どの子も必ず跳べる!学校での「なわとび」指導ポイント!
寒さで教室に閉じこもりがちな冬こそ、積極的に外に出て体を動かし、体力アップを図りたいもの。二重跳びが跳べるようになるための指導のポイントや、クラスみんなでなわとびを楽しむことができるアイディアを紹介します。
指導/埼玉県なわとび協会・戸田 克、成田 雅弥
目次
まずは基本姿勢とウォーミングアップから!
なわとびの基本姿勢をチェック
練習に入る前に、なわとびがしやすいように一人ひとりに合った長さに調整します。
なわとびを使ったウォーミングアップ
ジャンプを取り入れたウォーミングアップです。なわを縦に置いて、リズムよく左右にジャンプします。
なるべく同じ位置に着地するように声かけします。
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連続で二重跳びを跳べるようになろう
ステップ1 連続ジャンプの練習
①ジャンプの感覚をつかむ
なわを持たない状態で、二重跳びジャンプを連続で行う練習です。前回し跳びのジャンプを3回行ったら、4、5回目は二重跳びをイメージして高くジャンプします。ジャンプに合わせて、「トン・トン・トン・トーントーン」というリズムを意識できるようにします。「トーン」のタイミングで子供の手を引き、高く跳ぶ感覚を伝えます。
足首と足の甲を伸ばすと、足のバネを使って、より高くジャンプすることができます。
②ジャンプとなわ回しのタイミングをつかむ
1回のジャンプ中に、2回なわを回す感覚をつかみます。ジャンプ中、「トーン」のタイミングで2回手をたたいたり、腰を手でたたいたりします。
ステップ2 なわを回す練習
二重跳びのなわの回し方を練習します。上向きに持ったグリップを、下向きに素早く振ります。ポイントは、腕ではなく手首を使って回すこと。一定のリズムで回し続けられるように練習します。
なわを回すタイミングに合わせて「シュシュン・シュシュン」と声かけをして、素早く回すイメージができるようにします。
ステップ3 二重跳びを連続で跳ぶ練習
練習したジャンプのリズムと手首の動きを合わせて、連続二重跳びに挑戦します。①~④のステップで、二重跳びの連続跳びを練習します。
- 二重跳びを1回跳び、深くしゃがむ
- 二重跳びを1回跳び、浅くしゃがむ
- 二重跳びを1回跳んで深くしゃがんだ後、続けて前回し跳びをする
- 二重跳びを1回跳んで浅くしゃがんだ後、続けて前回し跳びをする
※これらの手順は、途中で飛び越えても可です。
1
二重跳びの第一段階である1では、ひざを曲げることで、空中にいる時間を長くしています。なるべくひざを曲げずに二重跳びを1回跳べるように、繰り返し練習します。
2
2までできるようになったら、二重跳びの後も跳び続ける動きを身に付けます。なかなか次のステップに進めない場合は、床にクッション性のある体育館で練習したり、なわとび板を使ったりして練習します。
なわに対してジャンプするタイミングが合ってくると、しゃがまなくても跳べるようになります。
3
4
3、4までできるようになったら、連続二重跳びにチャレンジします。
3、4の練習で、二重跳びをした後に止まらずになわを回し続けるための意識付けをします。
連続二重跳びの完成形
「脇を締めよう」「棒になってみよう」と声かけをすると、姿勢がきれいになります。姿勢をよくすることで、回す回数を増やすこともできます。
無理をしないように、少しずつ練習します。
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「なかよしなわとび」に挑戦しよう
仲間と一緒になわとびを跳ぶと、さらに跳び方のバリエーションが増えます。一人用のなわとびを使って複数人で一緒に跳ぶ「なかよしなわとび」を紹介します。
「なかよしなわとび」のねらい
なかよしなわとびのねらいは、子供同士で話し合い、協力して達成感を得ることです。跳び方に正解があるわけではなく、ゼロから子供たちがつくります。仲間とともに跳び方を考えたり、イメージした跳び方ができるように工夫したりすることに楽しさがあるのです。
教師からは、人数となわの本数を提示し、「どんな跳び方ができるかな?」ということだけ投げかけます。子供同士の対話、自分の体との対話を促し、子供が主体的に取り組むことを目的にしています。
技術よりも「なかよし」を重視!
