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小2生活「春だ 今日から 2年生」指導アイデア

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
文部科学省監修 小2生活「春だ 今日から 2年生」指導アイデア バナー

文部科学省教科調査官の監修による、小2生活科の授業案です。1人1台端末を活用した活動案も紹介します。今回は「春だ 今日から 2年生」指導アイデアの単元を扱います。

執筆/ 神奈川県公立小学校指導教諭・鈴木真樹
監修/文部科学省教科調査官・齋藤博伸
 神奈川県公立小学校校長・二宮昭夫

年間指導計画

年間指導計画(クリックすると表示します)
4月春だ 今日から 2年生
5月ぐんぐんそだて わたしの野さい
6月どきどき わくわく まちたんけん
7月生きもの なかよし 大作せん
8月うごく うごく わたしの おもちゃ①
9月うごく うごく わたしの おもちゃ②
10月みんなでつかう まちのしせつ
11月もっとなかよし まちたんけん
12月つながる 広がる わたしの 生活
1月あしたへジャンプ①
2月あしたへジャンプ②
3月あしたへジャンプ③

単元目標

春の自然と触れ合う活動を通して、比べたり分類したりといった分析的な考えをしながら身近な春の自然の特徴を見付け、自然の様子や四季の変化、季節に合わせて自分たちの生活が変わることに気付くとともに、季節を感じながら自分の生活を楽しくしようとすることができるようにする。

ICT活用のポイント

■生き物をI C T端末で撮影し、記録したり分類したりすることで、春の自然の特徴を見付けながら、自然の様子や四季の変化に気付くことができる。

■「Google レンズ」など、写真からインターネット検索ができるツールを活用して、自分が見付けた生き物について調べることで、生き物への興味・関心を高める。

■春の自然の特徴やよさを感じられるような写真を撮影することで、春を思い出したりたとえたりして楽しむ。

学習の流れ(全7時間)

春の到来、タンポポの花

(タンポポの写真を掲示しながら)見て見て、きれいなタンポポが咲いていたよ。

ほんとだ、きれい!

私も昨日見つけたよ。

最近、きれいな花が多いよね。なんでだろう?

先生、春だからだよ!

春には虫もたくさん出てくるよ。

え、本当に?

本当だよ! 確かめに行こうよ、先生。

【小単元1】春の学校図鑑を作ろう[1時~4時]

①校庭を探検しよう[1時]

春を見付けたいという思いや目的意識をもって校庭探検を行います。1度目は、何も持たずに探検し、春の自然や春の生活など、様々な春を探します。

【教師の支援・援助】
単元の学習が始まる前に、朝の会や休み時間などの会話の中で春に目を向けるきっかけをつくり、「春を見付けに行きたい」という思いを高めます。

また、新入生のための掲示物や新しく着任した教職員の写真といった「春の生活」に関する写真、春の暖かさを感じられる写真など、子供たちだけでは見付けられない人・もの・ことは、教師が撮影をしておき、次時で紹介をすることで、子供の様々なことへの好奇心や探究心を高めます。

②校庭探検を振り返ろう[2時]

校庭探検で見付けた春について、ペアで伝え合ったり、全体に発表したりしながら、自分の発見を表現していきます。「花のにおいをかいだら、とってもいいにおいだった」「テントウムシを手にのせた。すごくかわいい」など、諸感覚で感じたことや思ったことなどを伝え合います。

子供は発見した春の自然と教科書やデジタル図鑑の写真やイラストと比べながら、「春」をもっと発見したいという意欲を高めます。

ICT端末のホワイトボードに整理された春の様子を見ることで、「まだ見付けていない春を見付けたい」「私も自分の『春の学校図鑑』を作りたい」という思いを高めます。

【教師の支援・援助】
子供が発見し、発表した虫や植物について、教師がICT端末のホワイトボード機能で整理していきます。見付けた人・もの・ことだけではなく、見付けたときに感じたことや不思議に思ったことなどについても対話しながら、様々な春の様子を伝えたいという思いを高めます。

「春の生活」に関する事例などの写真や出来事を紹介することで、まだ見付けられていない「春」についても発見したいという思いを高めます。

学級全体で作成している「わたしたちの春ずかん」では、日常の生活場面で見付けた春も写真や付箋機能で作る過程を子供と共有します。このことで、図鑑を完成させたい、自分たちでも図鑑を作ってみたいなどという思いを引き出し、2回目の校庭探検につなげていきます。

学級全体で作成する「わたしたちの春ずかん」。
学級全体で作成する「わたしたちの春ずかん」。

③図鑑を作るために校庭探検をしよう[3時]

2回目の校庭探検では、前回見付けられなかったものを見付けたいという思いや願いを基に、ICT端末で写真を撮ったり、「Google レンズ」などで画像検索して名前や特徴を調べたりします。校庭探検後は、たくさん撮った写真の中から、図鑑に使いたい写真を選びホワイトボード上にアップロードします。

クローバーを見付け、ICT端末で写真撮影する子供。
クローバーを見付け、ICT端末で写真撮影する子供。
名前の知らない花をGoogle レンズで撮影し、ビオラという名前やその花の情報を得た。
名前の知らない花をGoogle レンズで撮影し、ビオラという名前やその花の情報を得ることができた。

【教師の支援・援助】
校庭探検においても、子供と積極的にコミュニケーションをとりながら、春を発見した気持ちに共感したり、一緒に探したりしながら問いかけたり応答したりします。

