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ダメなペア学習、よいペア学習とは?【先生のための学校】

連載
久保齋の「先生のための学校」

学力研 先生のための学校校長

久保齋

ペア学習やグループ学習を一斉授業の中に組み入れて活発な授業展開、多くの子が活躍する授業を創ろうという取り組みは昔から多く行われてきましたが、その教育技術が伝わっていないようです。ペア学習やグループ学習が始まると、授業のテンポが落ち、一体感のないがさつな授業になってしまっているのです。
今回は、教育技術ムック『予習展開による国語科授業づくり』を活用して、明るく輝くペア学習をどのように展開すればいいのかお教えしましょう。

執筆/「先生のための学校」校長・久保齋

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くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。

ペア学習と主体的で対話的な学び

授業者に「なぜペア学習を取り入れたのですか?」と質問してみると、主に次のような答えが返ってきます。

  • 全体に話すのが苦手な子もペアだと自信をもって話せるから。
  • 二人で聞き合うことで、お友達の意見をより深く理解できるから。
  • 全体へ話す練習の場として。

要するに、個人の全体発表への補助的機能と考えられていることが多いように思えます。しかし、私はこのような教師の、ペア学習への消極的な位置づけこそがペア学習をダメにしていると感じるのです。

「主体的、対話的で深い学び」とはどういうことでしょう。まず、教師の発問に対して、しっかりとした自分の考えをもつことです。次に、 それをお隣さんにしっかりと伝えます。お隣さんはそれを自分の考えと比べながら聞き、次に自分の考えをお隣さんに伝えます。実は多くの子供たちのペア学習はここで終わっているのです。私に言わせると、これではペア学習で子供が賢くなる機能の3分の1しか生かせていないことになるのです。

ペア学習の神髄とは何か?

ペア学習で子供が賢くなるわけは、ペア学習が終わった次の過程にあります。ペア学習の内容を全体に発表する行為の中にあるのです。もし、子供たちがペア学習での成果を発表し、クラス全体の授業に積極的に参加しようとすると、 次のような頭の働きが必要です。

  1. 自分の考えを確実に自分のものにしている。
  2. お隣さんの考えを確実に自分のものにしている。
  3. 二人の考えの違いや類似点を踏まえ、自分の考えをブラッシュアップして発言できる。
  4. 授業の流れに合わせて、(3)を臨機応変に発言し、授業を盛り上げることができる。

もちろん、ペア学習のあとの授業展開で、すべてのペアに学習内容を発表させることはできませんが、すべてのペアが全体学習への準備として、この4つのことができるように心がけてペア学習を指導するならば、ペア学習の意義は計り知れなく大きいのです。お分かりいただけたでしょうか。

『予習展開による国語科授業づくり』を活用して

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