学習を広げ深める「思考ツール」の効果的な活用法【学ぶ意欲と力を育てる 学習指導の極意⑥】

子供たちの学ぶ意欲と力を育てるためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて、学習指導の基礎基本を解説します。第6回は、思考ツールの活用について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章
「思考ツール」は、子供の思考を整理するために活用できる効果的な手法です。どの教科等でも活用できますが、基本的な思考ツールの学び方は、総合的な学習の時間で取り上げられることが多いものです。総合的な学習の時間において、指導計画の作成と内容の取扱いでは「その際、例えば比較する、分類する、関連付けるなどの考えるための技法が活用されるようにすること」とあります。文部科学省では、考えるための技法という表現で、思考ツールの活用を促しています。そこで、「思考ツール」を指導するにあたって、次の3つのキーワード「思考ツール活用の意義」「思考ツールの種類」「思考ツール活用上の留意点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 思考ツール活用の意義
思考ツールは、子供たちの多様な考えを引き出したり、整理したりするために活用できる効果的な手法です。その種類は多岐にわたることから、学習の意図を踏まえて活用することが重要です。まずは、何のために思考ツールを活用するかという意義を踏まえ、目的に応じて効果的な活用に努めましょう。
子供の思考を広げ、考えを整理する等の意義を踏まえます

思考ツールの活用は、子供たちの多様な思考を引き出し、広げることにつながります。また、取り上げた多様な考えを分類したり整理したりすることにも役立つ手法です。しかし、思考ツールを活用することが目的ではなく、学習の意図に応じて適切に活用することが肝要です。思考ツールを効果的に活用できるようにするために、それぞれの思考ツールの意義や特質を踏まえて指導していきましょう。
CHECK② 思考ツールの種類
思考ツールには、多様な種類があります。まずは、教師が個々の思考ツールの種類と活用方法を理解し、その特徴を踏まえて子供たちの学習に生かすように指導していきましょう。
多様な思考ツールの種別を理解して活用します
①比較する(ベン図)
②分類する(XYチャート)
➂関連付ける(ウェビング)
④理由付けする(クラゲチャート)
⑤構造化する(フィシュ・ボーン図)
⑥順序立てる(ダイヤモンドランキング)
⑦多面的に見る(くまでチャート)
⑧見通す(キャンディチャート)
⑨抽象化する(ピラミッドチャート)
⑩変化をとらえる(同心円チャート) など

それぞれの思考ツールの特質を踏まえ、どのような学習で思考を広げたり、整理したりすることに活用することが子供たちの学習を深めるかを再確認して指導していきましょう。
