小2国語科「紙コップ花火の作り方」「おもちゃの作り方をせつめいしよう」全時間の板書例&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小2国語科「紙コップ花火の作り方」「おもちゃの作り方をせつめいしよう」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、ワークシート例、1人1台端末の活用例等を示した授業実践例を紹介します。

 小二 国語科 教材名:紙コップ花火の作り方/おもちゃの作り方をせつめいしよう(光村図書・こくご二下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/埼玉県上尾市教育委員会学校教育部指導課指導主事・𠮷野竜一
執筆/埼玉大学教育学部附属小学校・小川祐太郎

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元は、説明文を読み、その説明の工夫をいかして書くという、「読むこと」と「書くこと」の複合単元です。

「紙コップ花火の作り方」では、おもちゃを作る手順を分かりやすく説明するための工夫を考え、文章の中から順序などに関わる重要な語や文を選び出す力を育てます。

また、「おもちゃの作り方をせつめいしよう」では、自分が選んだおもちゃの作り方の説明書を書く活動を通して、事柄の順序を表す言葉を適切に使ったり、文章の組み立てや内容のまとまりを考えて書いたりする力を育てていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、説明文を読んで見つけた説明の工夫をいかして、おもちゃの作り方の説明書を書くという言語活動を位置付けます。
おもちゃ作りは、小学校入学前や生活科の学習などでも経験があり、児童にとって身近で楽しい活動であると考えます。一方、書く活動は、児童によって様々な課題があることが想定されます。
そこで、課題がある児童に対しては文量を調整したり、書ける児童に対しては書き方をゆだねたりしていきます。児童一人一人の実態に応じて、柔軟に言語活動を設定することが大切です。

本単元は、「読むこと」と「書くこと」の複合単元です。領域を組み合わせることで、互いの学習の目的を明確にしたり、学んだことをいかして学習したりできるというよさがあります。
おもちゃの作り方の説明書を書くという目的を意識することで、説明文を読むときに着目する語や文、説明の工夫などが明確になります。また、説明文を読んでから書くことで、使うべき言葉や文章の組み立て方が分かり、見通しをもって書く活動に取り組むことができます。
領域を効果的に組み合わせ、児童が目的意識をもって読んだり書いたりできるようにするには、単元を通して学習の見通しをもてるようにすることが大切です。
生活科や図画工作科、特別活動などと教科横断的に学習を進め、実際に説明書を読んでおもちゃを作ったり遊んだりする場を設定することで、言語活動の必然性が高まり、児童が見通しをもって活動することができるでしょう。
ここでは、本単元と関連した活動の例として、自分が選んだおもちゃを作る活動と、1年生と2年生でいろいろなおもちゃを作って遊ぶ「おもちゃ会」を、学級活動の時間で行うこととします。
学校の体育館に全員の説明書を掲示し、1年生と2年生でペアを組んで、いろいろなおもちゃを一緒に作ったり遊んだりして交流します。そのため、説明書は1年生に向けて書くことにします。(実際は、学級活動の時間だけでなく、生活科や図画工作科、休み時間など、それぞれの学校の実態に応じた活動を設定してみてください。)

単元の前半では、説明文を読み、説明書を書くための説明の工夫を見つけます。
「紙コップ花火の作り方」は、「前書き」「材料と道具」「作り方」「楽しみ方」という内容のまとまりで書かれ、「作り方」では5段落で手順が示されています。分かりやすく説明するために、文章の組み立てと「作り方」の手順の両方で、順序が意識されているのです。どのような内容のまとまりの順序で作り方が説明されているのかを考えたり、順序を表す言葉の働きに着目して読んだりすることで、説明の工夫を見つけていきましょう。
単元の後半では、前半で学んだ説明の工夫をいかし、説明書を書きます。ここでは、二つの順序を意識することが大切になります。
一つ目は、「前書き」「材料と道具」「作り方」「楽しみ方」という内容のまとまりの順序です。おもちゃの作り方を相手に伝えるために、どんな内容のまとまりを、どのような順序で書けば分かりやすいかを考えるようにしましょう。
二つ目は、「作り方」の手順です。「まず」「つぎに」「それから」「さいごに」といった言葉を使い、順序立てて分かりやすく説明できるようにしましょう。

4. 指導のアイデア

(1書く「内容」「目的」「相手」「よさ」を明確にする

児童が書く活動に主体的に取り組むようにするには、書く「内容」「目的」「相手」「よさ」を明確にすることが大切です。どんな「内容」の文章を書くのかが分からないと、児童は書きたい気持ちになりません。まずは、教師自身が説明書を書き、それを単元の導入に示すとよいでしょう。

説明書を書く「目的」は、学級活動の時間に「おもちゃ会」を開き、1年生と2年生でいろいろなおもちゃを作って遊ぶためです。「相手」は、1年生です。そして、分かりやすい説明書を書くことによって、読んだ子が楽しく正確におもちゃを作ることができるという「よさ」があります。これらを明確にすることで、児童は書く活動に必要性を感じるとともに、学習の見通しをもち、主体的に学ぶようになると考えます。

(2実際におもちゃを作り、説明の工夫を考える

説明文を読んで説明の工夫を見つけ、それを自分の説明書でいかすには、工夫のよさを実感する必要があると考えます。そこで、おもちゃを作りながら説明の工夫を見つける活動を行います。実際におもちゃを作ることで、順序などを意識した文章のよさに気付くことができるでしょう。

