小4国語「友情のかべ新聞」京女式板書の技術
今回の教材は、「友情のかべ新聞」です。本単元では、「つながりを見つけながら読み、おもしろいと思ったことを話し合おう」が目標になります。そのため、本時では、感想の伝え合いを通して、読みの視点を見付ける学習をします。子供たちに感想の視点が見付けられるような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子
単元名:つながりを見つけながら読み、おもしろいと思ったことを話し合おう
教材名:「友情のかべ新聞」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全8時間)
- 題名やリード文から物語を想像し、学習の見通しをもち、感想を書く。
- 感想の伝え合いを通して、読みの視点を見付ける。
- 読みの視点をもとに、人物の気持ちや関係の変化などを読み取る。
- (※3と同様)
- (※3と同様)
- おもしろいと思ったところについて、理由とともにまとめる。
- 書いた文章をもとに、おもしろいと思ったところを交流する。
- 学習を振り返る。
板書の基本
〇物語のおもしろさを見付けることは読むことの学習活動において大切なことです。そのためには、感想をもつということが前提になります。
〇教材「友情のかべ新聞」は、次のような、感想につながるところをいろいろと布置しています。
1つ目:東君と西君という2人の関係を前面に押し出しながら、「かべ新聞」という出来事を中心に置いていること。
2つ目:先生の助言や私事で物語のおもしろさを、より盛り上げていること。
3つ目:ぼくを解説する文章がドラマを見ているような距離感をもたせていること。
1つ目、2つ目は物語のおもしろさにつながり、3つ目は視点の転換のおもしろさにつながります。
この3つのことをもとに、感想につなげる板書にしたいと考えています。
板書のコツ(2/8時間目前半)
板書のコツ①
〇日付、題名を板書します。続いて、めあて「感想を伝え合い、課題を見つける。」を板書し、本時の学習範囲と学習内容を予告します。
〇登場人物を確認します。確認する過程で、「ぼく」「先生」「クラスのみんな」「東君」「西君」のカードを黒板の配置のように貼ります。
板書のコツ②
〇東君と西君の関係である「仲が悪い」「正反対」「たいこう心」を板書し、出来事の大体を確認します。
〇東君、西君を取り巻く他の登場人物について、教科書の文章から叙述を確認し、板書します。
ぼく…あまり気にしていない
先生…ため息、かなしい
クラスのみんな…あきれる、おうえん
板書のコツ③
〇感想を伝え合う中で、子供の感想を雲形で囲って板書しています。「ぼく」についての感想では、「ぼくの気持ちがわかり、自分もほっておく」という子供の感想を受けて、「わかる ほっておく」を板書し、雲形で囲みました。
板書のコツ(2/8時間目中盤)
板書のコツ①
〇感想の伝え合いが進むなかで、「かべ新聞」という発言がありました。キーワードとなる言葉として板書し、太線を赤チョークで引きました。「かべ新聞」という言葉から「先生が考えた作戦」という言葉とつなげた子供の発言を受けて、「かべ新聞」と「考えた作戦」を二重線で結びました。
板書のコツ②
〇東君と西君の関係が今までと違うことに着目した子供の感想を受け、「月・火・水・木→いつもいっしょ」とまとめて板書しました。この場面を感想に挙げていた子供が多かったため、「二人の様子 おもしろい おかしい」など子供の発言を取り上げ、板書しました。
〇子供たちの発言は叙述に従って、かなり詳しい発言になりますが、叙述をもとに自分の言葉で感想としてまとめることを目的に、感想の手がかりとなる言葉を板書しています。具体的には「気になる」「いつもいっしょ」「とくい顔」などです。
〇「そしてわかってしまった」「ぼくのすいり」という象徴的な言葉を板書し、物語のしかけは「ぼく」の推理にあることに気付かせました。また、物語の後半部の感想につながる言葉として「新しい心配」「相手を知れた」を板書しました。
板書のコツ(2/8時間目後半)
板書のコツ①
〇「その後ーー。いっしょにいるうちに、相手がどんなやつか分かってきた。」の文章から2人の関係の変化について子供たちの話し合いが広がっていきました。この広がりを読みの視点として、「人間関係」「つながり」というように価値付けました。
板書のコツ②
〇最初の文章である「東君と西君は、とても仲が悪い。好きになるのも正反対で、いつもたいこう心をもやしている。」を読み返し、その2人が仲良しになった過程を整理させました。
〇最後の文章「今度、二人がかべ新聞を作ったら、いったいどんなものになるのだろうって。」を読み、「今度 かべ新聞→⁉︎」を板書し、黄色の雲形で囲みました。
〇授業のまとめとして、めあてである「課題」を見付ける視点を考えさせました。ここでいう課題は、感想の視点です。
構成/浅原孝子