小3国語科「給食だより」を読みくらべよう 板書例&全時間の指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小3国語科「給食だより」を読みくらべよう(東京書籍)の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した全時間の授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/熊本大学大学院教育学研究科准教授・北川雅浩
執筆/熊本県熊本市立月出小学校・田邉友弥
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、二つの「給食だより」を比べることを通して、段落相互の関係に着目しながら、考えとそれを支える理由や事例との関係などについて、叙述を基に捉える力を育てていきます。
さらに、子供たちが読み比べる中で、どちらの「給食だより」がよいか選択することを通して、自分の体験と結び付けて考えを形成することも大切になるでしょう。
2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴
本単元では、子供たちにとって身近な「給食だより」が資料として掲載されています。しかし、身近なものとは言いつつも、子供たちは生活の中でそうしたものに目を通し、理解したり、書き手の意図に思いを馳せたりする経験は多くはないでしょう。
また、単一の説明的文章を読むこととは異なる学習のため、子供たちに読み比べる必要感をもたせることも大切になるでしょう。
そこで、教科書では、「二つの文章を読みくらべよう」と「二つの文章の、どちらを『給食だより』にするか考えよう」という二つの大きな言語活動が設定されています。
単に、「二つの文章を読みくらべよう」と子供たちに投げかけたところで、子供たちにとって読み比べる必要感がないため、後者の「二つの文章のどちらを『給食だより』にするか考えよう」という言語活動を中心に据えながら単元計画を構想することが大切です。
そうすることで、子供たちの中に選択するために二つの「給食だより」を読み比べる必要感が生まれてくることが期待できます。
4. 指導のアイデア
まず、第一次では、身近にある「学級通信」や「〇〇だより」にどのようなことが、どのような思いで書かれているかを振り返り、自分たちの生活に身近な問題として捉えることができるようにします。
その上で、二つの「給食だより」を提示し、自分だったらどちらの「給食だより」にするか考える場を設定し、子供たちの「二つの文章の違いが分からない」「何を基準に選べばよいか分からない」「選ぶことができない」等の困りごとを生み出すようにします。
次に、第二次では、第一次で生まれた困りごとを解決するために、二つの「給食だより」の共通点や相違点を見つけていく活動を設定します。その中で、二つの給食だよりは「しっかりと野菜を食べてほしい」という願いや思い(目的)は共通しているものの、それを伝えるための理由や事例が異なっていることに気付き始めるでしょう。
そこで、「どのような理由や事例をあげているか」を具体的に比較していく中で、二つの文章の違いや書き手の意図に迫っていくことが期待できます。
具体的には、「たより①」では「野菜には、大切なえいようがあるから」と理由付けをして、「トマトやキュウリに含まれている栄養」と「夏のつかれを防ぐこと」を事例として挙げ、イラストを用いて野菜に含まれる栄養の大切さを伝えようとしています。
一方で、「たより②」では「育てている人たちのあいじょうがこめられた野菜をのこすのは、もったいないことだから」と理由付けをして、「野菜を育てている人のこと」と「食品ロスの問題があること」を事例として挙げ、トマト農家の方の写真を用いて農作物の背景にある生産者の気持ちを伝えようとしています。
こうした違いを見つけながら、書き手の意図に迫っていくことが大切になるでしょう。
また、毎時間、どちらの「給食だより」にするか、判断を問うていく中で、自分の体験と結び付けながら自分の考えをもつことにつなげるとともに、自分の考えの深まりも実感させていくことが大切になります。
最後に、第三次では、これまでの学習内容を想起しながら、最終的にどちらの「給食だより」にするか選択させ、その理由をまとめて交流する活動を設定します。
そして、本単元を通してどのようなことを学習し、今後の学習や生活にどのように生かせそうかを振り返ることで、身に付けた力を自覚させるようにします。
5. 単元の展開(8時間扱い)
単元名: 自分が大森先生だったらどちらの「給食だより」を選ぶか考えよう
【主な学習活動】
・第一次(1時、2時)
①「学級通信」や「〇〇だより」にはどのようなことが、どんな思いで書かれているかを考える。
② 自分が給食の先生だったら二つの「給食だより」のうち、どちらの「給食だより」を選ぶか考えることを通して、今後の学習の見通しをもつ。
・第二次(3時、4時、5時、6時)
③ 大森先生の目的や取り上げた内容を確認し、二つの文章のどこにどのようなことが書かれているか確認する。
④ 書き手の思いや表現の工夫を捉え、自分の考えをもつ。
⑤ どちらの理由に共感できるか、自分の体験と結び付けながら自分の考えをもつ。
⑥ どちらの事例に共感できるか、自分の体験と結び付けながら自分の考えをもつ。
・第三次(7時、8時)
⑦ これまでの学習を想起して、自分だったらどちらの「給食だより」を選ぶかまとめて、友達と交流する。
⑧ これまでの学習を振り返り、どのような力を身に付けてきたかを自覚する。
全時間の板書例と指導アイデア
●「学級通信」や「〇〇だより」には書く人の思いが込められていることを理解する
イラスト/横井智美
令和6年度の国語科新教材を使った授業アイデア、続々公開中です!
