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図工で、友だちの作品を真似して描くのは良いこと? 悪いこと?

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埼玉県公立小・中学校教諭

坂齊諒一(さかさい りょういち)
いちばん楽しいアートバナー

すべての芸術や文化は、過去の作品の換骨奪胎と言っても過言ではありません。優れた作品に習い、真似したり組み合わせたりすることで、新しい芸術は生まれることが多いのです。素敵だと思った表現をたくさん真似して自分の表現の一つとして吸収するべきで、真似をすることは勧めこそすれ、禁じるものではありません。ただ、小学校現場では少しトラブルになりそうな予感がありますね。今回はどのように真似をするべきかを考えていきたいと思います。

題字・イラスト・執筆/埼玉県公立小・中学校教諭 坂齊諒一

連載【いちばん楽しいアート】#21

真似は悪いことではない

どのような分野においても真似は悪いことではなく、全ては真似をしながら学習、伝承されていくものです。私も絵を描いている身として、「この人のように描けるようになりたい」と思っている方がいます。その人が描いている様子を見てどこか吸収できることはないか、真似して近づける部分はないかと日々練習をしています。
しかし、他の人の作品をそっくり模写したり、「トレパク」のように絵を上からなぞって仕上げたりしているのに、
「自分で作りました」
と称するのは話が別です。これは盗作であり、原作者へのリスペクトがありません。
真似をすることの意義とは、原作者が作品を描く過程を疑似体験することで、その視点や技法を学ぶ、ということです。
広辞苑にも以下のように載っています。

まね・ぶ【学ぶ】
他四 (「真似まねる」と同源)
①まねてならう。まねする。蜻蛉日記[上]「みどりごのたえず―・ぶも」
②見聞した物事をそのまま人に語り告げる。栄華物語[月宴]「御産屋の程の儀式有様など―・びやらん方なし」
③教えを受けて習う。修得する。源氏物語[少女]「文の才ざえを―・ぶにも」

『広辞苑第七版 抜粋』

全ての学習は真似ることです。これを念頭に、小学校現場の図工において「真似ること」を考えていきましょう。

2、真似に対する意識を変えてあげよう

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