まずは、説明文を読みながらおもちゃを作り、文章の分かりやすかったところ、気を付けて読んだところなどにサイドラインを引きます。次に、サイドラインを基にして、説明の工夫を考えたり話し合ったりします。そして、自分が説明書で使ってみたい工夫について、考えをまとめます。

サイドラインを基にするよさは、文章で使われている言葉を根拠に考えたり話し合ったりできるところです。言葉の働きや使い方に着目するとともに、説明の工夫のよさを実感しながら考えをまとめることは、国語の深い学びにつながります。

3カードに書き、それらをつなげて説明書にする

説明書は、「前書き」「材料と道具」「作り方」「楽しみ方」のまとまりごとにカードに書き、それらをつなげて完成させます。

「作り方」は、おもちゃ作りの手順ごと(段落ごと)にカードに書きます。全部で6~8枚ぐらいのカードができるでしょう。それらを図や写真などと組み合わせて台紙に貼ります。

カード

カードに書き、それらをつなげて説明書にするよさは三つあります。
一つ目は、まとまりと順序を意識して書くことができるところです。
二つ目は、文章の加筆・修正がカードごとにできるところです。
三つ目は、図や写真の配置、文量などを調節しやすいところです。
作るおもちゃや児童の実態に応じて、柔軟に対応しましょう。

(4)「書く→読み合う」を繰り返す

説明書に限らず、文章は相手に伝わるように書くことが大切です。自分が書いた文章が分かりやすいかを確かめるには、誰かに読んでもらうのが一番です。

本単元では、より分かりやすい説明書を目指すために、「書く→読み合う」を繰り返します。
しかし、選んでいるおもちゃが一人一人違うので、説明書を書くスピードや内容には差が生まれます。集中して書きたい児童もいれば、誰かに読んでもらいたい児童もいるでしょう。

そこで、説明書を書く活動のときには、教室の中に読み合いスペースを設けます。文章を読んでもらいたいときや悩みがあるときには、いつでもそのスペースに行けるようにします。児童が必要性を感じたタイミングで読み合うことで、対話的な学びが実現していきます。

その他に、クラス全体で読み合う時間も設定します。読み合いの際は、分かりやすい説明書にするためのポイント、読み合う視点をクラスで共有しておきましょう。

5. 単元の展開(12時間扱い)

 単元名: せつめいのしかたに気をつけて読み、それをいかして書こう

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
① 学級活動の「おもちゃ会」に向けて説明書を書くことを確認し、単元全体の学習に見通しをもつ。
・教師が書いた説明書を読むなどして、書く「内容」「目的」「相手」「よさ」を知る。
② 読む学習の流れを確かめるとともに、「紙コップ花火の作り方」を読み、内容の大体を捉える。

・第二次(3時4時5時6時
③④「紙コップ花火の作り方」を読み、実際におもちゃを作る。
・文章の分かりやすかったところ、気を付けて読んだところなどにサイドラインを引きながら、おもちゃを作る。 
⑤⑥「紙コップ花火の作り方」の説明の工夫について考え、話し合う。

・第三次(7時8時9時10時11時
⑦ 書く学習の流れを確かめるとともに、説明書を書くおもちゃを決め、必要な材料や道具を調べる。
☆学級活動:選んだおもちゃを作り、その過程を端末で撮影する。
⑧ 説明書の組み立てを考える。 
⑨⑩ 動画を見ながら、おもちゃの作り方の説明書を書く。〈 端末活用(1)〉
・カードに書き、それらをつなげて説明書にする。 
・自分のタイミングで書いたり読み合ったりする。 
⑪ クラスで説明書を読み合い、文章をさらに分かりやすくする。
☆学級活動:「おもちゃ会」を開く。説明書を読み、1年生と2年生でいろいろなおもちゃを作って遊ぶ。

・第四次(12時
⑫「おもちゃ会」で読んだ説明書のよさを伝え合うとともに、単元全体の学習を振り返る。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
「主体的な学び」のために

1時間目は、書く「内容」「目的」「相手」「よさ」を明確にしながら、単元全体の学習に見通しをもてるようにします。

まずは、学級活動の時間に「おもちゃ会」を行うことを確認し、作ってみたいおもちゃについて話し合うことで、学習意欲を高めましょう。

その後、1年生と2年生でいろいろなおもちゃを作って遊ぶには何が必要かを考えることで、説明書の必要性を感じられるようにします。児童の生活経験と関連付けてもよいでしょう。

体育館で、1年生と2年生でいろいろなおもちゃを作って遊ぶには、何が必要かな。

材料がたくさん必要だね。

どうやっておもちゃを作るのかが分からないと、1年生が作れないよ。

みんなは初めて何かを作るとき、どうしているの。

お家の人に教えてもらいながら作るよ。

作り方が書いてある説明書を読みながら作るよ。

みんなでおもちゃを作って遊ぶには、説明書が必要だね。どんなことを書けばいいかな。

この前、お家の人と本棚を作ったとき、説明書を読んだよ。そのとき、材料とか作る順番が書いてあって分かりやすかったよ。

なんで順番が書いてあるのかな。

誰でも作れるように。作れないと困っちゃうよ。

ちゃんと作れるように。変な順番で作っちゃって、上手にできないことがあったよ。

そうだね。1年生と2年生でおもちゃをちゃんと作って、楽しく遊べるように、分かりやすい説明書の書き方を国語で学んでいこう。じつは先生も、説明書を書いてみました。


【2時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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