二人でなわとびをすることは、一人のときと比べて、非常に難度が高くなります。1人の技術が高いだけでは、なかよしなわとびはうまくいきません。どう工夫すればできるようになるか、話し合って協力しながら取り組むように伝えます。
第1時 二人で1本のなわで跳んでみよう
手順① 例の提示
なかよしなわとびの簡単な例を子供たちに見せます。子供の自由な発想を引き出すために、例は少なめに提示することがポイントです。
手順② 課題の投げかけ
「どんな跳び方ができるかな?」と子供たちに投げかけます。なかよしなわとびの指導のポイントは、アドバイスをしすぎないことです。なるべく自分たちで考えるように促します。なかよくできていたり、ユニークな跳び方を考えたりしている子供は、積極的に褒めます。
手順③ 考えた跳び方を発表
ペアで考えた跳び方を発表します。子供たちは他のペアの工夫を見て、新しいアイディアにつなげたり、意欲の向上を図ったりします。
・アイコンタクトをとり合っている
・声をかけ合っている
・シャツを持って、距離感をつかんでいる など
第2時 二人で2本のなわで跳んでみよう
第1時のふり返りをした後、2本以上のなわとびを使ったなかよしなわとびの跳び方を考えます。授業の流れは、第1時と同様です。
なわの「1本」と「2本」で授業を分けることで、子供自身が、休み時間などに新たなアイディアを考える機会が増えます。
・アイコンタクトをとっている
・お互いの位置を確認して距離をとっている など
なかよしポイントを見付けたら……
「なかよしだね!」「かけ声のおかげでタイミングが合ってきてるね」など、積極的に褒めると、子供の意欲が高まります。
とってもなかよしだね!
・お互いの位置を確認して距離をとっている
・お互いに、相手のロープの回旋のタイミングに合わせて跳んでいる など
・お互いの位置を確認して距離をとっている
・二重跳び前の前回し跳びの回数を決めて、声をかけ合っている など
「なかよしなわとび」のコツ
よかった点を具体的に伝える
うまく跳ぶためによい工夫をしている子供や、仲よく取り組めている子供に対しては、どこがよかったのかを具体的に伝えます。子供たちは、よりその点を意識しながら取り組むようになります。
跳び方に名前を付ける
自分たちで見付けた跳び方に、「名前を付けてみよう」と伝えます。自分だけの技を考えたという達成感につながり、さらなるやる気につながります。
他のチームとの協力を認める
子供たちから他のチームと合同で行いたいという申し出があった場合は、大いに認めて、やる気を後押しします。大人数での跳び方を紹介するのもおすすめです。
「なわとびカード」で上達をめざそう
「なわとびカード」は、クリアしやすいめあてを細かく設定します。レベルを上げすぎたり、1枚のカードに技を詰め込みすぎたりすると、子供の意欲を削いでしまうため、注意が必要です。
①目標の技にチャレンジ
子供同士でカードを交換し、カードにある技にチャレンジします。互いの技と回数をチェックし合います。
②達成した技をチェック
どの技を何回できたか、友達と確認して、達成した部分に印を付けます。
③すべて達成したらカードを「おかわり」
一定の数の技に合格したら、先生から次のステップのなわとびカードをもらってチャレンジします。
カードが新しくなる達成感で、やる気もアップします。
なわとびに「つまずき」はない
「あの子は、なわとびが跳べない」と思っているのは、教師だけかもしれません。子供は、単に跳ぶ感覚を経験したことがないだけなのです。その感覚を経験する機会を与えることが、教師の役目です。子供たちがより楽しめるように指導することが大切です。
「なわとびカード」のダウンロードや、紹介したなわとび指導の動画が、こちらから見られます
※『教育技術 小三小四』2020年1月号に掲載のパスワードが必要です。
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取材・文/浅海里奈・加藤隆太郎(カラビナ)
撮影/桑原健太
『教育技術 小三小四』2020年1月号より