出版)

単元の計画(全6時間)

第1次 学習課題を設定し、学習の見通しをもつ。(1時間)
これまでの経験を基に、「考えるとは何か」について、自分の考えを出し合う。
 「問いをもとう」を確かめ、単元全体の学習の見通しをもつ。
次 それぞれの筆者の主張を捉え、文章の特徴を明らかにして、考えたことをまとめる。(4時間)
「考えることとなやむこと」を読み、筆者の主張を捉え、文章の特徴を明らかにする。
 筆者の主張と自分の考えとを比較し、「考えるとは何か」について、新たにもった考えを書く。
「考えることを考え続ける」を読み、筆者の主張を捉え、文章の特徴を明らかにする。
 筆者の主張と自分の考えとを比較し、「考えるとは何か」について、新たにもった考えを書く。
「考える人の行動が世界を変える」を読み、筆者の主張を捉え、文章の特徴を明らかにする。
 2人の筆者(鴻上さんと石黒さん)の主張を基にした自分の考えと、中満さんの主張とを比較し、新たにもった考えを書く。
「考えるとは何か」について考えたことを友達と共有する。
第3次 「考えるとは何か」について自分の考えをまとめ、学習を振り返る。(1時間)
「考えるとは何か」について、最終的な自分の考えを2つ以上の文章から本文を引用してまとめる。
 抽象的なテーマについて考えをもち、まとめる上で大切なことは何かを話し合う。

板書の基本

子供たちは、説明文において筆者の主張やそれを支える事例を捉え、自分の知識や経験とを関連させながら読む経験を積み重ねてきました。本単元では、抽象的な「考えるとは何か」という同じテーマについて書かれている3つの文章を読んで、自分の考えをまとめ、その考えを伝え合います。今までの力を生かして、筆者がどのようにして自分の考えを伝えようとしているか、文章の特徴を読み取ります。

教科書の提示順通りに、毎時1つずつ、文章を読んで理解したことを、子供たちの発言を基に板書し、子供たちは自分の考えを付加しながらノートにまとめていきます。毎時1つずつ教材文を読み進めて、理解したことをノートにまとめていくことで、文章の特徴を読み取ることに慣れていくように意図しました。共通点と異なる点はどこにあるかを視覚的に分かりやすくするために、それぞれの文章の論の展開や挙げている事例、表現の仕方の特徴について、3つの教材文を同じように読み進めて、子供たちの発言を基に板書し、ノートに書いていきます。

そして、自分の経験や文章を読んで理解したことを付加して、それぞれの文章を比べながら読み進めることで、抽象的な「考えるとは何か」というテーマについて自分の考えを明確化できるようにします。3人の筆者名の横には、筆者の生い立ちや職業を調べて書きます。筆者がそれぞれの立場にふさわしい着眼点から考えがまとめられていることを意識させることを意図します。

〇読む視点が捉えやすく、文章全体を見通せる板書

文章構成が一覧できるように、板書の計画を立てます。筆者がどのようにして、自分の考えを伝えようとしているか、筆者の主張を探すときには、文章のどのあたりを読めばよいのか(初めの段落または終わりの段落)、段落を確認させるために、段落のまとまりと文章の役割を確認します。挙げている事例とその書かれ方、表現の仕方や何度も出てくる言葉に着目させるように板書します。

〇文章と文章の共通・相違が分かりやすい板書

第4時では、第2時と第3時の学習を生かして、子供が自分で文章構成を読み取り、挙げている事例や筆者の主張をノートに書けるようにします。毎時1つずつ教材文を提示し、自分の経験や文章を読んで理解したことを付加しながら読み進めていきます。第4時では、3人の筆者の文章を基に自分の考えを書くので、それぞれの文章の特徴が視覚的に分かりやすく、比べることができるように板書の順序と構成も同じようにします。子供たちがノート見開き1ページに書けるように板書します。

板書を活用した授業の進め方(2/6時間目前半)

この記事をシェアしよう!

フッターです。