【ICT活用のための支援や環境構成】
校庭探検の前に「Google レンズ」の使い方や、撮った写真のアップロードの手順を確認したり、校庭探検しながら、子供一人一人のICT端末の操作技能に応じて支援します。こうすることで、次時の図鑑作りをスムーズに行うことができます。

④春の学校図鑑を作ろう[4時]

自分が見付けた「春」の中でも、春のよさをよく感じたことや特に伝えたい部分については、音声入力や手書き入力などを活用して春の学校図鑑を作ります。その後、グループや全体で伝え合います。

一人一人の子供が作成する「わたしの春ずかん」。
一人一人の子供が作成する「わたしの春ずかん」。
一人一人が作成した「わたしの春ずかん」をグループや学級全体で伝え合い共有する。右の女児が「ビオラは花壇の女王って言うんだって」と説明。
一人一人が作成した「わたしの春ずかん」をグループや学級全体で伝え合い共有する。右の子供が「ビオラは花壇の女王って言うんだって」と説明。

作成途中でペア交流などにより、見付けたときに感じたことや特に伝えたいことを伝え合うことで、写真をきっかけにして、場所や様子などを質問したり答えたりします。このようにして自分の思いや願いが表現された図鑑になるようにしていきます。

また、子供が発表をする際に、春を見付けたときに感じたことや発見したことなどに共感しながら、「色とりどりできれい」「ぽかぽかのあたたかさ」など、春のよさを表現したり、冬との違いを問い返したりすることで、春の特徴を見付けられるようにします。そして、春をもっと見付けたいという思いを引き出し、地域探検につなげます。

小2生活「春だ 今日から 2年生」板書例

【ICT活用のための支援や環境構成】

ホワイトボードは、第2時で整理されたカテゴリや文字を打ち込む枠を作成して子供たちに配付する。

子供たちに配付するホワイトボードには、第2時で整理されたカテゴリや文字を打ち込む枠を作成して子供たちに配付することで、子供たちが文字で入力したり、入力の枠を作成したりする負担を減らすことができます。自分で新しい特徴を見付けたり、表現方法を工夫したりすることも認めることで、自分の思いや願いが表現できるようにしていきます。

また、子供が春の図鑑に使う春の動植物や春の生活などの写真を、クラウド上の共有フォルダから選べるように、写真の種類ごとの共有フォルダを作成しておきましょう。その時、子供と一緒に春の種類ごとの共有フォルダの名前を考えて、名付けることで、子供自身が使いたい写真を探しやすくなります。

評価規準

知識・技能:校庭探検を通して、春の特徴や他の季節との違いに気付いている。

思考・判断・表現:身近な春の自然の特徴を見付けたり、他の季節の様子と比べたりしながら、校庭探検をしている。

主体的に学習に取り組む態度:季節によって生活の様子が変わることを実感している。

【小単元2】地域の春を見付けて楽しもう[5時~7時]

①地域探検をして春を楽しもう[5時~6時]

さまざまな色の春の花を見付けた子供。
様々な色の春の花を見付けた子供。

学校では見付けられなかった「春」を見付けたり、様々な春のよさを感じたりしたいという思いや願いをもって、地域探検します。校庭探検と同じように、ICT端末で、花や虫の写真を撮影します。

また、花の香りをかいでいる写真や虫を手の上に載せて観察している写真、クローバーで花飾りを作っている写真など、春のよさを感じたり、楽しんだりしている姿を撮影します。

「すごくいいにおい。春の香りだ」とつぶやく子供。
「すごくいいにおい。春の香りだ」とつぶやく子供。
春の日差しを浴びて、「あったかーい」と寝そべる子供。
春の日差しを浴びて、「あったかーい」と寝そべる子供。

地域のお店の春の商品を見付けるなど、地域ならではの「春」を見付けたり、春の自然を持ち帰って教室に飾るなど、自分たちの生活に「春」を取り入れたりと、春の楽しみ方を広げていきます。

【教師の支援・援助】
春の特徴のカテゴリを意識して写真を撮ることができるように、お手本や着眼点を示していきます。お店の人や物を撮影する際には、しっかりと許可を取ること、撮った写真は春の図鑑以外には使わないことなどを子供たちと確認しておきましょう。また、写真に夢中になり、人に迷惑をかけたり、事故にあったりしないように、事前指導を丁寧に行っておくことも大切です。

地域のお店などからも「春」の様子を感じられるように促すことで、今後の「町探検」の学習などにもつなげていくことができます。

町探検で、青果店の店主や店員と交流する子供たち。

②お気に入りの春を紹介しよう[7時]

自分たちの撮影した写真を提示したり、春の自然で作った物を見せたりしながら、その時に感じたことや考えたことなどを表現します。

班の中でそれぞれが見つけた春について紹介し合う子供たち。

【教師の支援・援助】
グループなどの少人数で発表し合うことで、子供一人一人が感じたり考えたりしたことを伝え合う場面を工夫します。その後の全体交流では、教師は子供の発言を板書することで、春のよさや特徴が実感を伴った気付きとなるようにしていきます。

評価規準

主体的に学習に取り組む態度:自分たちが見付けた春の自然の特徴を確かめたり、繰り返し自然と触れ合ったりすることで、春の季節のよさを感じ、自分の生活を楽しくしようとする。

イラスト/高橋正輝

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